おジャ魔女どれみ+α
特別編2『銀髪の魔女見習い』
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どれみたちは、洞窟の出口の森まで戻ってきた。
「はぁ〜あ、久しぶりの日光、って感じだね」
「今日は・・・いろいろあったわね」
「みんな・・・本当にすまない、キララのために、それから俺のために、迷惑をかけてしまって・・・」
「アルス君、私たちなら平気だよ、だって、私たちは、キララちゃんの手助けがしたくて勝手に協力しただけだからさ」
「そうそう、だから気にすること無いよ」
「みんな、ありがとう」
アルスは深々とどれみたちに礼をした。
「さてと、んで、この2人はどないするん?」
あいこはそう言って、ロープで縛られたミラージとシグマの方を見た。
「とりあえず火星まで連れて帰るわ」
「地球に放って行くわけにもいかねぇからな」
「でも、火星までどうやって帰るの?」
「魔女界を経由して行くの」
「魔女界から行けるんだ、へぇ〜、知らなかったよ」
「というより、まず火星に人が住んでることから知らなかったけどね」
「キララ、そろそろ・・・」
「うん、そうだね」
キララはどれみたちの方を向き直った。
「みんな、本当にありがとう、本当に、本当に助かったよ。私なんかのために、アルスのために協力してくれて・・・私、みんなに出会えて本当に嬉しかった。だから、私は言えるよ。みんなが"私の友達"だって、胸を張って言える。だから、みんなのこと、絶対に忘れないよ」
キララはそういって、微笑んで見せた。
「私たちにとっても、キララちゃんのこと、大切な友達だよ」
「火星に帰っても、私たちはずっと友達よ」
「どれみちゃん、はづきちゃん・・・」
「それからたまには地球まで遊びに来てや」
「今度はキララちゃんも一緒に雪合戦とか、いろいろやりましょう」
「I'm looking forward to seeing you again !」
「あいちゃん、おんぷちゃん、ももちゃん、ありがとう」
「今度地球に来た時は絶対に会いに来てよね」
「私も、絶対会いに来てね」
「しずくちゃん、さつきちゃん、分かったよ」
「もし地球に来て困ったことがあったら、お姉ちゃんじゃなくて私に聞いてね」
「ちょっとぽっぷ、それどういう意味よ・・・」
「あはは、ぽっぷちゃん・・・分かったわ」
「キララちゃん・・・実は私もね、ついこの間まで友達なんて居なかったから、キララちゃんの気持ち、すごく分かるんだ、だから、私も絶対にキララちゃんのこと忘れない、そして、また会えるって信じてるから・・・」
「こがねちゃん・・・私も、信じてる。だから、行くね」
キララはそういうと、アルスと共に、ミラージ、シグマを連れてその場を去っていった。
「行っちゃったね・・・」
「うん」
「私たちも帰ろっか」
「そうだね」
そういうと、どれみたちも、その場を後にした。
***
火星に戻ったキララとアルスは、スルアズマの城の外にある、ここが地下だとは思えないほどの広い草原の上に腰を下ろしていた。地球は冬であるのに対し、地球より寒いはずのここは、信じられないほど暖かく、2人の居る草原には、桜の木が生い茂っているほどだった。
「なぁ、キララ・・・」
「何?アルス」
「いい奴らだったな、地球の奴ら」
「・・・えぇ」
「キララ、それから・・・」
「え?」
「俺、あのときの返事、まだ言って無かったよな・・・」
「あの時のって・・・あ・・・」
キララの頭の中で、ある言葉が蘇った。
『だって、私・・・アルスのこと・・・アルスのこと、好きだから!!!』
それを思い出して、キララは顔を赤くしてアルスから目を逸らした。
「俺・・・」
「分かってる、迷惑・・・だよね・・・ごめんね、アルス」
「違う、違うんだ・・・」
「えっ!?」
「俺もキララのこと・・・好き、だから・・・」
「・・・アルス」
2人とも顔を赤くして、別々の方向を向いている。風も吹かないこの地下で、空気の流れる音さえしない静けさの中、2人の耳に届いていたのは、自分の胸の高鳴りと、お互いに言った言葉の残響だけだった。
「私なんかで・・・良ければ・・・」
キララが恥ずかしそうに言った時、やっと2人は目を合わせた。そして、キララのその言葉にアルスは少し笑って答えた。
「私"なんか"って、王女様になんかも何も無いだろ」
「・・・そうかな?」
そう言ってキララは笑った。それにつられ、アルスも笑みを見せた。特段面白いことでも何でも無かったのだが、笑いがとまらなかった。
「また・・・行きたいね、地球に」
笑いがようやく治まってきた頃、キララが言った。
「そうだな」
「ねぇ、アルス・・・」
「なんだ、キララ?」
「・・・ううん、何でも無い」
「なんだよ、それ」
「あはは、何でも無いよ」
「おい、言えって、何言おうとしたんだよ」
「ヒミツだよ〜」
キララはそう言って笑って見せた。そのキララの顔の横を、桜の花びらが舞っていた。
地球のものとはなんら変わらない、綺麗な桜の花びらが─
おジャ魔女どれみ+α特別編2
『銀髪の魔女見習い』
─完─
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