まだまだ!?おジャ魔女どれみ
第01話「枯れた桜の花」
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謎の男「ふっ・・・。これで二つめだ。これであの世界もおしまいだな。」
 その男は緑色に光る石を手にすると、そう呟いた。
謎の男「随分と時間がかかったが・・・。次の石の場所は分かっている・・・。」  男は持っていた袋を開けると、中から紫色の光を放つ宝石を取り出し、今手にしている緑の宝石と見比べた。
謎の男「やはり美しい・・・。その上全ての石を集めれば・・・。」
 男はにやりと笑って、持っていた宝石を袋の中にしまった。
謎の男「さて・・・次は橙光石(とうこうせき)だな・・・。」
 男は足早にその場を立ち去っていった。

***

 この日は新学年の始まる始業式の日だった。山吹色の長い髪の少女は職員室前に張り出されたクラス替えの表を見ていた。
さつき「私は1組で・・・しずくちゃんは2組、どれみちゃんは4組かぁ・・・。みんなバラバラになっちゃったなぁ。」
どれみ「あ、さつきちゃんおはよう。クラス替えどんな感じだった?」
さつき「どれみちゃんにしずくちゃん、おはよう。みんなバラバラになっちゃったみたい。」
しずく「本当?・・・あらら、本当だ。私は2組かぁ。」
さつき「そろそろチャイムが鳴るから早く教室に行ったほうがよさそうね。それじゃぁ、また後でね。」
どれみ「うん。そうだね。」
 3人は階段を上り、2年の教室のある2階へ向かった。
さつき「えっと、1組は・・・ここね。それじゃぁ、どれみちゃん、しずくちゃん。帰りにね。」
どれみ「うん、じゃぁね。」
 さつきは2年1組の教室へ入ると、自分の席を探してそこに座った。
???「あ、新庄じゃねぇか。」
さつき「あ、白岩君。また同じクラスなんだ。」
 さつきの名簿番号は6番で、となりの席、つまり男子の名簿6番は白岩だった。
白岩「しっかし仲のいい奴は見事なまでにバラバラになっちまってよ。」
さつき「私もどれみちゃんたちとバラバラになっちゃった。」
白岩「ま、新しい友達を作るいい機会だし、それはそれで良いけどな。」
さつき「それもそうね。」
白岩「でも、過ぎてみると1年って早いよなぁ。まだこの間入学したばっかりなような気がする。あ、そうだ。南井の奴、転校したんだっけ?何処に言ったんだ?」
さつき「え?えぇっと、あの、確か、北海道・・・だったかなぁ?」
白岩「北海道かぁ、随分遠いな。」
さつき(魔女界だなんて言えないしねぇ。それにどうせ信じてもらえないし・・・。)
白岩「ん?何か言ったか?」
さつき「え?いや、何も。」
白岩「・・・なんだ、変な奴だなぁ。」
 さつきが苦笑いしていると、前の入り口から新しい担任の先生が入ってきた。
先生「はい、席につけ。」
 さっきまで騒がしかった教室はすぐにしんとなった。

***

 ここは大阪のとある中学校。
かずは「おはよう、妹尾さん。」
 彼女はあいこの学校の友達、三室一葉(みむろかずは)である。
あいこ「かずはちゃん、おはよう。クラス替えどうなってたん?」
かずは「私と妹尾さんは同じクラスやねんけど、白木さんはとなりになっちゃってん。」
 白木みのり(しらきみのり)、彼女もあいこの一年のときのクラスメイトだ。
みのり「なんでうちだけ3組なんよ〜。」
あいこ「でも会えんくなるわけやないんやから、そない落ち込まんでも・・・。」
 落ち込むみのりに対し、あいこは苦笑いを浮かべる。
みのり「そやけどさぁ〜。」
かずは「でも壁一つ隔てただけのとなりのクラスやねんから、そんなに落ち込まなんどきいや。」
 みのりはちょっと考えると、すぐに立ち直った様子を見せて言った。
みのり「それもそやな、落ち込んでたら始まらへんし。」
あいこ「って、なんでそんな立ち直り早いねん!」
 あいこはすかさず突っ込みをいれる。
みのり「さすがは妹尾さん、4年も大阪はなれとっても突っ込みはナイスやで。」
あいこ「そりゃぁ大阪で育ってんからな。それに、帰ってきてからもう1年は経つで。」
 あいこは笑みを浮かべてから思い出したように言う。
あいこ「あ、とりあえず、もうチャイム鳴るで、また帰る時になぁ。」
みのり「うん、分かった。」
 みのりはそう言うと3組の教室へ入っていった。あいこもそれを見て自分の教室に入ろうとしたが、足を止めて上を見上げ、そして小さく呟いた。
あいこ「・・・もう会えんくなるわけやない、か。」
かずは「・・・妹尾さん?何か言った?」
あいこ「い、いやぁ、なんでもあらへん。」
 あいこはそう言うと、さっさと教室の中へ入っていってしまう。
かずは「変なの。」
 一葉は首を傾げていたが、チャイムが鳴ったのを聞いてあいこを追うように教室の中へ入っていった。

***

どれみ「どうだった?新しいクラス。」
しずく「ううん、まぁいい感じかなぁ。」
どれみ「そうなんだ、こっちも普通かなぁ。でも、担任の先生がまた長谷川先生だし・・・。」
しずく「長谷川先生はまだ面白くて良いじゃない。さつきちゃんは?」
さつき「そうねぇ・・・。普通かなぁ。悪くは無いんだけど・・・。」
どれみ「そういえば明日、英語の実力テストがあるって聞いたんだけどさ、本当なの?」
しずく「らしいね。今日は家に帰ったら勉強しなきゃ。」
 しずくはため息をつく。
さつき「英語の実力テストかぁ。頑張らないと。あ、それじゃぁ私こっちだから。また明日ね。バイバ〜イ。」
しずく「バイバ〜イ。」
どれみ「あぁ、何で新学期早々テストがあるんだろう・・・。」
しずく「そんなこと言っても始まらないじゃない。」
どれみ「そうだね。」
 二人は深いため息をついた。

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