おジャ魔女どれみ+α
特別編2『銀髪の魔女見習い』
11/13
最初の部屋。
「あいちゃん、大変、魔法玉がきれちゃったよ!」
「も、ももちゃんも!?あかん、私もや・・・」
ロボットの目が再び赤く点滅しはじめた。
「やばい、来る・・・でももうバリアーも何も出されへん・・・」
「Oh , My God!番人休すか・・・」
「ももちゃん、それを言うなら万事休すやで・・・」
こんな状況に陥ってもツッコミは忘れないあいこ。そして、ロボットの目の点滅がしだいに早まっていく。
「あかん・・・どれみちゃん・・・ごめん」
あいこがそう呟いたその時だった。
「・・・?」
「レーザー、来ないね・・・」
ロボットを見ると、何か様子がおかしかった。
「動きが止まってる・・・何でや?」
「もしかしたら、どれみちゃんたちが何かやってくれたのかも・・・」
「・・・そっか、はぁ〜助かった・・・ほんまに死ぬかと思ったで・・・」
急に力が抜けたように座り込むあいことももこ。
「キララちゃん、アルス君と会えたのかな・・・」

***

一方、おんぷとぽっぷはまだあの穴の中に居た。
「ぽっぷちゃん、行けそう?」
おんぷたちの落ちた穴の一番下には、横に抜ける小さな穴があり、その穴にぽっぷが入って穴の向こう側を覗き込んでいた。
「だ、だめだよ、向こう側に網みたいなものがあって外に出られない!」
「そんな・・・」
おんぷは上を見上げた。炎はおんぷたちのすぐ頭上まで迫っていた。
「それにしても、炎の迫ってくる速度がやけに遅いわね・・・」
「そ、そんなこと気にしてる場合じゃないですよ!」
「うん、そうね、でも、炎の来る速度が遅いおかげでなんとかまだ助かってるもんね・・・でも、私もぽっぷちゃんも、もう魔法玉が無くなっちゃったから、どうしようも無いわ・・・」
おんぷたちは、迫り来る炎を消そうと何度も魔法を使い、魔法玉を全て消費してしまっていた。
「どれみちゃん・・・ごめんね・・・」
そして、その時、一瞬にして炎が消えた。
「え、な、何?何が起こったの!?」
炎が消えると、すぐに頭上から雨のように水が降ってきた。
「あ、雨?」
  「この水のおかげで炎が消えたんだ・・・ぽっぷちゃん、とりあえず上まで戻りましょう」
「は、はい」

***

「く、くそ・・・」
ミラージはさつき、こがねの2人の協力する魔法により体を縛られて身動き出来ない状態にあった。
「これでよし、と」
「危なかったわ、魔法玉、もう全部無くなっちゃったよ」
「こがねちゃんも?」
「私も、ってことは、さつきちゃんも?」
「うん、ほら」
さつきのポロンを見ると、魔法玉はすっかりなくなってしまっていた。
「そういやキララちゃん、アスル君と会えたのかしら・・・」
2人は頭上を見あげた。

***

「これで、防衛システムは全部停止したみたいだね」
どれみのその台詞の直後に、この部屋の入り口とは反対側の壁に、音を立てて出口が現れた。
「行こうか」
「えぇ」
4人は、その出口をキララを先頭にくぐろうとした。しかし・・・。
「あいて!」
キララが通り過ぎた直後、どれみが何かにぶつかったらしく言った。
「どれみちゃん、どうしたの?」
「ここ、壁があるよ・・・?」
「え?」
「本当だわ、壁がある・・・」
それは、今さっきキララが通り過ぎた出口のところだった。
「その出口は、火星の民しか通れないはずよ」
そう口を開いたのは、ロープで縛られたシグマだった。
「ってことは、私たちは通れないってこと?」
「どれみちゃん・・・」
「キララちゃん・・・」
「ねぇ、あなた、ここを地球人でも通れるようには出来ないの?」
しずくがシグマに問いかけると、
「そんなこと、私に聞かれても知らないわ」
シグマはそう答えた。
「知らないのか・・・どうしよう、キララちゃん」
「私・・・私、ここから先は1人で行くよ」
「キララちゃん、でも・・・」
その時、部屋に数人の少女が駆け込んできた。
「みんな・・・」
部屋にやってきたのは、あいこ、ももこ、おんぷ、ぽっぷ、さつき、そしてこがねの6人だった。
「みんな、無事だったんだ・・・」
「キララちゃん!」
「キララちゃん、ミラージって奴ならコテンパンにやっつけといたわ!」
「キララちゃん、大丈夫やった?」
「大丈夫よ・・・それから、ありがとう。昨日あったばかりの私のために・・・ここまで着いてきてくれて。みんなが居なかったら・・・私・・・」
「キララちゃん、それは良いんだよ、だって、私たち、"友達"、でしょ?」
どれみのその言葉に、キララは力いっぱい頷いた。
「ねぇ、どうしてどれみちゃんたち、先に行かないの?」
そういってさつきが部屋の出口をくぐろうとしたときだった。
「・・・壁?」
さつきはその壁の存在に気付いた。
「火星の人以外はここから先には進めないんだって」
「そ、そんな・・・私たち、せっかくここまで追いかけてきたのに・・・」
「みんな・・・大丈夫だよ、私のことなら」
「キララちゃん・・・」
「みんなのおかげでここまで来れたんだから、本当は、私1人でアルスを探さなきゃいけなかった。だって、みんなには関係の無いことだったからさ・・・だから、ここから先は私に任せてよ、きっと大丈夫だからさううん、絶対に大丈夫だから」
「キララちゃん・・・」
「よっしゃ、キララちゃん、頑張れ!」
「キララちゃんなら大丈夫、私が保証するよ」
「頑張ってね・・・」
キララの瞳にうっすらと涙が浮かんでいた。キララは、それを拭って、笑顔を見せると、言った。
「みんな、行ってきます!」
キララはそう言って1人、通路の先へ消えていった。

***

次のページへ
リストに戻る