おジャ魔女どれみ+α
第40話「2級試験は無理難題?」
1/2
 その日は大雨のせいか、家具屋魔法堂の客足は非常に少なかった。どれみたちはレジカウンターのあたりで話をしていた。
しずく「ついに今夜2級試験だね。」
さつき「そっか、今夜だったっけ?」
しずく「とにかく、全力をつくして頑張ればいいのよね?」
どれみ「そうだよ。しずくちゃん達ならきっと受かるからさ。」
あいこ「それにしても、魔女ガエルの呪いを解く前に1級試験まで受かってしまいそうやな。」
どれみ「うん。あれからマジョダークっていう人の消息は分からないままだし・・・。」
さつき「そういえばそうね。何か手がかり見つけないとね・・・。やることっていっぱいあるなぁ。あ、そうそう。悪いけど、来週の土曜はどうもここに手伝いにこれそうに無いんだ。」
しずく「何か用事でもあるの?」
さつき「うん。なんでも、来週の土曜にバスケ部の南関東大会の予選があって、管弦楽部の部員はそれの応援に行かなきゃ駄目なんだ。」
あいこ「南関東大会?」
さつき「そう。なんでも、この間の冬休みに美空市大会で準優勝して南関東大会の出場が決まったんだ。それで、今度の南関東大会でベスト4に入れば、春休みに行われる全国大会に出場できるんだって。」
どれみ「そういえばそんなことを白岩君が言っていたような、言ってなかったような・・・。」
しずく「あ、白岩君ってバスケ部だったっけ?レギュラーなのかな?」
さつき「まだ一年だからどうだろう。よく分からないけど・・・。」
あいこ「それにしても、美空中のバスケ部って結構強いん?」
さつき「うん、次の試合ベスト8だから、これで勝てば全国大会行きが決まるそうよ。でも、次の対戦相手が去年全国大会で準優勝した学校みたいなのよね。」
どれみ「じゅ、準優勝・・・絶望的だね。」
さつき「うん・・・。あれ、こがねちゃん?」
こがね「あ、え?何?」
さつき「どうかしたの?顔色悪いけど・・・。さっきから全然喋ってないし・・・。」
こがね「え、いや、ちょっと風邪ひいたみたい。だから風邪が悪化する前に今日はもう、先に帰ろうかなぁって・・・。」
どれみ「え?風邪?」
こがね「う、うん。ごめんね。私、今日は帰るよ。じゃぁ・・・。」
 こがねはそう言うと、魔法の扉を開いて帰っていった。どれみたちはその後姿を黙って見つめていた。
どれみ「どうしたんだろう・・・。こがねちゃん。」
しずく「私にはこがねちゃんが風邪をひいてる風にはみえなかったけど・・・。」
さつき「私もそうは見えなかった。でも、なんだか最近元気ないみたい・・・。」
あいこ「うん・・・。」
どれみ「こがねちゃん・・・。」

***

 ここは魔女界。ついに2級試験が始まっていた。2級試験の内容は、魔女界の森を覆い尽くす地獄草という草を全て除去しろ、というものだった。地獄草は、とても生命力の高い草で、あたりに生息する木々をからしてしまうほどの生命力を持っていた。
しずく「ようは地獄草だけを消せばいいのね?そんなの簡単だよ。」
 しずくはポロンを構えた。
しずく「ピルル〜カポルル〜カ パラピラピーロット!地獄草よ、消えて!」
 しずくがそう呪文を唱えると、ポロンの先から淡い光を発し、その光が地獄草を覆い始めた。しかし、その光は地獄草に吸い込まれるようにして消えていった。
しずく「あ、あれ?」
モタ「あ〜、そうそう、言い忘れてたけどぉぉ。」
モタモタ「地獄草は魔法の力を吸収してより強くなっちゃうから、注意してねぇぇ。」
しずく「え・・・?」
 次の瞬間、地獄草が成長し始め、姿をより大きく変えてしまった。
しずく「そ、そんなぁ・・・。」
さつき「これじゃぁ魔法は使えないわね・・・。」
しずく「どうしたらいいんだろう。こがねちゃんはどう思う?」
 さっきからこがねが静かだから、しずくはわざと話をこがねにむけた。
こがね「え、あ、うん。どうしたらいいんだろう・・・。」
しずく「こがねちゃん、大丈夫?」
こがね「え?」
しずく「何か最近元気ないみたいだけど・・・。」
こがね「う、うん。ちょっと風邪ひいてるみたいでさ・・・。」
どれみ「こがねちゃん、本当は・・・。」
こがね「え?」
どれみ「私はこがねちゃんが1級試験受かったら、魔女界に帰るか人間界に残るかで悩んでるんじゃないかなって・・・。風邪のせいじゃなくて、そのせいで元気が無いんじゃないかなって・・・。」
 こがねは黙って頷いた。
こがね「ずっとどうしようって考えてた。私は魔女界で生まれ育ったんだから、魔女界に帰らなきゃならないと思う。でも・・・みんなは私にとってはじめての"友達"だから・・・だから・・・。」
 こがねの頬を一筋の涙が流れ落ちた。

次のページへ
リストに戻る