おジャ魔女どれみ+α
第41話「激戦の結末」
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 東京都のとある体育館でその大会は行われていた。
白岩「今日勝てば全国大会ですね、山崎先輩。」
山崎「あぁ、そうだな。」
 山崎しげる、彼は中学二年生で三年生が引退した今はバスケ部のキャプテンを務めている。
白岩「頑張ってくださいよ、先輩。」
山崎「おうよ、任せとけ。」
 山崎しげるは着ていた上着を脱いで、コートの真ん中に向かった。ベンチに控えていた白岩は、彼の後ろ姿をじっと見つめていた。

***

れい「さつきちゃん、始まるわよ。」
 さつきを呼んだ彼女の名は宇和崎麗、1年4組のクラスメイトで、小学校からの知り合いである。
さつき「え、あ、うん。」
れい「・・・何処見てたの?」
さつき「え、いや、別に。それより試合始まるんでしょ、応援しなきゃ。そのために今日は来てるんだから。」
れい「分かってるわよ。」
 二人の視線はコートの真ん中に移る。審判の手からボールが挙げられ、試合は始まった。

***

 今日は春のバスケットボール大会の南関東大会予選の準々決勝の日だった。これに勝てば全国大会に出場できる─そう、この日の試合はとても重要な試合だったのだ。しかし、その日の対戦相手の南城中学校バスケ部は、昨年の春の全国大会で準優勝していた学校だった。そして、去年だけではなく毎年のように全国大会に出場している常連校だった。ところが、そんな絶望的な状況の中で誰一人と全国大会を諦めたものはいなかった。

第1クォーター。
 力の差は歴然と現われていた。最初の数分はどちらもシュートが入らず接線だったが、南城のエースが3Pシュートを決めると、次々とシュートを決められ、第1クォーターだけで0−21という大差が開いてしまっていた。

さつき「やっぱ強いね、南城中学校。」
れい「うん。去年全国大会で準優勝しただけはあるね。」
さつき「やっぱり負けるのかな・・・。」
れい「応援する側が弱音をはいちゃ駄目だよ。しかっり応援しなきゃさ。」
さつき「・・・だよね。」

 さつきたちがそうこう話をしているうちに、第2クォーターが始まった。

山崎(このまま負けてたまるかよ・・・。)
山崎「井沢!」
 ボールをキープしていた山崎は、逆サイドに居た二年の井沢にパスを出した。ボールをもらった井沢はそのまま敵ディフェンスのいるゴール下に突っ込んで行った。
井沢「うおぉぉぉ!」
 そして、井沢は敵ディフェンスの前でシュートをするフェイントをかけ、山崎にパスを繰り出した。 これが敵の意表をついたのか、山崎のまわりはがら空きで、彼はすかさずシュートを放った。
スコッ─
 ボールがリングを通過する音がしたあと、美空中の応援席から歓声が沸きおこる。
白岩「山崎先輩!」
 白岩は思わず声を上げ、山崎にガッツポーズを見せた。それを見て、山崎は笑みを浮かべる。
山崎(そうだ・・・焦ったら駄目だ。)
 ここから美空中の反撃が始まった。その後、一本、二本と確実にシュートを決め、点差は少しずつ縮まっていった。第2クォーターが終わった時、得点は16−23と、点差は7点差に詰め寄っていた。

しかし、第3クォーターが始まって1分が経とうとした時だった。
井沢「痛っ!!」
 笛の音が体育館内で鳴り響いた。点差が7点差となって焦ったのか、南城中学のエースが井沢を押し倒してしまい、怪我をさせてしまったのだ。
山崎「大丈夫か、井沢!」
白岩「井沢先輩・・・。」
井沢「痛ってぇ〜。」
監督「白岩・・・。」
白岩「は、はい。」
監督「井沢の代わりにお前が出ろ。」
白岩「え・・・。」
監督「なんだ、いやなのか?」
白岩「いえ、違います。出ます、出してください!」
監督「よし・・・じゃぁ出ろ。」
井沢「白岩・・・俺の分も頑張ってくれよな。」
白岩「分かりました、井沢先輩・・・。」
 相手がファールを下場所が美空中のゴール下だったため、白岩のフリースローから試合は再開された。

***

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