まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第13話『衝撃、こがねの知った未来』
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 こがねといろはは、行方不明になったハナを探しに魔女保育園から近い森まできていた。
こがね「ハナちゃん、本当にどこに行ったんだろう・・・。」
 こがねは心配そうにそう洩らした。いろはは少し考えてから、
いろは「仕方がないわ。」
 と呟いた。
こがね「・・・へ?」
 いろはの言っていることがよく聞き取れなかったらしく、こがねは疑問符を浮かべている。
いろは「魔法を使いましょう。」
 こがねはふと思い出した顔をしてから、頷いた。しかし、それと同時に何かがこがねの脳裏を駆け巡った。
こがね(魔法、かぁ。私は魔女でどれみちゃんたちは人間で・・・。私はもうどれみちゃん達とは―)
 いろはは一瞬こがねが泣いているように見えた。
こがね(私はもうどれみちゃん達とは違う世界の住人なんだ―)
いろは「こがね!」
 こがねはそのいろはの声でふと我に返った。
いろは「どうか、したの?」
こがね「え、ううん、何でもない。」
いろは「そ、そう?なら良いんだけど・・・。」
こがね「それより、早く魔法でハナちゃんを探そう。」
 いろはは黙って頷くと、手のひらに水晶玉をかざした。その水晶玉は電球などとは違う、神秘的な光を放って輝きはじめた。
いろは「ハナちゃんの居場所を・・。」
こがね「いろはさん、危ない!!」
いろは「え?」
 それは一瞬の出来事だった。突然巻き上がった竜巻は無残にもいろはの体を傷つけた。
こがね「いろはさん!」
 こがねは急いでいろはに駆け寄ろうとしたが出来なかった。何者かがこがねの肩をつかんでいたのだ。
こがね「だ、誰?」
少年「君たちこそ一体誰なんだい?ここは僕の"庭"なんだ、勝手に足を踏み入れてもらったら困るなぁ。」
こがね「あ、あなたは・・・まさかあなたがいろはさんを!?」
少年「そんなことはどうでも良い。僕の質問に答えろ。」
こがね「どうでも良い、ですって?」
少年「おっと、口には気を付けな。次期女王候補の命が心配ならな。」
こがね「!!」
いろは「あなた・・・ハナちゃんに一体何をしたの?」
 いろはは起き上がりながら言った。
少年「おや、まだ話せましたか。一撃で仕留めたつもりでしたが・・・。」
こがね「仕留める?殺すつもりだったの・・・?」
いろは「こがね、落ち着きなさい!私は大丈夫だから。それよりも、ハナちゃんに一体何をしたの、風の精霊さん。」
少年「ほう、私の正体が分かっていたのかい?」
いろは「質問に答えてください。」
少年「彼女なら無事だよ。」
いろは「ハナちゃんを返して。」
 少年は突然目を瞑ってしばらく黙り込んだあと、再び目を開けて言った。
少年「・・・なんと、私の勘違いだったみたいだな。彼女なら返してあげるよ。」
 少年、風の精霊が左の掌を上に向けるとその手から風が巻きおこった。そして、風が止むと彼の手のなかには眠っているハナがいた。
少年「・・・ただし条件がある。君たちは私の正体が精霊だと分かった以上、神殿に連れ戻そうとするだろう?」
いろは「・・・当然よ。」
少年「それをやめてくれ。」
こがね「やめる?」
少年「私はまだこの場で果たさなければならない使命があるんだ。」
いろは「だから神殿には帰らないんですか?」
少年「いや、今君たちはすでに精霊を二人集めたと聞いた。」
こがね「聞いたって、誰に聞いたんですか?」
 こがねが気付いて尋ねた。
少年「風に聞いた。私はは風の精霊なんだ、当然だろう?とにかく、君たちが私以外の全ての精霊を集めるまでは神殿には行けない。」
いろは「・・・分かりました。」
少年「そうか、さっきは突然攻撃したりして悪かったよ。次期女王候補を探しにきたということは分かっていたが、私はてっきり彼女を使って悪巧みをしようとしている奴かと・・・。私もまだまだ未熟だな、もっと風を聞く力をつけねば。」
 少年はそう言ってハナをいろはに渡した。ハナはまだぐっすりと眠っている。
いろは「あの、風で人の考えてることが分かるんですか?」
少年「少しね。ただ、私も未熟だから"風の声"を聞き落とすこともあるんだ。」
こがね「ところで、さっき言っていた"使命"って何なんですか?」
 こがねは痺れを切らして疑問に思っていたことを口にしてしまった。
少年「・・・この世界でもうすぐ戦争が始まる。」
こがね「え?」
いろは「ど、どういうことですか?」
少年「正確には誰かが戦争を起こそうとしているんだ。」
 こがねといろはの2人は突然のことに耳を疑った。
少年「そしてその誰かを僕はこの森で待っている。」
いろは「待つ?」
 いろはは思わず尋ねた。
少年「あぁ。待たなければならない。そして僕は彼をこの手で・・・。」
 こがねはぞっとした。このごくごく普通な感じの少年から感じた殺気に。
いろは「その人がこの森に来るという保証はあるんですか?」
少年「あぁ。もしもそいつが・・・いや、これ以上は話せない。話すわけにはいかない。すまない。君たちはこの世界の住人だ。そして私はこの世界の精霊。君たちを守る義務がある。だから君たちを巻き込むわけにはいかない。もちろん勘違いとはいえその義務を犯して君を傷つけてしまった事は謝る。すまない。」
 少年はいろはに頭を下げる。
いろは「い、いえ、そんな・・・。」
少年「とにかく僕は行くよ。それと、悪いが君たちも早くこの森から出て行ったほうが良いよ。この森は危険が多い。」
こがね「分かりました。」
 こがねといろはは少年と別れ、森を出て行った。
少年「・・・行ったか。それにしても魔女界にもいたんだな、あんな子供が。」
 少年は嬉しそうに微笑むと、背中の翼を広げて森の奥へ飛んでいった。

***

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