おジャ魔女どれみ+α
特別編「親子の絆」
4/8
 季節は変わり、ポカポカと暖かい春を迎えた。
その日、いろはは学校の休み時間に、校舎の屋上から大きな街を見下ろしながら風に当たっていた。
「フランスにも四季はあるんだなぁ・・・。」
「あら、ということはあなたの住んでいた国もフランスと同じ温暖気候だったの?」
 いろはは突然後から声をかけられて驚いた。
「あ、あなたは確か・・・。」
「同じクラスのメアリー・ヒルスよ。よろしくね。」
 メアリーと名のるその女の子は、いろはに手を差し出した。
「よろしく。私はえっと・・・いろは・ふじさきよ。」
 いろはは差し出された手を握った。すると、メアリーは優しく彼女の手を握り返し、そして微笑んでくれた。いろはも自然と笑みを浮かべていた。
「いろはって、フランスの人じゃないでしょ?どこから来たの?中国?」
「ううん。日本から。」
「日本?へぇ〜。日本か。そういえば私のお母さんは日本が好きだったんだって。」
「好きだった・・・?」
 いろはは思わず聞き返してしまった。
「あ、嫌さ、私のお母さんさ。私が物心つく前に死んじゃったんだ。」
「ご、ごめんなさい。」
「ははは。良いのよ。別に。気にしないから。」
「・・・メアリーって、優しいんだね。」
「え?」
「ほら、私ってこの学校に来て五ヶ月経つのに友達とかいなくてさ・・・。結構寂しかったんだ。」
「私もそうなんじゃないかなって思ってたの。だから今日思い切って話し掛けてみたんだよ。それとさ・・・私もフランスの人じゃないんだ。」
「え?そうなの?」
「うん。小さい時はイギリスの北部に住んでたんだ。だから、なんとなくだけどいろはの気持ち分かるんだ。違う国に来た時の気持ちって・・・。」
「そうだったんだ・・・。」
「それよりさ、なんかして遊ばない?」
「うん。」
 こうして二人は打ち解けていった。メアリーと仲良くしているいろはを見て、周りもだんだんいろはと仲良くなっていった。
そんなある日─
 いろはは一人、学校から帰る途中だった。
「メアリー、今日風邪で学校休んでたみたいだけど大丈夫かな・・・。」
 いろははそんな考えごとをしながら歩いていると、一軒のお店が目に入った。
「あれ?こんな所にお店があったかな・・・?」
 いろははふと店の上を見上げて、看板を見た。
「MAHO堂☆カフェ・・・?ってことはもしかして・・・?」
 いろはは店の中に入った。その時客はいなかった。
「誰もいないのかしら?」
 いろははキョロキョロとあたりを見渡したが、あたりはひっそりとしていて、まるで時が止まっているようだった。その時、店の奥のほうでわずかな音がしたのをいろはは聞き逃さなかった。
「店の奥に誰かいるみたい・・・店の人かな?」
 いろははおそるおそる店の奥へとつながっていると思われる扉に手をかけようとした。しかし、その時、その扉は開いた。いろはは突然の事に驚いた一歩後に下がってしまった。

次のページへ
リストに戻る