おジャ魔女どれみ+α
第45話「最後の希望」
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どれみ「どうして・・・どうしてなんですか?」
 どれみたちはいろはの意外な行動に戸惑ってしまう。
いろは「あれは4年前・・・その時私は1級試験に受かったばかりで、魔女になるかどうか迷っていたの。魔女ガエルの姿から元に戻ったマジョセスロインさんにどうすればいいか決めてもらおうと思って聞いたら・・・自分の道は自分で決めなさいって・・・。私、すごく悩んだ。だって・・・人間界は私が生まれ育った場所だったから・・・。だけど、悩んだ末、私は魔女になるって決めたの。」
 どれみたちは黙っていろはの話を聞いている。
いろは「魔女になることを伝えに女王様のもとへ向かう途中だったわ。私は道の真ん中で倒れている魔女を見つけたの・・・。」

***

いろは「だ、大丈夫ですか?」
 いろはは倒れていた魔女の元に近づいて言った。
???「大丈夫だ。・・・お前は・・・私を見ても逃げないのか?」
 倒れていた魔女は起き上がりながら不思議そうにいろはに尋ねた。
いろは「えっ?逃げる?何でですか?」
???「私は地獄界出身の魔女なんだぞ・・・こんなに肌の色も黒い・・・。」
いろは「あ、それより凄い怪我してますよ。ちょっと待っててください。」
 そう言うといろははポロンを取り出した。
いろは「パーランストーン ピレドラコンピロン!救急箱よ、でてきて!」
 いろはがそう唱えると、何処からともなく救急箱が出てきた。
いろは「今手当てしてあげますから・・・。」
 いろはは救急箱から包帯と薬を取り出して、その魔女の怪我の手当てを始めた。
いろは「これで多分大丈夫だと思います。」
???「ありがとう。お前は・・・魔女見習いなのか?今、何級なんだ?」
いろは「えっと、この間1級試験に受かったところです。それで今から魔女にな・・・あ!そうだ、女王様のもとへ行かなくちゃ・・・!!!」
 走り去ろうとするいろはを彼女はとめた。
???「・・・待ってくれ。女王様のもとへいかなくても魔女になる方法を・・・私は知っている。」
いろは「え?本当ですか?」
???「あぁ。私の名はマジョダーク・・・。」
いろは「私は・・・藤崎いろはです。」

***

いろは「そして、マジョダーク様は私を魔女にしてくれたわ。そしてその後、私はマジョダーク様が地獄界出身の魔女であるがゆえに他の魔女から差別を受けて苦しんでいることを聞いたの。私、マジョダーク様が可愛そうだと思った。だから・・・私はマジョダーク様に仕えるって決めたの。」
あいこ「差別に苦しんでたからって、そんなことして良いんか?」
 あいこがケンカごしに言う。
いろは「じゃぁ、マジョダーク様が差別を受けて苦しむ姿を黙ってじっと見ていろってわけ?だいだいあなたたち、彼女がどんなめにあったか知ってる?マジョダーク様は何もしていないのに、どんなめにあわされたか知ってるの?MAGIC BLUEの光をかざして、身動き出来なくなったところを、殴ったり蹴ったり・・・。酷い人は魔法を使って痛めつけたり、刃物で刺したり・・・。そんなめにあわされてるのに、こっちからは手を出すなっていうの?」
 いろはは涙を涙を流しながらどれみたちに訴える。
いろは「・・・でも、マジョダーク様は決して魔女たちに復讐をしようとはしなかった。いつか差別がなくなることをじっと待つだけだって・・・。だから私言ったの。こういうときにこそ月の魔法が使えるんじゃないか、って・・・。月の魔法を使って差別を無くせないかって・・・。差別意識を取り除くことは・・・人の心をいじることと同じ。つまり、禁断の魔法。でも、月の魔法を使えばなんとかなるんじゃないかって・・・。その日から私たちは月の魔法の制約を取り除くための研究、MAGIC BLUEの光を浴びても力を使えるようにする研究を重ねてきたわ。そしてある日、ついにその二つともの方法が発見されたの。」
はづき「さっきあの二人が『あれをつけてくるのを忘れた』言ってたけど、その『あれ』っていうのがMAGIC BLUEの光を浴びても力を使えるようにする何かのことなのね?」
いろは「えぇ。マジョダーク様が羽織っている黒いマントがそれよ。マジョダーク様はその研究の成果を試すために、月の魔法を使える魔女たちを集めて、実験をしようとしたの。でも、彼女達はマジョダーク様が地獄界出身の魔女だったから実験に参加しようとはしなかった。」
???「それで心を操る魔法を使ったってことだな?」
 どれみたちの背後からその声は突然聞こえてきた。それはいろはが昔正体を見破った魔女、マジョセスロインだった。
いろは「マ、マジョセスロインさん!どうやってここに入ったの?入り口は月の魔法で開かない筈よ。」
マジョダーク「・・・入り口の魔法は私が解いた。」
いろは「え、ど、どうして?」
マジョダーク「・・・もう良いんだよ。今迄騙していて悪かったな。いろはが私のためにいろいろと身を尽くしてくれて本当に嬉しかった。私も差別を受けることはごめんだったからお前に言われて研究を重ねた。しかし、どれだけ研究をしても、誰かの命を犠牲にしなければ・・・生贄がなければ月の魔法が使えないと分かった。しかも生贄は魔女見習いまたは人間から魔女になったものに限られていた。その上魔女見習いを手にいれるにしても、ちょうどあの頃に魔女ガエルの呪いは解かれ、魔女見習いは激減してしまっていた。だから私は正直にお前に諦めようと言おうとした。しかし、お前の期待の眼差しに負けて諦めようとは言えず・・・。しかも制約を解く薬を発見したとつい嘘をついてしまった。だから私は仕方なくいろはを生贄に月の魔法の実験を試みるしか方法がなかった。しかし私はいろはの寿命は出来るだけ使いたくわなかった。」

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