まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第31話『サンタさんなんて大嫌い!』
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はづき「うわぁ・・・。」
美空駅から降りてきたはづきたちは、駅前の風景を見て感嘆の声を漏らした。
さちこ「いかにもクリスマスって感じだね。朝には無かったのに、凄いや。」
駅の前にあったその木には、赤や緑の豆電球で装飾されていた。そう、美空市も遅いながらクリスマスモードに入っていたのだ。
れいか「もうそんな季節でしたわね・・・こんなにも暖冬ですと、クリスマスっていう実感がわきませんわ。」
はづき「本当よね。」
さちこ「そういえば、明日から冬休みだけど、はづきちゃんはこの冬どっか行く予定とかってあるの?」
はづき「え、私?ううん、とくに無いと思うけど・・・。」
れいか「あら、私はありますわよ。24日からイギリスに行きますの。ようするに、今年のクリスマスとお正月はイギリスで過ごすことになりますわね。」
さちこ「そ、そーなんだ・・・。」
伊集院さちこは半ば呆れ気味に言う。
はづき「クリスマス、かぁ・・・。」
はづきは豆電球の装飾された木を見つめながら呟くと、数メートル先を歩いているさちこと玉木の後を追った。

***

ここは美空市のとある商店街。
かぜき「クリスマスかぁ・・・。」
クリスマスムードに入った商店街を歩きながら風木は呟いた。街の明るい雰囲気とは反対に、風木はなにやら悲しそうな表情をしている。
??1「わぁい、クリスマスだ、クリスマス!」
??2「こらこら、はしゃぎすぎだぞ。」
??1「ねぇ、今年はサンタさん何をプレゼントしてくれるのかな?」
??2「さぁ・・・サンタさんは良い子のところにしか来ないからなぁ・・・。」
??1「じゃぁ大丈夫だよ、僕、良い子だもん。」
??2「はは、そうだな。」
仲の良さそうな親子がそんな会話と交わしながら風木の横を通り過ぎていく。風木はその親子を羨ましそうに眺めながら、呟いた。
かぜき「クリスマス・・・。」
風木はふと通りかかったケーキ屋の前で立ち止まった。ケーキ屋ではクリスマス用のケーキの予約をやっていた。
???「あれ、もしかして、風木ちゃんじゃない?」
かぜき「え?」
突然のその声に気づいて振り返ると、そこには春風どれみの姿があった。
かぜき「あ、どれみさん・・・。」
どれみ「やっぱりそうだ、何してるの?」
かぜき「あ、いえ、今日の晩御飯を買いに・・・。」
どれみ「晩御飯?」
かぜき「はい、今日はお姉ちゃん夜遅くまで帰ってこないので・・・。」
どれみ「え?お姉ちゃんが?お母さんとお父さんは?」
かぜき「えっと、仕事が忙しいみたいで・・・いつも家に居ないんです。」
どれみ「そうなんだ・・・風木ちゃんも大変だね。」
かぜき「は、はい。」
どれみ「お姉ちゃんって何年生なの?」
かぜき「えっと、高校1年です。」
どれみ「え、高校生なの?ふうん、結構年離れてるんだね。」
かぜき「はい、6歳離れてます。」
どれみ「美空高校に行ってるの?」
かぜき「はい、そうです。」
どれみ「そっか・・・。」
どれみはふと目の前がケーキ屋であることに気づいて言った。
どれみ「ケーキ見てたの?」
かぜき「え?」
どれみ「いや、だって、ここ、ケーキ屋さんでしょ?」
かぜき「あ、いえ、その・・・。」
どれみ「そっか、もうすぐクリスマスだもんね。」
かぜき「・・・。」
どれみ「今年の冬はあんまし寒くないから、クリスマスって感じがしないよね。」
どれみが笑いながら風木に話しかけるが、風木は上の空だった。
どれみ「風木ちゃん?」
かぜき「え、いや、はい、そうですね・・・。」
どれみ「どうかしたの?」
かぜき「え、いや、何でも無いんです。」
どれみ「そうなの?なら良いんだけど・・・。」
かぜき「すいません、急に黙り込んだりして・・・ちょっと他の事考えてただけです。」
どれみ「他の事?」
かぜき「え、いや、えっと・・・今日の晩御飯何にしようかなって・・・。」
どれみ「あ、そっか、お買い物の途中だったよね。って、私もだった。私は今から薬屋で風邪薬買わないといけないんだった。」
かぜき「風邪薬?」
どれみ「ぽっぷがさ、風邪引いちゃったんだよね。」
かぜき「ぽっぷちゃんが?」
どれみ「うん、だから早く買って帰ってあげないと・・・んじゃね。」
かぜき「はい、さようなら。」
風木はどれみの姿を見届けた後、再びケーキ屋のショーウインドーに目をやった。
かぜき「なんでみんなクリスマス、クリスマスって・・・どうでも良いことなのに。」
そう呟いて風木はその場を後にした。

***

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