おジャ魔女どれみ+α
第47話「旅立ちの印」
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 こがねたちがある公園に来ると一人のおばあさんがなにやら探しているようだった。
どれみ「おばあちゃん、どうかしたんですか?」
お婆さん「嫌ね、さっきこの辺で財布を落としたみたいなんだけど・・・何処へいったか。」
こがね「じゃぁ、私も一緒に探してあげますね。」
お婆さん「良いのかい?ありがとう。」
 こがねはそう言うとすぐに近くの茂みに隠れて見習い服に着替えた。
こがね「プラットフォルン ペイントランロット!お婆ちゃんの財布の場所を教えて!」
 すると、綺麗な蝶が飛んできて、その蝶は公園のベンチに止まった。こがねがそのベンチの下を覗いてみると、そこには財布が落ちていた。こがねはその財布を持ってお婆さんの所へ走って持っていった。
こがね「おばあちゃん、これじゃないですか?」
お婆さん「あぁ、それだ。よく見つけてくれたね。ありがとう。」
 そのお婆さんはこがねたちに頭を下げてその場を去っていった。
モタ「合格〜♪」
 何処からとも無く現われたモタがそう告げる。そう、この日は1級試験の追試の日だったのだ。
どれみ「やったね、こがねちゃん!一級合格だよ!」
こがね「これで・・・これでやっと私・・・魔女に戻れるんだ・・・。」
 こがねの瞳は涙で輝いていた。
あいこ「こがねちゃん、おめでとう!」
さつき「おめでとう!」
こがね「みんな・・・・ありがとう!」

***

 翌日、その日から家具屋魔法堂は店じまいとなり、店の中は売り物の家具が無くなってがらんとしていた。
どれみ「ここにももう来ることは無いのか・・・。」
あいこ「そう考えたら寂しなるなぁ・・・。」
しずく「二人とも、こがねちゃんのために早くお別れ会の準備手伝ってよ。」
どれみ「あ、ごめん。」
 どれみたちもお別れ会の準備に取り組みだした。机やらなにやらを出して準備が全て整った頃、はづき、おんぷ、ももこ、そしてぽっぷも大阪の魔法堂へとやってきた。
さつき「あとは今日の主役を待つだけよね。」
しずく「こがねちゃんには3時に来てって言ってあるから、そろそろ来ると思うよ。」
 壁から外され、床に立てかけられている時計は2時50分を差していた。その時、魔法の扉がにわかに光りだした。扉が開くと、そこには見習い服を纏ったこがねの姿があった。あいこの「せーの」と小声で言う声が聞こえた後、どれみたちは一斉に手にもっていたクラッカーの紐を引く。
どれみ「こがねちゃん、1級試験合格おめでとう!」
こがね「みんな・・・。ありがとう。」
 こがねは瞳に涙を浮かべながらも必死に笑っていた。
どれみ「とにかく今日は楽しもうよ。」

***

 時計の長い針が一回りほどした頃だった。どれみたちは魔法堂で記念撮影らしきものを開始していた。
どれみ「ちょ、ちょっとぽっぷ、そこにいたら私が写らないじゃない!」
ぽっぷ「お姉ちゃんは髪の毛さえ写ったら誰だか分かるから大丈夫だよ。」
どれみ「そういう問題じゃないでしょうが、そういう問題じゃ!」
 そうこういっているうちにタイマーをかけていたカメラはシャッターを切る。
どれみ「あ"・・・。もう、ぽっぷ!」
???「随分と楽しそうね。」
 その声は突然聞こえてきた。どれみたちは全員その声の聞こえてきた方を向いた。
しずく「ふ、藤崎せんぱい!?」
 藤崎いろはは魔女界へ続く扉から出てくると、どれみたちの方に歩み寄ってきた。
いろは「みんなそんな暗い顔しないでよ。マジョダーク様のかたきを討とうなんて全く思ってないからさ。私、みんなにお礼を言っておこうと思って。今日ここにみんなが集まるってことはマジョセスロインさんから聞いてたから・・・。」
どれみ「お礼・・・ですか?」
 いろはは黙って頷く。
いろは「みんなのおかげで私の寿命も元に戻ったし・・・。マジョダーク様が死んでしまったのは悲しいけど、それがあの人が望んだことだから・・・。」
しずく「藤崎先輩・・・ごめんなさい。」
いろは「謝るのはこっちの方よ。私たちがみんなに迷惑をかけてたんだから・・・。それと、今まで一年近く私のこと探してくれてたのね。心配かけてごめんね。」
こがね「そ、そうだ。藤崎さん、私、魔女界に帰ったら魔女界から差別やいじめを無くすために頑張ろうと思ってるの。だから、藤崎さんも一緒にやりませんか?」
いろは「あなたは確か・・・南井こがねって名前だったかしら?話はマジョセスロインさんから聞いてるわ。そうね・・・。マジョダーク様を失った今ではやることなんてないから・・・。」
こがね「だったら、マジョダークさんのためにも・・・。」
いろは「ありがとう。私も手伝わせてもらうわ。」
どれみ「あ、藤崎さんも一緒に記念撮影しませんか?」
いろは「き、記念撮影?私が写って・・・いいの?」
ももこ「昨日の敵は今日の友!細かいことは気にしないの!」
 ももこはそう言って無理やりいろはを列の中に連れて行く。
どれみ「とりあえず今日はこがねちゃんのお別れ会だから、こがねちゃん真ん中に行って。」
こがね「うん、分かった。」
どれみ「いくよ〜。」
 どれみはカメラのタイマーのスイッチを入れて、急いで列の中に入っていった。そしてカメラはシャッターを切った。

***

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