まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第07話『雨の雫、相川しずく?』
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ここは魔女界のはずれにあるとある古びた城。
こがね「それにしてもやっと二人目の精霊を捕まえられたね。」
いろは「本当、いろいろ大変だったわね。」
こがね「でも、この調子で行けばもうすぐに五人の精霊を集められそうだね。」
そのとき、二人の居た部屋のドアが開いた。
こがね「何だ、マジョラッタか。」
マジョラッタ「何だとはなんじゃ!それより、二人目の精霊を見つけたそうじゃな。」
いろは「うん。もう神殿に連れて行ったよ。」
マジョラッタ「そうか。ところでいろはよ、少し話があるんじゃが・・・。ちょっとついてきてくれぬか?」
いろは「良いけど・・・。何かあったの?」
マジョラッタ「何、聞きたいことが・・・あってな。」
マジョラッタはそう言うと部屋の外へ出ていった。いろはもそれに続いて部屋をでる。
こがね「話って・・・何なんだろう?」
こがねは二人が部屋から出て行くのをじっと見つめているだけだった。

マジョラッタは部屋の外の廊下で話を始めた。
マジョラッタ「いろはは何故・・・魔女界に残ったんじゃ?」
いろは「ど、どうしたの?急に・・・。」
マジョラッタ「お前は元々人間だというのに、何故人間界に帰らず魔女界に残ったんじゃ?」
いろは「それは・・・人間が魔女になったら駄目ってこと?」
マジョラッタ「そうは言っておらん。ただ・・・どうもわしにはお前が人間界に帰りたいと思ってるように思えてな。」
いろは「ど、どうしてそう思うの?」
マジョラッタ「・・・聞いているのはわしじゃ。お前は何故魔女界に残ったんじゃ?」
いろは「わ、私は・・・。私は人間界に帰るつもりなんて全く無いわ。」
いろはは怒ったような口調で言い放つと逃げるように奥の部屋に入っていった。
マジョラッタ「やはりマジョダークのせいなのか・・・?」
マジョラッタはそう呟くと、足元になにやらペンダントのようなものが落ちていることに気が付いた。
マジョラッタ「これは・・・?」
見ると、そのペンダントのロケットにはまだ幼いいろはと、金髪の髪の少女、そしていろはよりも幼く見える緑色の髪の少女が写った写真が入っていた。
マジョラッタ「・・・全く、強がりおって。」
マジョラッタはそう呟くと、先のこがねの居た部屋に入っていってしまった。

奥の薄暗い部屋の中でいろはは息を荒くしていた。
いろは「私は・・・私は・・・けど許されるわけがないじゃない。」
いろはがそう呟くと、彼女の瞳からは一雫の涙が零れ落ちた。
その涙の雫はいろはの記憶の中の、ある冬の日の雨粒と共に床に落ちた。

そう、7年前のその日、フランスのマルセイユという街では朝から大粒の雨が降っていた。その雨のせいか、1月という時期のせいなのか、その日はとても寒かった。
いろは「うぃ〜す、あれ、席替えしたの?しずくはど〜こだ?」
当時小学3年生のいろはは小学1年生の教室へとやってきた。
そこには、相川しずくという児童がいて、同じ日本人であるいろはにとっては、彼女は妹的な存在だった。そして元イギリス人の金髪の髪の少女、メアリー・ヒルスは教室を見回してしずくの姿を発見する。
メアリー「あ、居たわ。ほら、窓際の真ん中あたり。」
いろは「本当だ。しずく、帰ろう。ってあれ、何やってるの?」
いろはたちは教室に入ってきながらいろはが何かをやっていることに気が付いて言った。
しずく「あ、藤崎先輩。編物を織ってるの。」
いろは「へぇ、しずくって編物とか出来るんだ。まだ6歳ぐらいなのに凄いね。」
メアリー「何を作ってるの?」
しずく「毛糸のマフラーなんだけど・・・。ちょっと色とか変かなぁ、って・・・。」
しずくは小さな手で一生懸命織ったそのマフラーを持って言う。
いろは「そんなこと無いよ、可愛らしいじゃない。」
しずく「本当?良かった。実はこれ、藤崎さんのために作ってたんです。」
いろは「え、私のために?」
いろはは驚いて言った。
しずく「だって、今日1月13日は藤崎さんの誕生日だから・・・。」
いろは「あ・・・良く覚えてたね。」
しずく「ちょうど今出来上がったところなんです。はい。」
しずくはそのマフラーをいろはの首にかけた。
いろは「うわぁ、暖かい、ありがとう♪」

三人は傘をさしながら学校からの帰路についていた。
いろは「本当に暖かいよ、ありがとうね、しずく。」
しずく「喜んでもらえたら嬉しいです。」
しずくは照れくさそうに言う。
いろは「それにしても朝から良く雨がふるわねぇ。そうそう、メアリー知ってる?」
メアリー「何が?」
いろは「日本語で"しずく"って雨粒とかの水滴のことを言うんだよ。」
メアリー「そうなんだ、でもそれがどうかしたの?」
いろは「え?・・・ううん、別にそれだけだけど。でもね、日本には梅雨っていう雨ばっかり降る時期があるんだ。しずくの誕生日ってもしかして梅雨時じゃない?」
しずく「え、うん、誕生日は6月10日だよ。」
いろは「やっぱり?やっぱりそうなんだ・・・。」
いろははビニールの透明な傘越しに空を見上げる。
いろは「日本の梅雨ってじめじめしてて嫌いだけど・・・でもさ、"しずく"っていい名前よね。」
三人の周囲に雨の滴る音が響き渡る。

***

どれみ「あぁ、今日も雨かぁ。いよいよ梅雨って感じだね。」
さつき「本当。私、梅雨ってじめじめしてて嫌いだなぁ。」
二人は学校の2年1組の教室の窓から雨の降る外を眺めながら呟く。
どれみ「そうそう、しずくちゃんの誕生日って、もうすぐじゃなかったっけ?」
さつき「そういえば・・・6月10日だっけ?」
どれみ「確かそうだったよね。って、明日じゃん!」
さつき「じゃぁ何か誕生日プレゼント上げなきゃね。
    私の誕生日の時は可愛い手編みの小物入れみたいなのをくれたから。」
さつきは先月21日に誕生日で、しずくから手編みの小物入れをプレゼントされていた。

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