おジャ魔女どれみ+α
特別編2『銀髪の魔女見習い』
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キララがしばらく走っていくと、そこにはまた1つ小さな部屋らしきものがあった。
「今度は、何があるのかな・・・」
キララはその部屋の扉を開けようとした。ふいに、自分の手が震えていることに気付いた。
「大丈夫・・・みんながいる、みんなが応援してくれてる・・・怖くなんて・・・ない、怖くなんてない!」
キララは自分にそう言い聞かせ、グッっと手に力を入れると、再び扉に手をかけた。扉を開けると、そこには、1人の少年が居た。
「アルス・・・」
「キ、キララ・・・」
数秒、沈黙が2人を包んだ。
「キララ、お前、どうしてここに居るんだ・・・ミラージさんは、それからシグマさんは?」
「2人なら私の友達がやっつけてくれたわ」
「友達・・・?やっつけたって何だよ・・・ミラージさんたちに何したんだよ」
「アルス、あなたは騙されていたのよ」
「・・・何だって?」
「あなたのお母さんを蘇らせる方法なんて・・・無かったのよ・・・」
「・・・嘘だ、ミラージさんは・・・俺と約束してくれたんだ・・・」
「嘘じゃない、本当よ!」
「お前・・・嘘つくな!それに、ミラージさんをやっつけた?ここまで来れたってことは、おそらく本当にミラージさんをやっつけたんだろうけど・・・どうしてそんなことするんだよ・・・どうして俺の邪魔をするんだよ!」
「違う、私はあなたのために・・・」
「うるせぇ!」
アルスはそういって何やら丸いものを取り出した。
「白虎の水晶・・・!?」
「・・・帰れよ、もう俺の邪魔なんてするな、帰れ」
「アルス、私を信じて、あなたはミラージさんに利用されてただけなの!ミラージさんはクインダム王国国営部隊総隊長で、私たちのスルアズマで内乱を起こさせるためにあなたを利用したのよ!」
「黙れ、早く帰れ、じゃないと俺が・・・魔法でお前を殺す・・・」
「アルス・・・信じてよ・・・」
「帰れって・・・言ってるだろ!?」
不意に、アルスの頬を涙がつたった。
「アルス・・・」
「俺は・・・本気だぞ・・・お前を殺すって・・・帰れよ・・・帰ってくれ・・・なぁ、これ以上俺を悲しませないでくれ・・・俺を・・・苦しめないでくれ・・・」
「アルス、だから私は嘘なんてついてない、なんだったらミラージさんに聞いてみなさいよ!」
「・・・」
「アルス・・・?」
「本当に・・・嘘なのか?」
「・・・うん」
「うすうす・・・気付いてたんだ・・・白虎の水晶を持ってきたのに・・・ミラージさんは・・・一向に俺の母さんを蘇らせてくれる気配がなくて・・・でも、もう、俺は帰れない、もう、スルアズマには・・・俺は国家の財宝を盗んだ悪人だ・・・もう戻れないんだよ」
「そんなことない、私がミラージさんとのこと、全部話してあげるから・・・そしたらお父さんもきっとあなたのこと、許してくれると思う・・・」
「でも・・・もう放っといれくれよ!俺はもう・・・」
「アルス・・・」
「なんで・・・なんでお前は俺にそんなにかまって来るんだよ!王女様にとって貧しい一般庶民の俺のことなんて・・・どうでも良いだろ!」
「どうでもよくない!」
キララは怒鳴った。
「だって、アルスは・・・私にとってアルスは大切な人だから・・・」
「な、何言ってるんだよ・・・」
「だって、私・・・アルスのこと・・・」
キララは一瞬口をつぐみ俯いたが、思い切ったようにアルスの顔を見て叫んだ。
「アルスのこと、好きだから!!!」
「!?」
再び部屋の中に静寂が訪れた。1分、2分と、沈黙は続いた。
「ごめんなさい、アルス・・・」
静寂を破ったのは、キララだった。
「キララ・・・俺・・・」
「良いの、ごめんね、突然こんな場所でこんなこと言って・・・でも、これが私の正直な・・・正直な気持ちだから・・・」
「キララ・・・」
「だから、帰ろう。お願い・・・アルス・・・」
キララは泣きながら訴えている。
「・・・分かったよ」
「アルス・・・」
キララは俯いた顔を再び上げた。
「その・・・悪かった・・・キララにいろんなこと言っちまって・・・俺、ずっと自分のことばっかりしか考えてなかった・・・本当、やな奴だよな・・・俺って・・・キララは何も悪く無いのに・・・キララに当たっちまって・・・俺は・・・俺は・・・」
「やな奴だなんて、そんなこと無いよ。だって私は、アルスのこと、知ってるから・・・アルスの良いところ、たくさん知ってるからそれより、行こう、私と一緒にアルスを探すのを手伝ってくれた、地球の友達が向こうで待ってるからさ」
「・・・おう」
***
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