おジャ魔女どれみ+α
第45話「最後の希望」
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おんぷ「だから魔女ガエルの呪いをかけて、魔女見習いとなった私たちを生贄にしようとしたわけ?」
ももこ「そんなのって自分勝手すぎるよ。」
 ももこがいうと、突然いろはの水晶球が光り、ももこを突風が襲った。突風でももこは数メートル飛ばされ、バランスを崩して腰から落ちた。
ももこ「っ痛・・・。」
いろは「マジョダーク様にそんな口のきき方をしないで!」
マジョダーク「いろは、もう良いと言っているだろう?」
 マジョダークは強い口調でいろはに言った。
ももこ「え?」
 何故か敵であるはずのマジョダークがいろはの行動を止めたことにももこは驚いた。もちろん、どれみたちも同じように驚いている。
いろは「で、でも・・・。」
マジョダーク「もう良いんだ。悪いのは全て私なんだ・・・。」
マジョダークはそう言うと、いろはの方に歩み寄ってきた。
マジョダーク「少し・・・じっとしていろ。」
マジョダークはそう言うといろはの肩と掴んだ。
いろは「な、何をするつもりですか?」
マジョダークはいろはの問に答えず、何かぶつぶつと呟き始めた。そして次の瞬間、二人の体が突然白く光りだした。マジョダークの体から白い光球が放出され、それが流れて吸い込まれるようにいろはの体に入っていく。光が消えると、マジョダークはその場に崩れ落ちた。
いろは「マ、マジョダーク様!?一体何を・・・?」
マジョダーク「寿命を・・・分け与えただけだ。自分の寿命を10年ばかし残したつもりだったが・・・。どうやら思っていた以上に制約がキツイようだな・・・。おそらく後数時間・・・いや、もう数分の命かもしれない。」
いろは「寿命を・・・分け与えた?どうして・・・どうして私なんかに?」
マジョダーク「それは・・・お前が私を唯一差別しなかった魔女だからだよ。」
いろは「私が・・・唯一?」
マジョダーク「そう。お前は私が地獄界出身の魔女と知っても普通に接してくれた唯一の魔女だったからさ。私にとって・・・いろはは大切な存在だった・・・。本当はいろはを生贄にして月の魔法など使いたくなかった・・・。しかし使わざるを得ない状況にあった・・・すまなかった・・・。いろはの寿命を増やしただけで・・・私の罪が全て報われるとは・・・思っていない。しかし・・・せめて私が使ってしまったものは・・・ちゃんと返しておかないとな・・・。」
いろは「罪が・・・報われる?何を言ってるの、私はただ・・・。」
マジョダーク「いろはにはまだ・・・隠していることが・・・あったな。私がいろはを魔女にしたあと・・・実はいろはに変身して女王様に会いに言ったんだ。そして私は女王様に・・マジョセスロインが・・行方不明だから・・・魔女見習いをやめると・・・嘘の報告をしてしまった・・・。そう言っておかないと・・いろはと・・二度と会えなくなって・・しまう気がしたんだ・・。」
 マジョダークは月の魔法の影響か、もう喋る体力すらだんだん無くなってきていた。
マジョセスロイン「そう嘘をついておかなければ、私か女王様か誰かにいろはを連れて行かれてしまうと・・・そう思ったんだな?」
 マジョダークはゆっくりと頷く。
マジョダーク「赤い見習い服の・・・子よ・・・。」
どれみ「え、わ、私ですか?」
マジョダーク「ありがとう・・・。君の・・いや、君たちのおかげで私はいろはに本当のことを言う決心がついた・・・。」
どれみ「え、でも私たちは何も・・・。」
マジョダーク「君たちのことは・・・水晶球でずっと・・・見ていた。君たちからは・・・他人を思う心というものを持っていた・・・だから私のことも・・理解してくれると思った。しかし君たちから・・逆に他人を思う心というものを教えられてしまった・・・。そして今日・・実際に君たちにあって・・いろはに寿命を返す決心がついた・・。」
いろは「マジョダーク様、もう・・・もう喋らないで。」
マジョダーク「・・・もう・・眠い。」
 マジョダークはゆっくりと瞳を閉じた。いろはが握る手の中で、彼女の体は次第に冷たくなっていった。
いろは「マジョダーク様ぁぁぁ!!」
 いろはの泣き叫ぶ声が辺りの静けさを引き裂いた。今まで静かだったその城の内部に、彼女の声がエコーのように響いた。
あいこ「マジョダークって、そない悪い奴でもなかったんかもしれへんな・・・。」
どれみ「・・・うん。」
 どれみたちの目にもうっすらと涙が浮かんでいた。

***続く


次回予告
マジョダークが亡くなって、そのせいで魔女ガエルの呪いも解けてしまいました。
ちょっと悲しい結末だったけど、これでまた人間としての生活に戻れるのかなぁ・・・。
次回、おジャ魔女どれみ+α『新たなる日常』、お楽しみにね!
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