まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第09話『はづきの願い、ももこの想い』
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 美空市のとある所にある大きな館。藤原家の家の建物の中で、その夜電話の音が鳴り響いた。
ばあや「はい、藤原でございます。」
???「あ・・・えっと、はづきちゃん、居ますか?」
ばあや「居りますが・・・どちら様でしょうか?」
???「えっと・・・とにかく、はづきちゃんと代わってもらえますか?」
ばあや「・・・分かりました。少々お待ちください。」
 藤原家のお手伝いさんである彼女は受話器を置くとはづきの部屋に向かった。

─コンコンッ
ばあや「はづきお嬢様、お電話です。」
 ガチャッっという音がして部屋の扉が開く。
はづき「誰から電話なの、ばあや?」
ばあや「それが、とにかくお嬢様と代わってくれと・・・。」
はづき「誰か分からないの?」
ばあや「はい。しかし聞き覚えのある声ではあったんですが・・・。」
はづき「そう・・・分かったわ、とにかく電話に出てくるわ。」
 はづきはそう言って部屋を出ると電話があるところへ向かった。そして、はづきは受話器を取る。
はづき「もしもし?」
???「あ・・・。」
 沈黙。
はづき「あの・・・もしもし?はづきですけど・・・。」
 っとはづきが言い終わるや否や電話は切れた。
はづき「あ、あれ?」
 はづきは仕方なく受話器を置く。
はづき「いたずら電話かしら・・・。『あ・・・。』だけじゃ誰だか良く分からないけど、もしかしてあの声は・・・。」
 はづきは部屋に戻ると、窓の外を見ながら呟いた。
はづき「ももちゃん、何かあったのかなぁ・・・。あの声はももちゃんの声だと思うんだけど・・・。」
 ももこは、はづきの親友の1人である。その親友の声を聞き間違うはずがない。しかし、もしさっきの電話がももこからのものだとしたら、その親友は何故何も話さずに電話を切ったのだろう?そんな考えがはづきの頭の中によぎった。
ばあや「誰からでしたか?」
 奥からばあやが現われて言った。
はづき「それが・・・。私が出たらすぐに電話が切れちゃって・・・。」
ばあや「なんと、いたずら電話でしたか。これはなんとしたことか・・・。」
 ばあやは怒ったような口調で言う。
はづき「え、いや、でも・・・。」
ばあや「どうかしたのですか?」
はづき「う、ううん、何でも無いわ。」
 はづきは言いかけた言葉を引っ込めた。
はづき(あの電話が本当にももちゃんからかどうかは分からないし・・・。第一もしそうだとしてもももちゃんに言おうとして言えなかったようなことがあったのかもしれないわ。)
 はづきは心配で気が気でない面持ちで自分の部屋へ戻っていった。

***

 そこは美空市を流れる川のほとり。何処からともなくトランペットのたどたどしい音色が聞こえてくる。髪をリボンでくくった少女がその川のほとりへとやってくると、『キラキラ星』 の演奏が止まる。
矢田「よう。」
はづき「まさる君・・・待った?」
矢田「別に。」
 はづきは、なら良かった、という風に彼に笑いかけると、そのそっけない少年の隣に座った。
矢田「で、話って何だよ?」
 矢田はすぐに切り出した。
はづき「うん。昨日ね、多分だけどももちゃんから電話があったの。」
矢田「飛鳥から?多分って何だよ。」
はづき「私が電話に出たら、何も言わずに電話を切っちゃって・・・。でも一瞬だけちょっと声が聞こえて、その声がももちゃんだったような気がするんだけど分からなくて・・・。だけど、もしその電話がももちゃんからの電話だったら、ももちゃんに何かあったのかなぁ、って私心配で・・・。」
矢田「だったら・・・だったら藤原から飛鳥に電話をかけたら?」
はづき「え?」
矢田「飛鳥にとっておせっかいになるかもしれねえけど、藤原が気になるんだったら電話してみろよ。」
はづき「そっか・・・。うん、ありがとう。じゃぁ、そうしてみるわ。」

***

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