おジャ魔女どれみ+α
第36話「いじめの無い世界」
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マジョラッタ「こがねや・・・。」
 マジョラッタは言いにくそうに言った。その部屋にはこがねしかいなかった。こがね以外は皆配達に行っていたのだった。
こがね「どうしたの?マジョラッタ?」
 作業中だったこがねは手を休めて言う。
マジョラッタ「実はじゃな・・・今夜魔女界に行って欲しいんじゃ。」
 こがねは休めていた手を動かし始め、そして答えた。
こがね「何で?魔女見習い試験?」
マジョラッタ「いや・・違うんじゃが・・・。あまり詳しいことは言うなといわれていてな・・・。」
こがね「どういうこと?」
 こがねの手は再び止まった。
マジョラッタ「・・・行けば分かる。」
こがね「そうなの?」
マジョラッタ「それと、今夜魔女界に行くのはお前だけじゃ。」
こがね「え?」
マジョラッタ「お前に関する用事じゃ・・・。それに、こがね一人で来るようにと言っておった。」
こがね「私に用?・・・何だろう?」
 こがねは首を傾げた。
マジョラッタ「まぁ、そういう訳じゃ。今夜、忘れずにここに来るんじゃぞ。」
こがね「う、うん。分かった。」
 こがねはまた作業に戻ったが、まもなくどれみとさつきの二人が帰ってきた。
どれみ「只今〜っと、あれ?あいちゃんとしずくちゃんはまだ帰ってきてないの?」
 どれみは魔法堂に入ってくるや否やそう言った。
こがね「え、あ、うん。まだみたいだけど・・・。でも、そろそろ帰ってくると思うよ。」
さつき「あいちゃんたちの荷物の届け先って何処だっけ?」
こがね「えっと・・・滋賀県の方とかって・・・。」
どれみ「うわ、私たちより遠いじゃん。そりゃ時間もかかるか。」
 その時、魔法堂の入口が開いた。
あいこ「はぁ〜、やっとついたで。」
しずく「遠かったよ〜。」
さつき「噂をすれば、ね。ご苦労様、二人とも。」
あいこ「琵琶湖の北のほうやったから、えらい遠かったわ。」
どれみ「そういえばこがねちゃん、店番一人で大丈夫だった?」
こがね「うん。何とかね。幸いそんなに客は来なかったよ。」
しずく「そっか。それなら良かったよ。・・・っと、もう6時か。この時期だともう真っ暗だね。」
 しずくは窓の外を見ながら言った。日は沈みあたりはすっかりと暗くなっていた。
どれみ「本当。そろそろ帰ろっか。」
あいこ「そやな。」
マジョラッタ「気をつけて帰れよ。」
 マジョラッタの言葉を聞いてから5人は家路についた。

***

 その日の月がもうすでに沈んだ頃、こがねは魔法堂にやってきた。
マジョラッタ「やっと着たか。さっそくじ
ゃが行くぞ。」
こがね「何処へ?」
マジョラッタ「魔女界じゃよ。」
こがね「そうじゃなくて、魔女界の何処へ行くの?」
 マジョラッタはしばらく黙ってしまったが、数秒たってやっと口を開いた。
マジョラッタ「魔女学校じゃ。」
こがね「え?ど、どういうこと?」
マジョラッタ「女王様の命令じゃ・・・こがねはそもそも魔女界で生まれた。いずれは魔女界に戻らねばならない。だから、今のうちに魔女学校に行ってお前も友達を・・・。」
こがね「無理よ・・・。」
 マジョラッタのいう事を途中で遮るようにこがねは呟いた。
こがね「私に友達なんて・・・。つくれる訳・・・。」
 こがねは目に涙を浮かべ、俯いてしまった。
マジョラッタ「・・・たくさんおるではないか。」
こがね「え?」
マジョラッタ「友達ならたくさんおるじゃろ。少なくともどれみたちは・・・わしの目からはこがねの友達であるようにしか見えんがな。」
こがね「でも・・・。」
マジョラッタ「素数を知っとるかのう?」
こがね「え・・・?」
 突然のことにこがねは耳を疑った。素数?それが今何の関係が・・・。

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