おジャ魔女どれみ+α
特別編2『銀髪の魔女見習い』
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どれみたちが次にたどり着いた部屋は、今までの部屋と違い、5メートル四方ぐらいの小さな部屋だった。
「行き止まり・・・?」
その部屋には、入り口はあるが、出口が無かった。
「そんな・・・行き止まりなんて・・・」
「貴様らか・・・ここに勝手に忍び込んだネズミは・・・」
その声は、どれみたちの頭上から聞こえてきた。
「あ、あなたは・・・!?」
どれみたちは上を見上げると、天井が見えないくらい高い位置にあった。
「行き止まりと思ったら上に道があったのね・・・」
「お前ら、ここへ一体何をしに来た?」
「アルスっていう子を探しに来たんです、知りませんか?」
「アルス?ほう、あのガキの知り合いが地球に居たのか」
「・・・あなた、まさか火星人?」
「ふん、そうだ、俺は火星人、それがどうした?」
「アルスを何処へやったの!?」
「あのガキなら上に居るぜ」
「そうか・・・あなたなのね?」
「何がだ?」
「アルスに国家の財宝である白虎の水晶を盗ませたのは・・・あなたなのね?」
「・・・貴様、スルアズマの人間か?」
「えぇ」
「ふん、気にくわねぇ」
「まさか・・・あなた、クインダム王国の・・・」
「クインダム王国?」
「スルアズマと対立している国の名前よ」
「ごもっとも、俺はクインダム王国国営部隊総隊長、ミラージ・ドムドーラだ」
「あなた、なんでアルスを使ってこんなことをするの?」
「国を滅ぼすには国の内側で、もめごとを起こせば良い。国家の財宝が無くなって内乱が起これば、他国との戦争ばかりに力を注げなくなる」
「あなた・・・そんなことのためにアルスを利用したのね」
「ふん、あのガキなら白虎の水晶を喜んで持ってきてくれたぜ」
「なっ、そんなわけ無いわ」
「はっはっは・・・そう信じたいならそう信じていれば良い。だが・・・」
ミラージは、突然腰から刀を抜いた。
「俺の目的を知ってしまったからには死んでもらおうか」
「・・・アルスは」
「キララちゃん、危ない!!」
どれみはキララの体を自分の方に思いっきりひいた。キララはそのおかげで間一髪で攻撃を受けずにすんだ。
「アルスは・・・自分の意志で国家の財宝を盗んだりはしない」
「まだゴタゴタ言ってるのか貴様・・・」
「アルスに何を吹き込んだのよ、アルスに何か言ったんでしょ!?」
「あぁ、そういやあいつの母親が死んだ時に、お金か白虎の水晶を持ってくれば母親を蘇らせる方法を教えてやると・・・そう言った気がするが、よく覚えてないね」
「母親が・・・死んだ・・・?」
アルスの母親が死んだ・・・その事実もキララに衝撃を与えた。
「そんな・・・アルスにはお父さんも居ないのに・・・」
「もちろん俺は死んだ奴を蘇らせる方法なんて知らないがな。そしてあのガキが大金なんて持っているわけはなく・・・代わりに白虎の水晶を持ってきてくれたよ、俺を信用してね。」
その時、キララの脳裏に一瞬アルスのある言葉が蘇った。

(『お前に貧しい一般庶民の気持ちが分かってたまるかよ―』)

「アルス・・・」
キララの頬を一雫の涙がこぼれ落ちた。
「ったく、死んだ人間をなんの制約もなしに蘇らせられると思ってるのか?あのガキは・・・くっくっく、はっはっはっ!!!」
「何が・・・おかしいのよ」
「おかしいだろ、そりゃ、俺のついた嘘を本気にして、未だに騙されたことに気付いちゃいねぇんだぜ?そんな馬鹿な奴がこの世に居たものかと思えば、おかしくて笑いが止まらないね」
「あなた・・・最低ね、アルス君がどんな気持ちであなたにすがりついたのか分からないの?」
さつきが、ミラージに向かってどなりつけた。
「知らねえなぁ、そんなこと」
「もう・・・許せないわ、みんな、ここは私に任せて先を急いで」
「さつきちゃん・・・」
「早く行って!」
「生意気な小娘だ・・・まずはお前からぶった切ってやる!」
「さつきちゃん!」
こがねがポロンを構えた。
「プラットフォルン ペイントランロット! 刀よ、スポンジに変われ!」
すると、ミラージが持っている刀が音をあげて刀の形をしたスポンジに変わった。
「な、なに!?」
「さつきちゃん、私も残るわ、良いでしょ?」
「こがねちゃん・・・分かった、じゃあどれみちゃんたちは早く先へ!」
「さつきちゃん、こがねちゃん・・・絶対無事で居てよね!」
4人は箒にまたがり、上へ向かって飛んで行った。

***

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