おジャ魔女どれみ+α
特別編「親子の絆」
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 戻って、ここはいろはの家。
「いろは〜、寝てるの?」
 いろはの母親である彼女はいろはの部屋のドアのノックしながら言う。
「時差ボケで疲れてるんだろ、きっと。お腹がすいたら多分起こしに来るから、その時にご飯を作ってやれ。」
 いろはの父親は彼女にそう言った。
「そうね。」
 二人は、いろはの部屋の前でそう会話を交わしたあと、二人の寝室へと戻った。もちろん、いろはが部屋にいないなどと言うことは知る由も無かった。

***

「さぁ、ついたわよ。」
「ここが新しいMAHO堂・・・。」
 いろははMAHO堂の雰囲気の変貌さに驚いた。前のように古びた洋館のような感じはなく、真新しい感じがした。
「いろはがマルセイユに引っ越すと聞いた時から準備してたのよ。」
「そうだったんだ・・・。全然知らなかった。」
 いろはは星空を見上げるように天上にかかっている看板を見た。
「フラワーショップMAHO堂?」
 いろはは静かにその看板の語を読んだ。
「私の本職だよ。まぁ、花を売っていたわけではないがな・・・。」
 洋館の中から一匹の蛙が飛び出してきた。
「マジョセスロインさん!・・・本職ってどういうこと?」
「私が魔女界に居たときにしていた仕事じゃ。」
「マジョセスロインは魔女界に居たとき、植物学者だったのよ。」
 横からファーラが付け足していった。いろはは頷いて、
「マジョセスロインさんってそういう仕事してたんだ・・・。でも、日本にいた時は何でスキー場だったの?年中開いてなかったみたいだけど・・・。」
 と、聞いた。マジョセスロインは少し間をおいてから答えた。
「北海道にあったMAHO堂は少しわけありでな・・・。私が開いたものじゃないんだよ。」
「わけあり・・・?」
「そうだな。どうせなら全て話すか。その前に中に入れ、寒いだろう?」
 マジョセスロインのその言葉に、いろはは何か違和感を感じていた。
「う、うん。」
 いろははマジョセスロインとファーラがMAHO堂に入っていくのを見届けてから、MAHO堂の中へと入っていった。
「そういえば晩御飯がまだとか言ってたわよね?」
「うん。お腹すいたよ。」
 いろははファーラの問いかけに素直に答えた。
「・・・確か奥の棚におにぎりが作っておいてあるはずだ。」
「あら、準備がいいのね。水晶球で私たちの会話聞いてたの?」
「まぁな。」
「とりあえずとってくるわ。」
「すまないな。」
 マジョセスロインは再びいろはの方に向いて言った。
「で・・・さっきの話だが・・・。」
 いろははじっと魔女ガエルとなったマジョセスロインの瞳を見つめている。
「あのMAHO堂は五年前まで私の無二の親友が経営していたものなんだ。」
ファーラは持ってきたおにぎりを部屋の中央にあるテーブルの上に置いたが、いろはは見向きもしなかった。
「彼女の名は・・・マジョスノー。彼女はとにかく雪が好きでな。小さい頃から、大きくなったらスキー場を運営したいといっておった。そして八年前・・・彼女の夢はかなったんだ。」
「じゃぁあのMAHO堂は八年前に出来たんだ。」
「あぁ。しかしそれから三年後、つまり今から五年ほど前だ。彼女は病死した。原因不明の病気でな。 そして死ぬ直前、私が彼女から言われたんだ。 あのMAHO堂は、少なくともあと五年は守っていてくれとな。」
「あと五年・・・?守る?」
 いろはは首を傾げた。
「あぁ。私も何のことかさっぱり分からなかった。だから五年経ってからもあのMAHO堂に住みつづけたんだ。」
 いろははますます分からない、といった表情を見せた。
「はっはっは、そんなに深く考えなくても良い。子供には難しい話だからな。いろはがもう少し大人になったら・・・もっと細かい話もしてやろう。」
「・・・うん。」

***


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