おジャ魔女どれみ+α
第47話「旅立ちの印」
2/2
どれみ「もう5時半か・・・。そろそろ後片付けをはじめないと、家に帰るのが遅くなっちゃうから・・・。」
こがね「あのさ、みんな今日はありがとう。本当に楽しかったよ。」
はづき「また・・・会えるといいね。ううん、きっとまた会えるよね?」
こがね「私もたまにはこっちに遊びに来るから・・・。きっとまた会えるよ。」
 そしてこがねは首にかけていたMAGIC BLUEのネックレスを手に取って言った。
こがね「このネックレス・・・みんなが持ってるこのネックレスが“友情の証”だね。」
 どれみたちも同じようにネックレスに手をかける。 こがね「どんなに離れてもこのネックレスがある限り・・ううん、たとえこれが無くなってもみんなのことは忘れない。だって、みんなは私の“初めての友達”だから・・・。これからはみんなと離れて魔女界で生活するけど、みんなのことは忘れない。みんなには今ここでお礼を言い切れないほどの恩があるから・・・。」
どれみ「魔女界に帰るのは・・・次の日曜日だったよね?」
こがね「うん。お母さんがそう言ってた。あ、ごめん、私ちょっと今日は用事があるんだ。だから日曜日にね。」
あいこ「え、こ、こがねちゃん?」
 こがねはそう言うとどれみたちを残して魔法堂を後にした。

***

 こがねは家に着くと自分の部屋に入った。すでに日は山に隠れ、部屋の中は薄暗かった。こがねは電気つけず椅子に座り、そして首にかかっているネックレスを握り締めて泣き始めた。こがねの部屋の扉が音も無く開くと、そこからこがねの母親である魔女が姿をあらわした。
母「マジョビート・・・。魔女界に帰るのが寂しいのかい?」
 彼女がやさしくそう語りかけると、こがねは母親の方を向いて泣きながら言った。
こがね「寂しいよ・・・みんなに会えなくなるなんて・・・寂しいに決まってるよ。」
 泣いていたせいか、こがねの声は震えていた。
母「もしマジョビートが望むのなら・・・ここに残ってもいいんだよ。」
こがね「本当?」
 こがねは椅子に座ったまま母親の顔を見上げる。こがねの顔を見て母親は黙って頷いた。
母「私は別に毎晩魔女界に仕事へ行く生活を続けてもかまわない。マジョビートの好きにすれば良い。」
 こがねの住むアパートの近くには電車の線路があり、そこを通過する電車の音が静かだったこがねの部屋の中に響いた。
こがね「私は・・・。」
 こがねはその答えをすぐには出せなかった。こがねのMAGIC BLUEのネックレスを見つめてから、再び握り締めた。こがねは魔女界で育ち、しかも一級試験に受かって魔女の資格を得た。今度の日曜に魔女界に戻ったあと、魔女見習いから魔女にしてもらい、その翌日から魔女界の学校へ行かなくてはならなかった。しかし、魔女界に帰らず人間界に残ってもいいのなら─こがねには人間界で初めて得たものがたくさんあった。それはかけがえのない親友たち─魔女界で立ち直る自信の無かったこがねを勇気付けたのもどれみたちのおかげであった。
こがね(私・・・どうしたらいいの?)
 こがねは窓の外を見た。向こうから見える電車の上空で、やや欠けた月が街を見降ろしていた。

*** 続く


次回予告
どれみ「今日いよいよこがねちゃんが魔女界に帰るはず・・・なんだけど、こがねちゃんがMAHO堂にいっこうに姿を表さないのは何で?」
しずく「こがねちゃん、何かあったのかなぁ・・・?」
どれみ「次回、おジャ魔女どれみ+α、最終回!『友情はいつまでも』お楽しみにね!」
リストに戻る