まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第35話『さつきの想い』
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かずき「あ、そういや新庄、今日美空駅で新庄を見かけたぞ。」
さつき「え、そうなの?」
かずき「あぁ、1時間くらい前だったかな・・・?」
さつき「確かに1時間くらい前に美空駅に居たけど・・・そうなんだ、私白岩君が居ること、全然気づかなかった。」
かずき「俺も新庄の姿ちらっと見えただけだけどな。」
さつき「そっか・・・。美空駅で見たってことは、白岩君は何処か出かけてたの?」
かずき「群馬のばあちゃんの家から帰ってきたところ。」
さつき「おばあちゃんの家、群馬にあるんだ。私のおばあちゃんは香川と秋田に住んでて、遠いからあんまし行く機会無いんだよね。」
かずき「ふうん、香川と秋田か・・・そりゃだいぶ遠いよな。」
さつき「うん。」
かずき「あ、そういや新庄は何処行ってたんだ?」
さつき「私?私は、塾。」
かずき「塾?塾って駅前にもあるじゃん。」
さつき「ううん、何ていうか、小学校の時からそこの塾に行ってるから・・・。」
かずき「へぇ、その塾って何処にあるの?」
さつき「品川。」
かずき「品川!?遠いじゃん、30分くらいかかるだろ?」
さつき「そうだね、でも、うちの学校の人は私以外にも、恵美ちゃんとか桜ちゃんも行ってるよ。」
かずき「マジ?紅恵美と村田桜って確か2人とも成績学年トップ10ぐらいじゃん。新庄もトップ10くらいだろ?もしかしてその塾って凄いんじゃ・・・?品川までわざわざ行く価値はあるかもな・・・。」
さつき「そうかもね、でも、白岩君も成績学年トップ10くらいに入ることあるでしょ、確か。」
かずき「数学と理科だけね。英語と国語、俺全然だからなぁ。」
さつき「でも、バスケも上手だし、凄いと思うよ。」
かずき「やめろよ、なんかそう言われると照れるじゃん。」
さつき「あはは。」
かずき「あれ・・・駅からここまで20分くらいで来れるよな・・・どっか寄り道してたの?」
さつき「え?」
かずき「いや、だって美空駅に1時間前に居たのに、今ここに居るって・・・。」
さつき「あぁ、うん、寄り道っていうか、ここで道草くってたっていうか・・・。」
かずき「ここで?」
さつき「うん。私ね、何かつらいことがあったりした時によくこの丘に登って街の景色を眺めたりするんだ。」
かずき「ふうん。って、じゃぁ、もしかして、何かつらいこと、あったのか?」
さつき「つらいって言うか・・・ショックなこと?」
かずき「ショック?」
さつき「12月に受けた模試ね、8月の模試よりちょっとだけど成績下がっててさ。帰りがけに塾の先生に怒られたの。」
かずき「模試?まだ中学二年なのに、模試なんて受けてんの?」
さつき「うん。まぁ、一応進学塾だからね。でもさ、成績下がってるって言ってもほんとちょっとなんだよ?偏差値とか1下がっただけだし。だけど、『まだ中学二年だからって安心してたらダメだ』って・・・。それから・・・。」
かずき「・・・どうしたんだ?」
さつき「白岩君は私が小学校の時、カレン女学院受けて落ちたってこと、知ってる?」
かずき「いや、初めて聞いた。」
さつき「塾の先生ね、『また同じ過ちをおかしたいのか』って言ってた。」
かずき「同じ過ち?」
さつき「要するに、また高校受験でも中学の時と同じように失敗したいのかってこと。」
かずき「何だよそれ、ちょっと言い方ひどくないか?」
さつき「そう・・・だよね、でも、私・・・。」
さつきは俯いて、続けた。
さつき「嫌だよ、また落ちるのなんて。」
かずき「何言ってんだよ・・・。」
さつき「私、時々怖くなるの。中学受験の場合は落ちても公立の中学に行けるけど・・・。高校受験の場合は落ちたら何処にも行く学校がないでしょ?だから・・・もし落ちたらどうしようって時々怖くなるの。」
かずき「大丈夫だって、お前は受かるよ。」
さつき「そんなの入試を受けてみないと分からないよ・・・。」
かずき「分からないことなんて無いって、きっと受かるさ。もうちょっと自信持てよ。新庄はずっと遊んでるわけじゃないだろ?冬休みなのに塾まで行ってちゃんと勉強してるんだし。」
さつき「白岩君・・・。」
かずき「って、そんなこと俺が行っても説得力無いか・・・。」
さつき「ううん、そんなこと無いよ・・・ありがとう。ちょっと元気出た。」
かずき「そうか、なら良かったよ。」
さつき「あのさ・・・白岩君って何処か受ける高校とか決まってるの?」
かずき「え、俺?俺は・・・ちょっと恥ずかしいけど・・・。」
白岩はさつきから目をそらして言った。
かずき「東京の・・・開央高校の体育科。」
さつき「開央高校の体育科って・・・バスケの強いところ?」
かずき「そう。」
さつき「高校でもバスケやるつもりなんだ、あ、でもそこって・・・。」
かずき「え?」
さつき「偏差値が凄く高かったと思うけど・・・。」
かずき「え、そうなのか!?」
さつき「特進科は少なくともカレン女学院よりも上だし。」
かずき「マジ、あ、でも体育科はまだ簡単だろ?」
さつき「多分・・・。」
かずき「でもマジかよ、難しいんだ、あそこ・・・。」
さつき「まぁ白岩君は数学得意だから、英語と国語なんとかしたら大丈夫よ、きっと。」
かずき「その英語と国語をなんとかするのが大変なんだよ!」
さつき「あははは、そうだよね〜。」
かずき「けどそんなこと言ってられねえよな・・・。俺もちょっと真面目に勉強するか、英語と国語。」
さつき「はぁ、その台詞、どれみちゃんにも聞かせてあげたいな。」
かずき「え、春風に?」
さつき「きっと今頃宿題終わってない〜とか慌ててるんじゃないかな?」

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