まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第29話『3つ目の風は精霊さん?』
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かぜき「クシュン、はぁ〜、やっぱり暖冬と言っても寒いね。」
オルテガ「あぁ、そうだな。」
かぜき「そうそう、この間また春風どれみさんと会ったんだけど、大変なこと頼まれちゃってさ・・・。」
オルテガ「大変なこと?」
オルテガは驚いたように聞き返した。
かぜき「なんでも神殿の宝石を盗んだ犯人探しを手伝ってくれって・・・。」
オルテガ「それで風木はなんて答えたんだ?」
かぜき「え、もちろん手伝いますって・・・。」
オルテガ「・・・まずいな。」
かぜき「え?」
オルテガ「い、いや、何でも無い。こっちの話だ。それより、そろそろ帰らなくても大丈夫なのか?もう12時回ったが・・・。」
かぜき「あ、やっば、じゃぁ帰るよ、それじゃぁ・・・。」
風木はそう言うとすぐに魔法堂を後にした。
オルテガは窓から風木が箒に乗って月夜を飛んでいくのを見てから、呟いた。
オルテガ「俺には・・・出来ない。」
そして、彼は壁にもたれかかって力なく言った。
オルテガ「パディオ・・・俺を許してくれ・・・。」
そう言ってオルテガが服のポケットに手をやると、そこにはグシャグシャの首飾りが入っていた。
それは、オルテガが踏みつけたはずの風木からのプレゼントだった。
『プレゼント。オルテガがこの魔法堂に来てから1周年記念。今まで面倒見てくれてありがとう。』
風木のその言葉がオルテガの頭の中に響き渡る。
オルテガ「う、ぐっ・・・まただ、来るな、来るな・・・。」
オルテガは突然苦しそうに呻き始めた。
オルテガ「くっ・・・はぁはぁはぁ、何とか抑えたか・・・。くそっ・・・。」
荒れた息を整えながら窓の外を見たが、もう風木の姿は見えなかった。
オルテガ「もう俺を苦しめないでくれ・・・パディオ・・・。」
そう呟いたオルテガの頬を一雫の涙が滴り落ちた。

***

おんぷ「よし、風雅さんも見送ったし、帰ろうっと。」
おんぷはそう言って神殿を後にし、人間界に戻ってきていた。人間界との出入り口のその場所は海のすぐ前の森の中にあった。おんぷはその森を抜けて浜辺に出ると、海岸沿いを歩いてホテルへ帰ろうとした 。しかし、その途中で海を眺めている平端を見つけた。
おんぷ(あ、やっば・・・。)
平端「あれ、おんぷちゃんじゃないか・・・またこっそり抜け出してきたのか?」
おんぷ「え、いや、その・・・。」
おんぷは母親の美保に勝手に抜け出して怒られたばっかりだったので、また怒られると思って身構えた。しかし、彼の口から出てきた言葉はおんぷが予想していたものとは違った。
平端「俺も海が好きだからな・・・こっそり抜け出して来ちまったよ。ははは。」
おんぷ「え、はぁ・・・。」
平端「っつか寒ぃよな、あんまり長居してると風邪引きそうだぜ、よし、帰ろう。お前もバレる前にさっさと帰った方が良いぞ。」
平端はそう言ってそそくさとホテルに帰っていった。

おんぷはふと海の方を見た。とても静かなその海に響いているのは波の音と時折吹く風の音だけだった。そして、その暗闇を照らしているのは空に浮かぶ笑う月の明かりだけだった。
おんぷ「やっぱり、私は海って好きだな・・・美空市も海があるから好きだな。それに、あの街には大切な思い出があるから・・・。」
おんぷはそう呟くと、少し笑って見せてから、ホテルに向かって走り出した。

***続く


次回予告
ももこ「あ、今日はトムとバスケの練習の約束をしてた日だっけ・・・。喜んで良いのか駄目なのかよく分からないけど・・・。」
どれみ「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『ももこ、最後の選択!?』ドキドキピース明日へは〜しれ♪」

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