おジャ魔女どれみ+α
特別編2『銀髪の魔女見習い』
6/13
しばらく進むと、今度は穴だらけの部屋に出た。
「何、この部屋・・・穴だらけだよ」
しずくがそう言って穴のしたを覗き込むと、底が見えないくらいその穴は深かった。
「しかも部屋の出口が凄く遠いね・・・」
「それにしても山の洞窟になんでこんなに大きなダンジョンみたいなのがあるわけ・・・?」
さつきは呟いた。
「この穴、何か出てきそうだよね・・・」
「でも、ここを通らないと先には進めないわよ?」
「とにかく、落ちないように注意して進みましょう」
おんぷはそう言うと、先頭に立って先を歩き始めた。キララがそれに続き、どれみたちもそのさらに後を追った。
「ねぇ・・・何か聞こえない?」
「どれみちゃん、何かって?」
「本当だ・・・何か聞こえる・・・」
キララは立ち止まって耳をすまながらそう言った。よく耳をすませると、地鳴りのような、低い音がしきりに聞こえてくる。そして、その音はしだいに大きくなっていく。
「何の音だろう・・・」
「何か嫌な予感がするわ、先を急ぎましょう」
その時、どれみたちの背後で、突如ドンッという音がした。
「な、なに?」
見ると、部屋の入り口から巨大な火柱が上がっていた。
「ひ、火柱!?」
火柱は、じりじりとどれみたちの方へと迫ってきている。
「ねぇ、出口に扉があるわ、多分あれを閉めたら火は追ってこないと思うんだけど・・・」
「そうね・・・みんな、出口へ急ぎましょう!」
どれみたちは全速力で走って部屋の出口までたどり着いた。
「お姉ちゃん、待ってよ〜」
1人年の離れたぽっぷだけ足の速さの分、遅れを取ってしまったらしい。
「ぽっぷ、はやく!」
「って、うわぁ!」
ぽっぷは焦ったのか、足を滑らせ穴の中に落ちてしまう。
「ぽっぷ!」
「ぽっぷちゃん!」
それに誰よりも速く反応したのはどれみだった。
「ぽっぷ、今行くよ!」
どれみはそう言ってぽっぷの落ちた穴のところまで走っていった。おんぷがそれに続いて走っていった。
「ぽっぷ?大丈夫?」
「ぽっぷちゃん、今助けるわ」
「は、はやく、たすけて・・・」
ぽっぷは穴の下の少し出っ張った部分にかろうじてつかまっている。
「何かロープみたいなものは・・・そうだ!」
「こういうときこそ魔法よ」
おんぷはすぐさまポロンを構えると、呪文を唱えた。
「プ〜ルルンプルン ファ〜ミファミファー ロープよ、出てきて!」
おんぷは出てきたロープの片方を持って、それを穴の下に投げた。
「ぽっぷ、これに捕まって!」
「う、うん・・・」
ぽっぷがそのロープの片方に捕まったその時─。
「きゃ、きゃぁ!」
ぽっぷの紐の引っ張る強さに負けて、おんぷが穴の中へ引きずり込まれていく。
「お、おんぷちゃん!」
しかし、おんぷはかろうじて穴の淵のところを掴んで落下を避けた。
「大丈夫、おんぷちゃん?」
「私より、ぽっぷちゃんは・・・!?」
「私は大丈夫だよ〜けど、手が・・・そろそろ・・・」
「2人とも、今助けるよ!」
「だめ!」
「・・・え?」
「どれみちゃん、後ろ、火がもうすぐそこまで来てるわ」
「げ、本当だ・・・じゃぁ早く助けるから、ちょっと待ってて」
「だめよ、そんなことしてたら、3人ともあの炎にやかれちゃうわ」
「でも、だからって2人をほっとけないよ」
「私たちなら大丈夫よ、この穴、下から風が吹いてきてるの。要するにこの穴の下に空気の流れがあるってことよ、きっと出口があるはずだわ。だから、箒にでも捕まってゆっくりこの穴の下まで降りていけばきっと出口があると思うの。」
「おんぷちゃん・・・」
「だからどれみちゃん、急いで!それから、キララちゃんを絶対にアルス君のところまで連れて行ってあげて!」
炎はどれみの背後まで迫っていた。
「・・・うん、分かった」
どれみはそう言って立ち上がると、おんぷとぽっぷを置いて、出口で待っているはづきたちの下へ走った。
(おんぷちゃん、それからぽっぷ・・・絶対無事で居てよね)
どれみはそう心の中で呟きながら、出口まで走った。出口までたどり着いた頃には、炎はおんぷたちの落ちたの穴の上をとうに通り過ぎていた。
「・・・行こう」
「・・・うん」
どれみたち6人は、出口の扉を閉め、炎が追ってこないようにすると、さらに先を急いだ。

***

次のページへ
リストに戻る