まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第35話『さつきの想い』
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美空市から電車でおよそ30分ほどの東京都品川区。ここに新庄さつきの通っている塾があった。
さつき「おっはよう、それから新年おめでとう、恵美ちゃん。」
えみ「あ、さつきちゃん。明けましておめでとう。」
そう返事をしたのはさつきの塾の友達で美空中2年3組の紅恵美(くれない えみ)だ。
さつき「そういえば今日12月の模試かなんか返ってくるんだっけ?」
えみ「あぁ、そういえば・・・私あれ自信無いんだよね〜。」
さくら「あ、そういえば、あのテスト返ってくるのって今日だっけ?」
横から話に入ってきたのは同じく美空中2年2組の村田桜(むらた さくら)。
さつき「うん、そうだよ。」
さくら「ううん、まずいなぁ、あのテスト英語全然分かんなかったのよね〜。」
えみ「うん、うん、あの英語は難しかったよね。」
さつき「英語かぁ・・・英語よりかは私は理科の方がまずかったかな・・・。」
そのさつきの言葉のすぐ後に教室に誰かが入ってきた。その塾の数学の教師だった。その先生、久保大輔(くぼ だいすけ)は塾の塾長も兼ねていて、数学の教師であるが模試の結果は全教科彼の手によって返却された。
久保先生「おい、早く座れ。」
その声に生徒たちはいっせいに席に着く。
久保先生「今日は12月の模試の結果が返ってきている。とりあえずこれをみんなに返すぞ。」
そういってテスト返却を開始する久保先生。
さくら「あぁ〜やっぱテスト返却って・・・怖い。」
さつきの隣の席で村田桜が呟いた。
さつき「でもさくらちゃん、いつも成績良いじゃん。」
さくら「ううん、さつきちゃんには負けるよ。」
久保先生「おい、村田、聞いてるのか?早くテスト結果取りに来い!」
さくら「あ、はい、すいません・・・。」
久保先生「次、新庄。」
さつき「はい。」
さつきは呼ばれたのでテスト結果を取りに行く。無言でテスト結果を渡されたさつきは、席に戻ってそっと成績表を除き見る。
さつき「え?」

***

その日の夕方。
かずき「はぁ、やっと帰ってきたぜ。」
白岩一樹は美空駅に降り立つと呟いた。白岩はこの冬休みに一人で群馬のおばあちゃんの家まで出かけて、この日帰って きたところだった。
かずき「さて、とりあえず家までバスに乗って帰るか、ん?」
白岩一樹が今出てきたばかりの駅の改札口の方に目を向けると、さつきの姿が見えた。
かずき「あ、新庄・・・。」
しかし、さつきは白岩の存在に気づかず、そのまま走って何処かへ行ってしまった。
かずき「何処行ってたんだろ・・・まぁ良っか。」
白岩はそう呟いて駅前のバス乗り場でバスを待った。

***

白岩が家についた頃、日はだいぶ西に傾いていた。
かずき「ただいま〜。」
えいこ「あ、帰ってきた、帰ってきた、お帰り。どう、楽しかった?」
出迎えたのは白岩一樹の母、白岩栄子だった。
かずき「うん、楽しかった。あ、そういや半紙ってうちにあったっけ?」
えいこ「半紙?」
かずき「うん。書初めに使う奴。」
えいこ「無いわよ。宿題?」
かずき「宿題。無いのか・・・じゃぁ買ってこないといけないじゃん、今買ってくれば良かった・・・。」
えいこ「一樹、始業式は11日の火曜日じゃないの?」
かずき「そうだよ。だから早くやらないと、他の宿題はばあちゃんの家に持っていって全部終わらせたけど、書初めは向こうで出来なかったから・・・。」
えいこ「そう、じゃぁ早く買ってきなさい。」
かずき「うん、そうする。じゃぁ今すぐ行って来るよ。」
白岩はそう言って持っていた荷物を家の玄関に置くと、自転車に乗って近くのコンビニを目指した。

***

かずき「あっれ〜、コンビニで半紙って売ってなかったっけ?」
白岩はコンビニの文房具の置いてあるところを探すが、書初め用の半紙が見つからなかった。
かずき「しゃあねぇ、ちょっと遠いけど夕日ヶ丘の文房具屋まで行くか・・・あそこなら売ってるだろ。」
そう言ってコンビニを出て自転車に跨った白岩は、夕日ヶ丘という美空市南部の地区にある文房具屋を目指した。

***

夕日ヶ丘の文房具屋。
  かずき「はぁ、やっと買えたぜ〜。」
白岩は再び自転車に跨った。ふと見上げると、空が綺麗に赤く染まっていた。
かずき「うわぁ、夕焼けだ、そうだ、ちょっと寄り道して行くか。」
白岩は呟くと、山道の方へ自転車を進めた。しばらく自転車をこぎ続けると、美空市全域が見渡せる丘に出た。
かずき「ここ来るのも久しぶりだな・・・。」
夕日に照らされ赤く染まったその丘のところに自転車を止めた白岩はその場に座り込んで美空市を見下ろした。
???「あ・・・白岩君・・・。」
かずき「へ?」
いきなり背後から聞こえてきたその声に、白岩は驚いて振り向いた。
かずき「し、新庄!?」
さつき「何してるの、こんなところで・・・?」
かずき「え、いや、別に何もしてねぇけど?」
さつき「夕焼け、見てた?」
かずき「ううん・・・見てた・・・かな。」
さつき「そっか。」
さつきはそう返答すると、かずきの横に座った。

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