まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第32話『奪われた宝石』
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精霊「少し話は変わるが・・・魔女界と人間界に逃げ延びた悪魔たちは、まず、ある物を奪還しようと試みた。」
こがね「ある物・・・ですか?」
精霊「当時の幻獣界の王に奪われた黒無石だ。そして彼らは様々な手段を用いて幻獣王から黒無石を取り返すことに成功した。おそらく彼らはその石があれば悪魔界が復活すると考えたのだろう。しかし、当然そのようなことは無い。」
いろは「それからどうなったんですか?」
精霊「黒無石を奪還した悪魔というのは、魔女界に逃げ延びた悪魔たちなんだ。そして魔女たちは逃げ延びてきた悪魔たちを根こそぎ殺していった。」
こがね「え、どうして?」
精霊「当時はまだ魔女界と幻獣界は友好関係にあった。幻獣界の者に悪魔の生き残りを殺すように頼まれたら断れなかったのだろう。しかし、魔女は悪魔を殺したことにやはり抵抗があったらしく、悪魔が全滅したと分かった時、その悪魔たちが持っていた黒無石をこの祠(ほこら)に供養した。」
精霊はさっきこがねたちが見つけた祠を指差して言った。
いろは「この祠に・・・。」
精霊「あぁ。そして、私は当時の魔女たちにこの祠に祭られた黒無石を守る役割を命じられたんだ。」
風の精霊は祠の前まで歩いていく。こがねといろはもそれに付いて行った。
精霊「しかし・・・。」
祠の前までたどり着くと、風の精霊は悔しそうにそうもらした。祠の中は、真っ暗で何も無くがらんとしていた。
精霊「つい先刻、その黒無石を奪われてしまったんだ・・・。」
こがね「えぇ!?」
いろは「いったい、誰にですか?ま、まさか・・・。」
精霊「悪魔だ。」
こがね「もしかして、人間界に逃げ延びた悪魔の子孫が・・・。」
精霊「おそらくな。私は魔女界や魔法使い界などの世界の宝石が奪われたと聞いたときから嫌な予感がしていたんだ。今までこの祠の黒無石を守るなんてことは大して苦労することでは無かった。なぜならそれまではこの宝石の存在など誰も、魔女でさえも忘れていたからな。いや、今でも此処に黒無石があることは誰も知らないだろう。しかし、私は時空の狭間にある7つの世界全ての神殿から宝石を奪われたと聞いたとき、もしかしたらこの黒無石までも奪いに来るのではないかと思ったんだ。」
いろは「だから以前私たちが精霊さんに会った時、神殿に行くことを断ったんですか?」
精霊「そうだ。私はこの祠を守る役目があった・・・だからこの場を離れるわけには行かなかった・・・。しかし、案の定黒無石は悪魔の手に渡ってしまった。奴らはいったい宝石を盗んで何をするつもりなのか・・・。そもそも奴らはいったい何処でこの宝石の在り処を知ったのか・・・謎は多い。」
こがね「そもそも宝石を奪えば魔女界も幻獣界も人間界も、全ての世界が滅びてしまうのに、悪魔はいったい何のために神殿から宝石を持ち出したりしたんでしょうか?」
精霊「分からん、やつらの考えることは・・・。」
いろは「じゃぁ、この怪我は悪魔から黒無石を守るために戦って・・・。」
こがね「ひどい・・・精霊さんは悪くないのにこんな大怪我までさせて・・・。」
精霊「何、私の力が足りなかっただけさ。問題は悪魔からどうやって宝石を取り返すか、だな。それはさておき・・・私を時空の狭間の神殿に連れて行ってくれないか?」
こがね「え?」
精霊「もう黒無石は奪われ、私の使命は終わってしまった。だからもうもうこの森にとどまる必要なんて無くなってしまった・・・。」
いろは「分かりました、今から神殿に連れて行きます。でも、その前に、一つ聞きたいことがあるんですが・・・。」
精霊「・・・どうした?」
こがね「5人目の精霊について・・・何か知りませんか?」
精霊「5人目の精霊か・・・。」
精霊は一瞬考えて、そして笑った。
精霊「そうか、あいつはなかなか見つけられないだろうな・・・。」
いろは「あいつ?」
精霊「5人目の精霊は居たり居なかったりするからな・・・。」
こがね「どういうことですか?」
精霊「会えば分かるさ。とにかく、私はゆっくりと療養したい。神殿に連れて行ってくれ。」

***

謎の男「やっと手に入った、我らの求めていた最後の宝石・・・。」
その男の手には全ての光を吸い込んでしまいそうなほど黒い宝石だった。
謎の男「黒無石・・・これで必要なものは全てそろった・・・。あとは時が来るのを待つばかりだな・・・・。」
男はにやりと怪しい笑みを浮かべた。
???「おい、例の石、手に入ったというのは本当か?」
男のもとへ、また別の男がやってきた。
謎の男「そうだ、これで我々は念願の物が手に入るというわけさ。」
???「そうか、よくやった、パディオ。」
パディオと呼ばれたその謎の男は、眼下に広がる街を見下ろして呟いた。
パディオ「もう・・・この人間界ともお別れだな・・・。」
???「そうだな・・・思えば長かった・・・。」
パディオ「今まで我々祖先たちがこの地で生活してきた。そして夢を叶えられずこの地で死んでいった。」
???「4000年もかかってしまったんだな・・・。」
パディオ「あぁ、しかし今からでも遅くは無い。我々の手で必ずあの目的を果たそうではないか。」
???「そのためにはあいつらの協力も大切だ。」
パディオ「そうだな、あいつらはよく働いてくれた。これで本当に我々の仕事も終わりという事だ。」
パディオは嬉しそうに言った。もう一人の男が納得したように頷いた。
パディオ「全知全能なる神よ・・・我らに神聖なる明日を与えたまえ・・・。」
パディオそう呟いた後、2人は夜の人間界へ姿をくらませたのであった。

***続く


次回予告
いろは「あれ、ハナちゃん、こんなところに何しに来たの?」
ハナ「ママに会いたい・・・。」
こがね「どれみちゃんに?そ、それはちょっと無理じゃ無いかな・・・。」
どれみ「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『ママに会いたい』、ドキドキピース未来にひ〜かれ♪」

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