まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第22話『いろはの答え』
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 それは、何でもないことだった。ただの思い出の一つにすぎないことだった。しかし、それはいろはが人間として生活していた時の話。そう思うといろはの心の中にとても淋しい、悲しい気持ちが込み上げてきた。そして、いろははふと上を見上げた。そしてあの日に隠れていた木を見つけた。7年もの年月を経ても、いろはにはそれが7年前に隠れていた木だとすぐに分かった。そして、いろははその木に上った。
いろは「そういえば、みんなとよく遊んだなぁ、この森で。」
 いろはは少し遠くなった地面に目をやった。
いろは「楽しかったなぁ、あの時は・・・。でも、もうあの頃には戻れないんだ・・・。」
 いろはの頬を一筋の涙が流れた。その時だった。誰かがいろはの居る木に上ってきていた。 ???「いろは、見つけた。」
 そう言った少女の顔が、7年前の記憶と重なった。
いろは「・・・メアリー?」
 その少女は微笑んだまま頷いた。そして、いろははふとあの台詞を言ってみた。
いろは「魔法、使ったでしょ?」
メアリー「え?」
 するとメアリーは思い出したような表情を見せて言った。
メアリー「・・・使ったよ。」
いろは「卑怯だよ、魔法使うなんて。」
メアリー「だって・・・なかなか見つからないから心配したんだよ?」
 いろははメアリーのその台詞を聞いて思わず笑った。
いろは「ははっ、メアリーだ。」
メアリー「・・・久しぶりね。」
いろは「本当だね。」
メアリー「・・・いろはって本当にあの時と変わらない。」
いろは「そうかな。」
メアリー「そうよ。で、日本に行った時に瀬川おんぷって子にいろはは魔女界に居るって聞いたけど・・・。」
いろは「瀬川・・・おんぷに?」
メアリー「うん。それで、魔女界からわざわざどうしたの?何か・・・あったの?」
いろは「・・・とにかくこの木から降りてどこか落ち着くところで話すよ。」
メアリー「それもそうね。」
 2人は木を降りると、森の外れにある公園のベンチに座り、話を始めた。

***

メアリー「そっか、それで宝石を持っていった犯人は人間界に居るかもしれないんだ。」
いろは「・・・うん。だから、お願い。日本にいる春風どれみって子たちと一緒にその犯人探しを手伝ってあげて!」
 メアリーはしばらく考えてから答えた。
メアリー「分かったわ。任せといて。無二の親友の頼みだもの、断れるわけないじゃない。」
いろは「ありがとう。それじゃあ、私は魔女界に帰るわ。」
 いろははそう言うと立ち上った。
メアリー「・・・待って。」
 メアリーは立ち上がって、去ろうとするいろはを制止した。
いろは「どうしたの?」
メアリー「いろはは・・・いろはは人間界に戻ってくるつもりは無いの?」
いろは「・・・無理だよ。」
メアリー「え、どうして?」
いろは「だって・・・メアリーは瀬川おんぷと会って記憶を取り戻せたかもしれない。でも、人間界に戻るにしても、誰も、お母さんもお父さんさえも私のことを覚えてないんだよ?そんなの・・・つらすぎるよ。」
メアリー「いろは・・・。」
いろは「それに、今お母さんたちとあって私のこと思い出してくれたとしても、今まで何処にいたって言えば良いの?魔女界にいたなんて言っても信じてもらえないでしょ?だから、だから 私は・・・。」
 いろはの頬からは涙が流れ落ちていた。メアリーはそのいろはに何も言ってあげることが出来ずにいた。
いろは「ごめん、私、そろそろ帰らなきゃ。それじゃあ・・・。」  いろはは数歩歩いて、そして振り替えって言った。
 いろは「また・・・会えたら良いね。」
いろはは悲しい笑顔を浮かべて言った。そして、走り去った。再び振り替えることはなかった。メアリーはただその場に立ち尽くしている。

 秋は始まったばかり、やや冷たい風がメアリーに吹き付けていた。
***続く


次回予告
しずく「精霊だけじゃなくて宝石を盗んだ犯人まで探さなくちゃならなくなったし、それに中間テストの勉強、やることが多すぎるよ〜。」
さつき「え、最後のは何か違う気がするんだけど・・・。」
どれみ「次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『炎の精霊、降臨』、ドキドキピース未来にひ〜かれ♪」
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