まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第32話『奪われた宝石』
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大阪、梅田。
みのり「見てみて、妹尾さん、ほら。」
白木みのりは持っていた携帯のパンフレットを見せる。
あいこ「って言われても、私携帯持ってへんから分からんなぁ。」
みのり「えぇ〜、凄いやんこれ、だってテレビ電話使えんねんで?」
かずは「でもこれ、相手もテレビ電話使えるやつやないと意味無いんとちゃうん?」
三室一葉はみのりの持っているそれを覗き込みながら言う。
みのり「あ、そっか・・・。んじゃぁ、このテレビ付の携帯は?」
かずは「これさ、知り合いが持ってるんやけど、なんか街中じゃ全然映らん言うてたで。」
みのり「え、そうなん?」
あいこ「あぁ、なんや、あれやろ、街中行くといろいろ電波飛び交ってるからやろ。」
かずは「そうそう、その知り合いの行ってる学校は森の中にあるからテレビ映るらしいけど、それ以外の所じゃ全く映らんらしいし。とくに大阪市内とか京都市内とか。」
みのり「ふうん、そうなんや。」
あいこ「まぁ私ら携帯持ってないねんから他の店行こうや。」
かずは「そうそう、行こ行こ。」
みのり「うう〜ん、分かった。でも、2人も携帯買ってもらったら良いやん。」
かずは「そんなん頼んで買ってくれるんやったらもう持ってるって。それより他んとこ行こ、年末でいろいろ安いねんから早よ行かな売り切れんで。」
みのり「それもせやな、行こ。」
あいこは棚に並べられている携帯のモデルを見ながら呟く。
あいこ「携帯か、そういやどれみちゃんも買ってもらったって言うてたな・・・。」
みのり「妹尾さん、早よ行こ。」
あいこ「あぁ、ごめんごめん、すぐ行く。」
あいこはそう言って携帯ショップを後にした。

***

こがね「風の精霊さんは・・・こっちかな?」
こがねはスティックの放つ光を頼りに風の精霊を探すため森の中をさまよっていた。
いろは「あ、あっち、祠があるわ。」
こがね「本当だ・・・。って、あれ?」
いろは「どうしたの、こがね。」
こがね「誰か倒れてる・・・!?」
いろは「え?」
2人の視界に飛び込んできたのは傷を負って倒れている風の精霊の姿だった。
こがね「風の精霊さんだ!」
2人はすぐに精霊のもとに駆け寄った。
こがね「大丈夫ですか?」
こがねが声をかけるが、風の精霊はうなされるようにうなるだけだった。
こがね「大変、出血がひどいよ!」
いろは「こがね、落ち着いて、こういう時は・・・。」
いろはは水晶玉をかざした。
いろは「救急箱よ、出てきて!」
音とともに木箱が現れた。いろははその救急箱を開けて薬や包帯を取り出すと、精霊の怪我の手当てをはじ めた。
精霊「きみたちは・・・この間の・・・。」
精霊はやっとの思いでそう述べた。
こがね「あ、あんまり動かないほうが・・・。」
精霊「あぁ・・・、そうだな。」
いろは「いったい・・・何があったんですか?」
いろはが精霊の体に包帯を巻きながら尋ねる。
精霊「・・・もう時間もないことだ、話すとするかな。」
精霊は重い口を開いた。
精霊「今から4000年前、この世には悪魔界という世界が存在した。」
いろは「話には聞いたことがあります。でも確か、幻獣界と戦争したときに・・・。」
精霊「そう、幻獣界の王は悪魔界の宝石、黒無石(こくむせき)を奪い、悪魔界を崩壊させてしまった。しかし、悪魔界が崩壊し、消滅する時、数人の悪魔は悪魔界から魔女界と人間界に逃げ出した。」
こがね「魔女界と人間界に、ですか?」
精霊「悪魔界と魔女界、悪魔界と人間界とをつなぐ扉があった。そこから逃げ出したのだろう。そして、人間界に逃げ出したものは人間として生活することが出来た。なぜなら人間界は悪魔の存在など知る由も無い。自分は人間だと言って成りすませば問題なく人間界で暮らせる。むろん、自分は悪魔だと言っても誰も信じないだろう。しかし、魔女界に逃げたものはそうはいかなかった。魔女は当然悪魔の存在を知っていたからな。」
精霊は手当てしてもらった右腕に力をいれ、ちゃんと動くことを確認すると、話を続けた。

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