まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第24話『消せないトモシビ』
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 魔法堂の中に入ったメアリーとはづきは再び話を始めた。
メアリー「ここがあなたたちの魔女見習い時代の拠点だったところなんだ・・・。あ、さっきあったばかりなのにいろいろごめんね、こんな所まで連れてこさせて。」
はづき「あ、いえ、そんなことは・・・。」
メアリー「ふふふ、いろはが気に入るのも分かるわ。そうそう、それとこれからしばらくの間よろしくね。宝石を盗んだ犯人を捜して捕まえるためにも、お互い協力しないとね。宝石を盗んだ犯人なんかに"人間界の生命のトモシビ"を消させてたまるもんですか!」
 メアリーははづきに向かって微笑みながら言った。
はづき「はい。あ、今度どれみちゃん達も連れてここに来ます。」
メアリー「本当?そうね、みんなとは一度会っておきたいから・・・悪いけど、お願いね。」
はづき「分かりました。・・・あの・・・。」
メアリー「どうしたの?」
 何か言いたげのはづきに対し、メアリーは尋ねた。
はづき「メアリーさんはいろはさんのこと、覚えていたんですか?」
メアリー「覚えていた?」
はづき「だって、いろはさんに関する記憶はマジョダークって人に消されたはずじゃ・・・。」
メアリー「実は瀬川おんぷって子とこの間北海道で会ったんだけど、それまでは悔しいけど全然覚えてなかったんだ・・・。」
はづき「おんぷちゃんと、ですか!?」
メアリー「そうよ。その時にその子がいろはの事を口に出した、そしたら思い出したの。」
はづき「そうだったんですか・・・。」
メアリー「・・・馬鹿だよね。」
はづき「え?」
メアリー「私、馬鹿だよね。その子に言われるまでいろはのこと思い出せなかったなんて・・・。」
はづき「でもそれはマジョダークって魔女に・・・。」
メアリー「聞いたよ、いろはから。でもさ・・・忘れたく無かったよ、私。いろはのことを。だっていろはは・・・いろはは私に大切なものをくれた友達なんだもの、無二の親友だもの・・・。なのに私は記憶を消されて・・・。いろはの記憶を消されて・・・。私にもっと力があったら記憶を消されずにすんだのかなって思うと、なんだか自分の非力さが情けなくなってきて・・・。」
 はづきはそのメアリーの言葉を聴いている途中、数名の少女達との懐かしい思い出が蘇ってきていた。その思い出は、はづきにとってかけがえのない『宝物』のひとつだ。しかし、もしもその『宝物』を奪われたとしたら─
メアリー「いろははさ、誰も自分の事を覚えていないことがつらいと思う。でもあの子はそれを全部一人で背負い込もうとしてる。いろはは昔からそうだった。人がつらい思いをしてる時は自分を犠牲 にしてでも助けようとするくせに、自分が苦しいときは誰の助けも借りようとしないの。」
 メアリーは目に浮かんで零れ落ちそうな涙を服の袖で拭い取った。
メアリー「私はいろはに何度も助けられてきた。だから今度は私が─。」
 一瞬沈黙が続いた。
メアリー「ご、ごめんね、なんか暗い話になっちゃって。あ、あのさ、ちょっと聞いても良い?しずくも春風どれみって子も、、この辺に住んでるの?」
 メアリーは突然話題を変えてはづきに問いかけてきた。
はづき「え、あ、はい。しずくちゃんもどれみちゃんもこの辺に住んでいます。」
メアリー「そっか、そうなんだ。みんなおんなじ学校なの?」
はづき「どれみちゃんとしずくちゃんは同じなんですけど、私は私立の学校に行ってるんで・・・。」
メアリー「ふうん、そっか。」
 メアリーはふと腕時計に目をやって言った。
メアリー「大変、もう6時だよ、帰らなくて大丈夫かしら?」
はづき「え、あ、ろ、6時?大変、早く帰らないと・・・。」
メアリー「ごめんね、この魔法堂まで案内してくれたお礼、魔法で家まで送ってあげる。」
はづき「え、でも・・・。」
メアリー「良いの良いの、それよりほら、時間が無いでしょ?」
はづき「あ、じゃぁお願いします。」

メアリー「それじゃぁ行くよ、はい、目瞑って・・・。」
 メアリーは手のひらに水晶玉をかざした。はづきはメアリーの声が遠のいていくのを感じた。ふと気がつくと、はづきは家の前に居た。
はづき「結局家まで送ってくれたんだ・・・なんか今日はいろんなことがあったわ・・・。とにかくメアリーさんとは今度もっと時間のある時に会っていろいろと話がしたいな。」
 はづきはそう呟くと、家の門を押して家の中に入っていった。

***続く


次回予告
ももこ「今夜はやっと月の笑う晩、ついに森の精霊の森羅さんを時空の狭間の神殿へ連れていくときが来たよ。」
はづき「そっか、ももちゃんも精霊見つけたって言ってたよね。」
ももこ「でも、月が昇る時間帯の都合上、はづきちゃんとは魔女界で会えない、か・・・。」
どれみ「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『森の力、炎の力』、ドキドキピース未来にひ〜かれ♪」
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