まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第19話『静かすぎる森』
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???「はっはっは、じゃあ君は私がこの森で遭難したか何かで力尽きて倒れてると、そう思ったわけだ。」
ももこ「わ、笑い事じゃないですよ、本当に心配したんですから・・・。」
???「悪いわるい、まぁ心配してくれてありがとう。それより君の名前、飛鳥ももこって言ったよね?」
ももこ「は、はい・・・?」
???「・・・なるほど、君が精霊を探しているという少女か。」
ももこ「え、どうして精霊のことを知っているんですか?」
???「おや、君がもっているはずのスティックは飾りかい?」
 その台詞にももこは、はっとしてポケットから何かを取り出した。折り畳まれていたそれを伸ばすと、それは青白く輝きだした。
ももこ「あなたが人間界の精霊?」
???「そう、森の精霊、名前は森羅(しんら)だ。」
 男はにやりと笑ったかと思うと、急に真面目な顔になった。
森羅「君は・・・どうやら大きな悩みを抱えているみたいだね。」
ももこ「ど、どうしてですか?」
 ももこは自分の心が見透かされているような気がして、驚きを隠せなかった。彼女の頭には一人の少年の顔が浮かんでいた。
森羅「勘違いとはいえ、とにかく君は僕を助けようとしてくれた。そのお礼に良いことを教えてあげよう。」
 森の精霊は晴れ渡った空の方を眺め、話し始めた。
森羅「人間界は孤立している。君もそれは分かるだろう?」
 ももこは黙って頷いた。
森羅「魔女界とも魔法使い界とも、その他の世界とも交流は無い。しかし各地に魔女や魔法使いに限らず龍や妖精などが現われたという話は後を絶たない。これが何を意味するか分かるかい?」
ももこ「昔は人間界とその他の世界との間で交流があったってことですか?」
 森羅は頷いた。
森羅「多かれ少なかれ、正式な国交を開いていなくても今よりはずっとどの世界とも交流があった。それが何故今は交流が無いのか。その理由を私は知っている。しかし、今は話すわけにはいかない。」
ももこ「・・・どうしてですか?」
森羅「・・・君は人生が始まったばかりの子供だからだ、そういえば分かるかい?つまり、命に関わる。だから話す訳にはいかない。しかし、交流が無くなったことにはちゃんと理由がある、それだけは分かっていてくれ。」
 森羅は笑顔でももこに語りかけた。
森羅「それと・・・この世界に神というものは居る。」
ももこ「え?」
 ももこは突然話題が変わった事に少し驚いた。
森羅「しかし神はむやみやたらに人を助けたりはしない。何故なら手助けすることがその人のためになるとは限らないからだ。」
 森羅が何を言いたいのか分からず、ももこは首を傾げている。
森羅「さて、今日はそろそろお別れだ、さっきに君の友達がそろそろ帰ってくる。それより、もし君が僕を時空の狭間の神殿に連れて行きたいと言うのなら、今夜、ここで待っているから来てくれよ。幸い今日は月が笑う晩だからね。」
 森羅はそう言うと背中の翼を広げて空へ飛び立って行った。すると、ももこの背後の茂みがガサガサと音をたてた。
ベス「モモコ、どうしよう、助けを呼ぼうにも誰も人が・・・あれ?」
 ベスはさっきまで倒れていた人が居ない事に気がついた。
スージー「あれ、さっきに人は?」
ももこ「あの人、なんか寝てただけみたいだよ。」
ベス「え、寝てたの、あの人・・・。」
スージー「こんな森の中で・・・?」
ももこ「そうみたい。」
ベス「何よそれ〜!驚いて損したじゃない!」
スージー「でもまぁ無事ならよかったよ。」
ベス「ん、まぁそれもそうだね。」
ももこ「とにかく、そろそろおなか減ったね、お弁当にしない?」
ベス「うん、そうしよっか。」
スージー「賛成!」

***

 ももこたちの上空にはあの男が眼下を見降ろしていた。
謎の男「森羅の奴、余計な事を・・・。しかしここで奴を処分すると厄介な事になるな・・・。仕方が無い、とりあえずこのことをあいつらに報告しておかねば・・・。」
 謎の男はそう呟くと青空高く消えていった。

***続く


次回予告
こがね「た、大変!魔女界の森で大変な事が!」
どれみ「こ、こがねちゃん落ち着いて、落ち着いてってば!」
こがね「とにかく大変なのよ〜!」
どれみ「じ、次回、まだまだ!?おジャ魔女どれみ『悲しい音色』、ドキドキピース未来にひ〜かれ♪」
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