まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第31話『サンタさんなんて大嫌い!』
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どれみ「ここが風木ちゃんの家か・・・。」
かぜき「4人で暮らすには狭いですよね?」
どれみ「え、そ、そんなこと無いよ。」
かぜき「良いんですよ、私だって狭いって思ってますから。」
どれみ「そ、そう・・・確かにちょっと狭いかもね・・・。こがねちゃんは確かお母さんと2人暮らしだったから・・・。」
かぜき「え?」
どれみ「あ、去年さ、このアパートの1階の部屋に南井こがねっていう子が住んでたんだ。」
かぜき「そうなんですか?」
どれみ「そうだよ。その部屋とあんまし部屋の広さは変わらないけど・・・。そうそう、その南井こがねって子はさ、実は魔女なんだよね。」
かぜき「ま、魔女?」
どれみ「うん、魔女界から転校してきた子なんだ。魔女界でいじめにあって水晶玉を割られちゃったらしくてさ・・・。それで魔女界から人間界に引っ越して、ここから魔女見習い試験を受けに行ってたんだ。」
かぜき「その人は今はどうしているんですか?」
どれみ「魔女見習い試験1級に合格して魔女に戻って魔女界に帰っていったよ。」
かぜき「そうだったんですか・・・あ、はい、お茶です。」
どれみ「良いよ、そんな気なんて使わなくてさ。」
かぜき「そんなこと言わずに飲んでいって下さいよ。」
どれみ「分かったよ。じゃぁもらうよ?」
どれみはそう言ってお茶をすすった。
かぜき「そういえばもう8時半ですね・・・。あと30分ぐらいでお姉ちゃんバイトから帰ってくるのか・・・。」
どれみ「え、バイト?」
かぜき「はい、私の家貧しいんで、お姉ちゃんもバイトやって家計を助けているんです。」
どれみ「バイトって、でも高1なんでしょ?」
かぜき「はい。」
どれみ「お父さんとお母さんも働いてるのに、じゃぁ風木ちゃん一人なこと多いんじゃない?本当に大変だね。」
かぜき「お父さんは・・・働いてないです。」
どれみ「え・・・。」
かぜき「お父さんは・・・いつもお酒を飲みに出歩いていた・・・いつも家に居ないんです。」
どれみ「そうなんだ・・・。」
かぜき「実は・・・さっき商店街で会った時・・・。」
どれみ「え?」
かぜき「私、『今日の晩御飯について考えてた』って言いましたけど・・・あれ、嘘なんです。」
どれみ「どういうこと?」
かぜき「羨ましかったんです。」
どれみ「何が?」
かぜき「クリスマスにケーキを食べるとか・・・そんなことしたこと無かったんで・・・羨ましかったんです。私の家、さっきも言いましたけど、貧しいから・・・みんな忙しくて・・・。お父さんもお酒飲んでばっかりだし・・・クリスマスに家族で何かをするなんてこと無くて・・・。だから、クリスマスに家族でケーキを食べるなんてこと、夢のまた夢だなって・・・。」
どれみ「風木ちゃん・・・。」
かぜき「サンタクロースなんてのも私、大嫌いです。だって、そんなの居るわけ無いじゃないですか・・・。どんなに良い子にしてたって、サンタさんなんて私の家に来るわけ無いじゃないですか・・・。父親はお酒以外興味無いし、母親は仕事、仕事ばっかりで、私たちに全然かまってくれない・・・。だから、私にはサンタさんになってくれる家族なんて居ないんです。みんな、私のことなんてどうでも良いって感じですから・・・。」
どれみ「風木ちゃん、それは違うよ。」
かぜき「違いませんよ!あ・・・。すいません、つい・・・。」
どれみ「ううん、いいよ。でも、それは違うよ。お父さんもお母さんも、風木ちゃんのことどうでも良いなんて思ってないと思うよ。いや、きっと大切に思ってる。だから、そんなこと言っちゃ駄目。」
かぜき「どれみさん・・・。」
どれみ「お母さんだって、風木ちゃんを育てるために毎日頑張って働いているんだよ?」
かぜき「・・・でも、じゃぁお父さんは・・・。」
どれみ「同じだって。お酒ばっかり飲んでても、いつも家に居なくても、それでも風木ちゃんのお父さんなんだから・・・。それに、お姉ちゃんだって風木ちゃんのこと大切だって思ってると思う よ。私だって、そりゃぽっぷが生意気だとか、思うときあるけど、それでもやっぱり私の妹だから・・・家族だからさ・・・。」
かぜき「・・・そうでしょうか?」
どれみ「ん、きっとそうだよ。だから、そんなこと言っちゃ駄目。」
かぜき「・・・はい。」
その時、部屋の呼び鈴が鳴った。
かほし「風木〜、開けて。」
かぜき「お姉ちゃんだ・・・。は〜い、今あけるよ。」
かほし「はぁ、疲れたっと、あれ、お客さん?」
かぜき「えっと・・・私が落としたこのブレスレットをわざわざ届けてくれたんです。」
どれみ「どうも、はじめまして。」
かほし「わざわざすいません。ありがとうございます。あ、そうだ、風木、これ、良い物買って来たよ。じゃ〜ん。」
かぜき「え、これって・・・。」
かほし「ほら、今までクリスマスにクリスマスらしいことしたこと無かったじゃん?だから、今年くらいはって思ってさ、奮発してケーキ買って来ちゃった。」
かぜき「やったぁ!」
どれみは2人のやり取りを見てから、言った。
どれみ「あの、それじゃぁ私、帰りますね。」
かほし「あ、はい、もう遅いんで気をつけて帰ってくださいね。」
どれみ「はい。」
かぜき「どれみさん!」
どれみ「え?」
かぜき「あの・・・ありがとう!」
風木は凄く嬉しそうな笑みを浮かべて言った。どれみはそれに言葉無く、ただ笑顔で答えた。

***続く


次回予告
こがね「私たちが風の精霊と出会った森・・・その森で風の精霊が傷を負って倒れていました。」
いろは「いったい誰がこんなことを・・・。」
どれみ「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『奪われた宝石』、ドキドキピース明るくて〜らせ♪」

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