おジャ魔女どれみ+α
特別編2『銀髪の魔女見習い』
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「はぁ〜疲れた〜」
「楽しかったね、雪合戦」
「本当、楽しかったわ、それにしても、雪合戦なんてやるの、何年ぶりかしら・・・」
「私は・・・初めてかなぁ」
はづきの言葉を聞いてそうもらしたのはこがねだった。
「雪だるまなら作ったことあるけど・・・」
「雪だるま・・・そうだ、今から雪だるま作らない?」
「雪だるまかぁ、よっしゃ、ごっついの作るで〜」
─ドサッ。
「うわっ!」
気合満々のあいこの背後から、その音と声は突然聞こえてきた。
「へっ?」
「ドサッ、って何の音?」
「それに今の声は・・・どれみちゃん、よね?」
「そういえば、どれみちゃんは?」
気がつくと、どれみの姿が見えない
「こ、ここだよ〜」
雪の塊から突然1本の手が現れた。
「きゃぁ!?」
突然現れた手に驚いて悲鳴をあげるはづき。
「もしかして、どれみちゃん、この雪の中?」
「あ、木の上から落ちてきた雪に埋もれちゃってってところかしら?」
「そ、そんなことより、早くどれみちゃん助けないと・・・」
「あ、そ、そうよね、みんな、どれみちゃんを助けましょ」
その時だった。突如おんぷたちの視界に光球が現れたかと思うと、その光球は雪に当たった。
そして、その光球がポンっとシャボン玉がはじけるような音と共にはじけたかと思うと、同時にどれみを覆っていた雪は一瞬にして溶けて消えた。
「な、何、今の!?」
「雪が・・・消えたわ」
驚いているはづきたちの背後から、突如その声は聞こえてきた。
「大丈夫ですか?」
それは、誰にも聞き覚えの無い声だった。その声の主は、銀色の長いカールした髪が特徴的などれみたちと同い年くらいの女の子だった。
「大丈夫ですかって・・・誰?」
「え、わ、私ですか?」
「この子が来てる服、魔女見習い服だわ・・・」
「ってことは、今雪が消えたのは、この子の魔法?」
「あ、し、しまった・・・正体がバレたら・・・」
その少女はどうやら今やっと自分がまだ魔女見習い服を来ていることに気付いたらしい。
「大丈夫よ、安心して、私たちも一応魔女見習いだから」
「え、そうなんですか・・・そうですよね・・・よく考えたら、そうじゃなきゃ私の着ている服が魔女見習い服だなんて分からないですもんね」
「えっと・・・私は春風どれみ。魔法使って私を助けてくれたんだよね?ありがとう」
「私は藤原はづきよ」
「私は妹尾あいこ、こっちが瀬川おんぷちゃんで、そっちが相川しずくちゃん」
「My name is Momoko Asuka」
「それから私は新庄さつき、この子は南井こがねよ、よろしくね」
「あ、えっと・・・私はキララ・スルアズマです。」
「きららするあずま?ってことは・・・日本人じゃぁ・・・ないよね?」
「はい、あ、そもそも地球の人でも無いんですけどね・・・」
「それは・・・人間界の子じゃないってこと?」
「いえ、一応区分は人間界になるんですけど・・・私、火星から来たんです」
「か、火星から!?」
「火星からって、それ、ほんまかいな・・・」
「はい、嘘じゃなくて本当なんですけど・・・」
「昔から双子惑星とかなんとか言って火星に人が住んでるんじゃないかって言われてたけど、火星に人って本当に住んでたんだ・・・」
「火星の地表は地球と比べて寒いので、火星人は地表より温度の高い地下で生活しているんです」
「へぇ、そうなんだ・・・」
「で、でもさ、火星人って確か、タコなんじゃ・・・」
「え、タコ、ですか?」
「どれみちゃん、あんたいつの時代の人間やねん・・・」
「それはともかく、ねぇ、キララちゃん、どうして火星の子がわざわざ人間界に?」
「え、えっと・・・それは・・・」
「ま、まさか地球侵略とか!?」
「え、いや、そんなことはありませんけど・・・」
「もう・・・どれみちゃんは黙ってて」
「はい・・・すいません」
「私が人間界に来てるのは・・・えっと・・・その・・・」
「何か言えない事情でもあるの?」
「そういうわけでも無いんですけど・・・実は、ちょっと人を探しに来てるんです」
「人を探しに?」
「と、とにかく私、急いでるんで、すいません、それじゃぁ・・・」
「え、あ、ちょっと・・・」
キララは逃げるようにして箒に跨って雪の止んだ冬空を飛んでいった。
「行っちゃった・・・」
「それにしても、火星人って本当なのかな・・・」
「いかにも嘘っぽいよね・・・」
「そうかな・・・別に火星に人ぐらい住んでても良いと思うけどな・・・」
「・・・そういう問題じゃ無い気がするけどね」

***

「くそっ、開かねぇ・・・」
少年は重たい扉をこじ開けようとしていた。
「やっと見つけたわ・・・」
少年は背後から聞こえてきた声に反応して振り向いた。
「キララ・・・王女」
「き、キララで良いよ、アルス」
アルスと呼ばれた少年はキララから目を逸らし、再び扉を開けようとし始めた。
「アルス、話は聞いたけど・・・どうしてあんなことしたの?」
「・・・知ってたのか?」
アルスは再び手を休めた。
「父が兵士の方と話をしているのを聞いちゃったの・・・」
「そうか・・・それで、キララ王女は・・・」
「だからキララで良いってば、私たち、幼なじみなんだから」
「でも・・・」
「良いの、別にここ、地球には私たちを知る人は誰も居ないんだから」
「キララ・・・」
「そう、それで良いよ。で、さっきは何を言おうとしてたの?」
「キララは・・・何をしにきたんだ、この地球に」
「アルスを説得しに・・・」
「俺を?・・・悪いが帰ってくれないか」
「え・・・」
「俺にはもう、後戻りなんて出来やしない」
「な、何言ってるのよ・・・」
「うるせぇ、王女であるお前が貧しい一般庶民の気持ちなんて分かるかよ!」
「!!」
「帰れよ」
「アルス・・・でも」
「帰れって言ってるだろ!?」
「・・・」
キララは泣きだしそうになるのを必死で押さえながら、箒にまたがるとその場を急いで去っていった。
「すまない、キララ・・・」
アルスは呟くと、目を瞑った。アルスの前髪がかすかに揺れ動くと、さっきまでびくともしなかった扉がひとりでに開いた。扉の向こうには、男が一人立っていた。

***

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