おジャ魔女どれみ+α
第37話「笑顔がくれたもの」
2/2
こがね「凄い・・・。」
 こがねはおもわず呟いた。水晶球から発せられた光は、あたりを包んだ後、巨大なドラゴンを包み始めた。そして、その後ドラゴンは光に吸い込まれるようにして光と共に消えていった。ドラゴンが消えた後、こがねはもちろん、マジョミライやマジョカルスもしんとしていた。あまりのマジョラーンの魔力に驚きを隠せないでいたのはこがねだけではなかった。そして、その沈黙を最初に破ったのはこがねだった。
こがね「マジョラーン凄い!さすがマジョラーンだね。私じゃかなわないよ。」
 こがねは顔に笑みを浮かべながら言った。マジョラーンはこがねの笑顔を見て戸惑った。なぜなら、彼女がこがねの笑顔を見るのはこの時が初めてだったからだ。マジョラーンの心の中で、こがねに対するイメージが変わっていた。そして、それがよりいっそうマジョラーンを戸惑わせた。
マジョラーン「あ、当たり前だ!お前の魔力が私の魔力にかなうわけない!」
マジョミライ「マ、マジョラーン何もそんなに大声張り上げなくても・・・。」
マジョカルス「でもさすがマジョラーンね。」
マジョラーン「ふん。当然だ。」
こがね「あ、あのさ、マジョラーン。」
 こがねの声に反応してマジョラーンは足を止めて振り返る。
マジョラーン「・・・なによ?」
こがね「あ、えっと・・・。ありがとう。」
 マジョラーンは一瞬チラッとこがねの笑顔を見たあと言う。
マジョラーン「お前に例を言われる筋合いなど無い!」
こがね「え・・・あ、そうだよね・・・。ごめん。」
 マジョラーンはこがねの笑顔が消えていくのを見て、突然校舎に向かって歩き出した。そして、2、3歩歩いてからまた立ち止まり、今度は振り返らずに言う。
マジョラーン「マジョビート・・・。」
こがね「え?」
 一瞬沈黙があたりを包む。ただただ風の吹く音が聞こえてくるだけだった。
マジョラーン「1級試験・・・はやく受かれよ。」
 突然のマジョラーンの言葉にこがねは驚き、戸惑っている。
こがね「マジョラーン・・・。」
マジョラーン「勘違いするな!私はおまえを認めたわけじゃないからな・・・。」
 そういってマジョラーンは再び歩き出した。
こがね「じゃぁ、いつか認められるように私は頑張るよ!」
 マジョラーンはまた足を止めようとしたが、それを止めてこがねの言葉に何も答えず校舎の中に入っていった。
マジョミライ「ほんと、マジョラーンって素直じゃないんだから・・・。」
 いつまでもマジョラーンの背中を見つめていたこがねにマジョミライは言う。
マジョカルス「ほんとほんと。まぁ昔からあんなんだけどね。」
マジョミライ「マジョビート。私は待ってるよ。」
こがね「え?」
マジョミライ「あんた・・・いや、マジョビートが1級試験に受かるのを。それから、またマントを羽織って・・・今の群青色の見習い服じゃなくて、群青色のマントを羽織って魔女学校に戻ってくるの、待ってるから。」
 マジョミライは照れくさそうに言う。こがねの顔に再び笑みが浮かぶ。
こがね「マジョミライ・・・。」
マジョカルス「私もよ、マジョビート。ほんと、あんた変わったわね。」
こがね「変わった?」
マジョカルス「人間界で何があったかしらないけど、だいぶ変わった。」
マジョミライ「とにかく、早く帰らないと、そろそろ人間界で夜が明ける頃じゃないのか?」
こがね「え?あ、本当。じゃぁ・・・またね。」
 こがねは二人に背を向けて走り出す。
マジョミライ「人間界も・・・捨てたもんじゃないみたいね。」
マジョカルス「本当ね。」
 マジョミライとマジョカルスは見えなくなるまで、いや、見えなくなってもこがねの背中を見つめていた。

***

こがね「あ、マジョラッタ。ごめんごめん。待っててくれてたんだ。」
マジョラッタ「あぁ。それよりこがねよ、授業の方はどうなった?」
こがね「あぁ、なんか突然ドラゴンが襲来して今日は休みになっちゃった。」
マジョラッタ「休みじゃと?」
こがね「って、驚くとこおかしいよ。普通ドラゴンが来たってことで驚かない?」
マジョラッタ「い、いやぁ、はははは。」
 こがねはマジョラッタの反応に首を傾げる。
マジョラッタ「ちとやりすぎたかの・・・。」
こがね「え?何?今何ていった?」
マジョラッタ「い、いや、なんでもない。それで、友達は出来たか?」
こがね「うん!おかげさまでね。マジョラッタのドラゴンのおかげだよ。本当。」
マジョラッタ「そうか。それは良かった。」
 マジョラッタはそのとき気が付いた。
マジョラッタ「ん?おかげさまで?」
こがね「やっぱり〜〜。あのドラゴン召喚したのマジョラッタだったのね!」
マジョラッタ「ぬ、ぬお!そんなわけないじゃろが!そんなことして人が死んだら犯罪じゃぞ!」
こがね「でも、誰も死んでないから大丈夫だよ。」
マジョラッタ「そうか。なら良かった。」
こがね「ほら、やっぱりマジョラッタが!」
マジョラッタ「ぬおう!なんでもない!」
 この日、魔女界に悲鳴と笑い声がこだまする・・・。

***続く


次回予告
え?美空中学校の七不思議?そんなのあるのかなぁ・・・。
ある日学校の七不思議の話をきいたどれみたち。しかし、その中のひとつは驚くべき内容?
次回、『美空中の七不思議!?』、お楽しみにね!
リストに戻る