まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第14話『水平線上のドラゴン』
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 ここは幻獣界のとある森。
フィーヌ「しっかし面倒な仕事だよな。精霊探しなんて。」
 フィーヌという名の妖精は呟く。それに子供の龍のテイルは答えた。
テイル「仕方ないですよ、精霊を探さないとこの世界が崩壊してしまうかも知れないのですから。」
フィーヌ「でも俺は大人なんだぞ?精霊の姿は見えやしない。」
テイル「あ、そういえばそうですよね。二人居ても私にしか精霊は見えないんだ。」
フィーヌ「まぁ王の命令だから仕方がないが・・・。」
 フィーヌはため息をついた。
テイル「あれ、なんだろう?」
フィーヌ「どうした、精霊か?」
テイル「いや、何だか空中に穴が浮かんで・・・わぁ!!」
 テイルは緑色の光を放つその穴に引きずり込まれていく。
フィーヌ「テ、テイル?」
 フィーヌは少し考えて、事に気付いた。
フィーヌ「た、大変だ!!」

***

 場所は移って幻獣王の城、謁見の間。
幻獣王「おい、ディラノスよ、精霊探しはまだ終わらんのか!」
 ディラノスと呼ばれた幻獣界の王の側近は、ひざまずいて答えた。
ディラノス「は、まだあと4人の精霊が見つかっていません。」
幻獣王「何ぃ?何をしておる!このままでは幻獣界が崩壊してしまうではないか!」
ディラノス「しかし、魔女界の者の手助け無しでは精霊探しは困難です。」
 どれみたちが使っている精霊に反応するステッキは魔女界の者が発明したものだった。
幻獣王「うるさい!我が世界の者は優秀なんだ、特に我が子のテイルはな。あんな奴らの手を借りずとも精霊などすぐに見つかるであろう?」
ディラノス「しかし・・・。」
幻獣王「黙れ、言い訳など聞きとうないわ!」
 王はそう言うと怒って部屋を出ていった。ディラノスは王の去っていく足音が聞こえなくなるのをまって、呟いた。
ディラノス「くそっ、何が『我が世界の者は皆優秀なんだ』だ。そういう貴様は類い稀なる馬鹿ではないか。」
 突然、窓を突き破ってフィーヌが入ってきた。
フィーヌ「た、た、大変です、ディラノス様!」
ディラノス「なんだ、騒がしいぞ、フィーヌ。しかもその窓は入り口ではないと何度も言っただろ?ちゃんと玄関から入ってこい。」
 フィーヌは、ディラノスの直属の部下に当たっていた。
フィーヌ「あ、すいません、出なおしてきます。」
 フィーヌはそう言って割れた窓から出ていった。
ディラノス「お、おい・・・た、大変なんじゃなかったのか?」
ディラノスが呟いていると、部屋の入り口の扉が慌ただしく開いた。
フィーヌ「た、た、大変です、ディラノス様!」
ディラノス「いや、分かったから用件を言え。」
フィーヌ「テイルが空中に突然現れた穴に引きずり込まれて消えました!」
ディラノス「何ぃ!そういう事はさっさと言わないか!」
フィーヌ「あ、すいません。」
ディラノス「しかし、空中に突然穴が現れるとはどういうことだ?」
フィーヌ「いや、私にも・・・。」
ディラノス「まぁ良い、それよりフィーヌよ、お前は大人であるのに何のためにテイルとともに精霊探しを頼んだのか分かっているのか?テイルが危険な目にあわないためだぞ?」
フィーヌ「いや、しかし・・・。」
ディラノス「貴様・・・仮にもテイルは我らが王のご子息なんだぞ・・・。どれだけ重い罰が待っていることか・・・。」
フィーヌ「そ、それだけはどうか・・・そうか。」
ディラノス「どうした?」
フィーヌ「あの穴は時空の狭間の・・・ということはあの時見えた緑の光は・・・。」
ディラノス「何をぶつぶつ言っておる?」
フィーヌ「・・・テイルを探してきます。もし見つかったらどうかこの事は王には・・・。」
 ディラノスは少し考えて、
ディラノス「1日だけ猶予をやろう。明日の今になっても見つけられなければ・・・。」
フィーヌ「皆まで言わずとも分かっています。では私は一刻も早くテイルを・・・。」
 フィーヌはそう言って部屋を後にした。

***

 ここは人間界、どれみの家の朝、いや正午。
はるか「どれみ、夏休みだからってだらだらしないで、さっさと起きなさい。ほら宿題とかあるんでしょ?」
 どれみの母はるかは眠るどれみを叩き起こしている。
どれみ「ううん、まだ大丈夫だよぉ。」
 寝い目をこすってどれみが言う。
ぽっぷ「とか言って、お姉ちゃんいつも8月末に宿題終わってないってばたばた慌てるんだから。」
どれみ「ちょっと、ぽっぷはだまってなさいよ!」
―ゴンッ
はるかの鉄拳(?)がとぶ。
はるか「妹に喧嘩を売らないの、それよりお昼ご飯出来てるからさっさと食べてきなさい。」
どれみ「えっ、お昼?もうそんな時間?やっばぁ!」
 パジャマから着替えたどれみは慌てて部屋を出る。そして、食事の用意がされている今へ行くと、騒がしいテレビにふと目が行く。
『只今入りましたニュースによりますと、小笠原諸島南南西15Kmの太平洋上で龍のような生物が飛来しているとのことで・・・。あ、今映像が届きました。』
 テレビ画面には確かに龍のような生物が映されていた。
どれみ「え、これ本当かな?」
 その時ふとかすかな記憶がどれみの頭に浮かんだ。
どれみ「そういえば女王様が幻獣界の中に龍神界っていう場所が・・・。」
はるか「ブツブツ言ってないでさっさと昼ご飯食べなさい!」
どれみ「あ、はい。」
 どれみは急いで昼ご飯を口に流し込むと、急いで家を出ようとした。
どれみ「行ってきま〜す。」
はるか「ちょっと、どこに行くの?」
どれみ「え、友達の家に行くって昨日行ったじゃん。」
はるか「友達の家?宿題はしなくて大丈夫なの?」
どれみ「だ、大丈夫だよ、行ってきます。」
 どれみはそう言って家を飛び出した。
はるか「あ、ちょっとどれみ?もうついでにおつかい頼もうと思ったのに・・・。まぁいいわ、ぽっぷ、代わりに行って来てくれる?」
ぽっぷ「えぇ〜?わ、私が?」
はるか「そうよ。醤油が切れたから買ってきて欲しいんだけど。」
ぽっぷ「わ、私は夏休みの宿題で忙しいから・・・。」
はるか「本当にやる気があるなら帰ってきてからでもできるでしょ。」
ぽっぷ「そんな〜」

***

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