まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第17話『光れ、妖精の花!』
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 新幹線の扉が開くと、ホームの人の動きが慌しくなった。
『新大阪、新大阪です。新大阪、新大阪です。』
 その少年は新幹線の外、駅のホームからかすかに聞こえてくるそのアナウンスを聞いて呟いた。
小竹「ちぇ、まだ新大阪かよ・・・。くっそ、美空市まで行くのに飛行機で行かせてくれよな。ったく、俺の母ちゃんはケチなんだからよ・・・。」
 そうこう言っている内に新幹線は動き出した。
小竹「次が京都、それで名古屋、新横浜、品川で東京・・・。うげ、あと5駅かよ・・・。」
 小竹は指をおりながら数え、そしてうんざりした表情を見せる。

***

 おんぷははづきと電話をしていた。
おんぷ「え、美空市に来るの?」
はづき「そうみたい・・・。」
おんぷ「そっか、で、はづきちゃんはその事、どれみちゃんに聞いたの?」
はづき「ううん、まさる君から今日小竹君が帰ってくるって聞いたの。」
おんぷ「矢田君から?へぇ〜、ふぅ〜、そっか、矢田君からねぇ・・・。」
 おんぷは意味ありげに言う。
はづき「お、おんぷちゃん、ち、違うのよ、私と矢田君はただの幼馴染で・・・。」
おんぷ「あれ、どうしたのはづきちゃん。私何も言ってないわよ。」
 おんぷは意地悪く続けた。
はづき「はぅ・・・。ひどいわ、おんぷちゃん。」
おんぷ「ふふ、ごめん、ごめん。冗談よ。」
はづき「もう・・・。」
おんぷ「それで、小竹はどれみちゃんと会うつもりなの?」
はづき「みたいだけど・・・。」
おんぷ「ふうん。あ、もうすぐ仕事始まるから、またね、はづきちゃん。」
はづき「そっか、お仕事頑張ってね。それと、電話ありがとう。」
おんぷ「うん、それじゃぁ。」
 おんぷはそう言って携帯を鞄にしまった。そして呟いた。
おんぷ「はぁ〜ぁ、良いな、みんな彼氏がいて・・・。」

***

 この日の魔女界は騒がしかった。
マジョリン「女王様、大変です!」
女王様「どうしたのですか、マジョリン。」
マジョリン「これです。魔女界中央図書館に保管されていた預言書に興味深い部分が・・・。」
女王様「興味深い部分?」
マジョリン「はい。こちらになります。」
 マジョリンはそう言って指を鳴らし、その預言書らしきものを出した。そして女王様はその預言書を読んだ。
女王様「これは・・・早く人間界に居るどれみちゃんたちに伝えなくては行けませんね。」
???「その役は私にお任せください。」
女王様「その声は・・・。マジョリカですね。」
マジョリカ「私には他にもどれみたちに話さねばならないことがあるので、どうか・・・。」
女王様「・・・分かりました。では頼みましたよ。」

***

 午後1時頃の美空駅。小竹はちょうど美空駅に着いたところだった。
小竹「久しぶりだなぁ、美空駅、っつか遠かったぜ〜。」
どれみ「あ、小竹!」
小竹「あ、どれみ、待っててくれたのか?」
どれみ「まぁね。暇だったし。」
小竹「暇って、お前夏休みの宿題終わったのかよ?」
どれみ「ギクッ・・・。」
小竹「やっぱり・・・早く終わらせろよな。」
どれみ「そういう小竹はもう宿題やったの?」
小竹「え、いやぁ、はは、も、もちろん。」
どれみ「妖しい・・・。」
小竹「そ、それより、何処か行こうぞ。」
どれみ「ちょっと、今誤魔化したでしょ?」
小竹「ご、誤魔化してねぇよ!」

 小竹は10ヶ月ぶりの美空市を懐かしそうに見ながら歩いた。
小竹「うわぁ、全然変わってねぇな・・・。」
どれみ「変わったといえば、学校の近くのパン屋が潰れたことぐらいかな。ほら、体育のソフトボールで小竹がホームラン打って窓ガラスを割ったパン屋。」
小竹「え、あのパン屋潰れたのか?」
どれみ「うん。潰れたのは中学2年に上がるちょっと前くらいかな・・・?」
小竹「そっか・・・。」
どれみ「それよりさ、何処か遊べるとこに行こうよ。」
小竹「そうだな・・・よし、じゃぁあそこに行くぞ!」

どれみ「って、何で川の土手なわけ?」
 どれみたちは美空市を流れる川のほとりにいた。
小竹「い、いやぁ、ここなら金がかからないかなぁ、って思って。・・・駄目?」
どれみ「・・・別にいいけどさ。」
小竹「だろ?」
 その時だった。
???「ここに居たか、どれみ。」
小竹「ん?」
どれみ「え、この声は・・・?」
 突然聞こえてきた誰かの声に、2人は振り向いた。
どれみ「マジョリ・・・じゃなくて巻機山さん!」
 どれみは"マジョリカ"と口にしそうになった。しかし、小竹が居るのでそう呼ぶわけにはいかなかった。
小竹「巻機山?あのどれみが手伝ってた店のオーナー・・・だったか?」
どれみ「う、うん。そう。」
マジョリカ「どれみに話すことがあってきたんじゃが・・・どうやら今はお邪魔じゃったみたいじゃな。」
マジョリカがにやけながら言う。
どれみ「へ?」
小竹「え?」
 どれみと小竹は顔を見合った。2人とも顔が赤くなって目をそらした。
マジョリカ「まぁとにかくじゃ・・・。」
 マジョリカはどれみに耳打ちした。
マジョリカ「"普通の人間"がおる前では出来ない大事な話があるんじゃ。すまないが今夜で良い、あのMAHO堂があったところまで来てくれんか?」

どれみは最初戸惑ったが、黙って頷いた。マジョリカはそれを見て何も言わずにその場を去っていった。

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