まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第21話『消えた!?魔女界への扉』
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あいこ「私も気付いた時はびっくりしたで・・・。」
 おんぷの目線の先には何も無いただの壁があった。いや、何も無いことが不自然だった。
おんぷ「ここって、確か、扉が・・・。」
あいこ「・・・さすがにそこに扉があったんは覚えてるやろ、魔女界につづく扉があったことは。」
 おんぷは黙ってうなずく。
おんぷ「確か記念撮影の途中でここにあったはずの扉から藤崎いろはさんが出てきて・・・。」
 おんぷはその壁に触れてみながら言った。その時、魔法堂の入り口の扉が突然開いた。鍵がかかっているはずの扉が。あいことおんぷの表情は一瞬緊迫した表情になるが、すぐに安堵の表情に変わった。なぜなら魔法堂に入ってきた人物を2人は知っていたからだ。
あいこ「こがねちゃん、なんでここに居るん!?」
おんぷ「それに藤崎さんまで・・・。」
こがね「2人に大事な話があるの、落ち着いて聞いてくれる?」
あいこ「大事な話?」
 いろはは頷いて、さっきまであいことおんぷが見つめていたあの壁を見た。
いろは「この魔法堂にあった扉は扉ごと消えて壁になっちゃってるのね。」
あいこ「え?」
おんぷ「何か知ってるんですか?」
いろは「えぇ、みんながここにいたおかげで少し話がしやすいわ。」
 いろはそう言ってこがねの顔を見た。こがねは黙って頷き、そして話しはじめた。
こがね「実は、魔女界の森で幻獣界の人がふたり、重傷を負って倒れていて、それが引き金になって戦争が始まっちゃったの。」
あいこ「幻獣界の人が魔女界の森に!?」
おんぷ「どういうことなの?」
いろは「そのふたりが何故魔女界の森で倒れていたのかは分からないわ。でも、ふたりが魔女界の森で倒れていたから、ふたりを襲ったのは魔女に違いないというのが幻獣界の言いぶんよ。」
こがね「もちろん理由はそれだけじゃないと思うわ、幻獣界と魔女界はもともと仲が悪かった。」いろは「それに、幻獣界の王は時空の狭間の神殿にある各世界の宝石を盗んだ犯人は魔女だと思っているから。」
あいこ「な、なんで魔女が疑われてるんですか?」
いろは「神殿の警備は魔女が行なっていた。それで疑われているのよ、警備していた魔女の誰かが犯人じゃないかって。」
あいこ「そ、それじゃあ幻獣界と魔女界の仲が悪いのにも、なんか理由は・・・?」
こがね「それなんだけど、幻獣界の王はどうも人間を嫌っているらしいの。」
いろは「そしてその人間界と国交を結ぼうと励んでいる魔女界、そしていつも魔女界側につく魔法使い界と仲が悪くなったの。」
おんぷ「幻獣界の王が人間を嫌っているのはどうしてなの?」
いろは「それは・・・分からないわ。とにかく、幻獣界が魔女界に宣戦布告したのは事実、さらに幻獣界と仲の良い幻想界も魔女界に宣戦布告したわ。」
おんぷ「幻想界もですか?」
いろは「えぇ。そして、魔女界と人間界をつなぐ扉が無くなった理由だけど・・・。」
 いろはは、今はただの壁となっているそれを見た。
いろは「これは戦争とは関係ないんだけど、世界が宝石を失ったから・・・。」
おんぷ「だから空間と空間のつなぎ目が不安定になってるってことね?」
こがね「そう、だからここにあった扉は消えてしまったの。」
いろは「そして、ここからが本題。あなたたちには神殿から宝石を奪った犯人を見つけてほしいの。犯人はきっと人間界にいるわ。」
あいこ「人間界に!?」
いろは「冷静に考えてみて、犯人が人間界に潜んでいれば見つかる可能性はぐっと低くなるわ。なぜなら、世界が崩壊の危機にあるということを人間は知らない。」
あいこ「そうか、人間界はまだどの世界とも国交を開いていないから、事情を知る人が少ない。」
いろは「そういうこと。だから身をひそめるにはうってつけなのよ。だからお願い。戦争をとめるには犯人を捕まえるしか方法はないの!」
おんぷ「分かりました。どれみちゃんたちにも話してみんなで協力してかならず犯人を見つけます。」
いろは「ありがとう。本当はみんなに協力したいところなんだけど、扉が消えると魔女界に帰れなくなるから・・・。」
こがね「私も、魔女界のみんなを見捨てるわけにはいかないから・・・。」
 こがねは微笑みながら言ったが、どこか悲しそうだった。
いろは「伝えたいことはそれだけよ、これで私たちは魔女界に帰るけど、あとは頼んだわよ。」
あいこ「任せといてください。きっと犯人を捕まえてみせます。」
いろは「ふふっ、頼もしいわね、それじゃあ任せたわよ。」
こがね「じゃあ・・・またね。」
 2人は魔法堂を去った。
おんぷ「私も次の仕事があるからそろそろ帰らないと・・・とにかく、犯人探し頑張らないとね。」
あいこ「うん、私はとりあえずどれみちゃんたちにそのことを電話で話しとくわ。」
おんぷ「うん、頼むわね。それじゃあ、また。」
あいこ「また。」
 おんぷが魔法堂を去り、あいこは一人残される形になった。

***

こがね「さぁ、いろはさん、早く帰りましょう。ここの扉がいつ消えるか分かりませんから・・・いろはさん?」
 こがねはいろはの様子がおかしいことに気付いた。
いろは「ごめん、こがね。先に魔女界に帰って。私、まだ人間界でやらなきゃいけないことがあるの。人間界に来れなくなる前に終わらせないといけないことが。」
こがね「え、どういうことですか?」
いろは「とにかく、こがねは先に帰って。」
 いろはは魔女界に通じる扉に向けてこがねを押した。
こがね「え、ちょっとま・・・。」
 こがねは歪んだ空間に引きずり込まれるように消えていった。
いろは「魔女界に帰れなくなったらその時はその時よ。」
 いろははそう呟いたあと、箒にまたがって人間界の黄昏の空を飛んでいった。

***続く


次回予告
こがね「いろはさん、大丈夫かな、無事に魔女界に帰ってきてくれるかな・・・?」
どれみ「果たして藤崎さんはいずこへ?次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ、『いろはの答え』、ドキドキピース未来にひ〜かれ♪」
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