おジャ魔女どれみ+α
第31話「夏の魔法(後編)」
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小竹「俺・・・すぐに返事をだそうと思ってた。最初は研修旅行の自由時間の時に言おうと思ってたんだ。けど、何処を探してもどれみがいなくて・・・。夕食の途中でお前が帰ってきた時に話し掛けたのに、どれみ、俺のこと無視しただろ?だから俺・・・その、言いづらくて・・・。」
 どれみは小竹の言うことを黙って聞いていた。
小竹「一学期に体育の授業でソフトボールの練習試合やってた時、どれみが俺に話し掛けてきたときも、俺、お前が何考えてるのか分からなくて・・・余計戸惑っちまって・・・。結局一学期は返事を何もいえないまま終わっちゃって・・・。けど、夏休みの間ずっと考えてたんだ。このままじゃ駄目だって。勇気出して・・・お前に返事を言わなきゃって・・・。だから二学期の始業式の日に言おうと思ってたんだけど・・・勇気が出なくて・・・。それで今日・・・。」
 小竹がそこまで言ったとき、初めてどれみが口を開いた。
どれみ「言い訳はいいよ・・・聞きたくない。でも・・・。」
 どれみはうつむいた顔を上げて叫んだ。
どれみ「私のこと嫌いなら早くそうと言ってくれればいいじゃない!!!」
 どれみは泣きそうなになってまたうつむいたが、すぐに振り返ってその場から立ち去ろうとした。
小竹「ばかやろう!!!」
 小竹はそう叫んだ。どれみは足を止めたが、振り返らなかった。
小竹「俺は・・・俺はどれみの事が好きだから・・・今まで返事が言えなかったんじゃねえか!!!」
どれみ「・・・どういう意味よ。」
小竹「俺・・・実は今日の夕方の新幹線で福岡に行くんだ・・・。」
どれみ「え?」
 どれみは振り返って言った。
小竹「もう・・・帰ってこない。どれみに会えるのも・・・今日で最後なんだ。」
 小竹のその言葉にどれみは動揺を隠し切れなかった。
小竹「前から分かってたんだ。福岡のじいちゃんが寝たきりになって・・・じいちゃんがもうすぐ死ぬって前から分かってたんだ。だから、親が言ってたんだ。じいちゃんが死んだらばあちゃん一人になるから福岡に引っ越すって・・・。」
 どれみはただ黙って小竹の話を聞いていた。
小竹「俺、卒業式のときのどれみを知ってたから、俺がどれみのこと・・・好きだって返事を出しても俺が引っ越すってことが分かったら落ち込むんじゃないかって思って・・・。だから俺言いづらかったんだよ。だから・・・その・・・。」
 どれみは黙って振り返った。
小竹「どれみ・・・。」
 数秒間沈黙が続いた。
どれみ「背高のっぽのひまわりに〜ちょっとだけ追いつ〜いた〜♪キラキラ〜してた日差し〜今日はやさ〜し〜い〜♪」
 どれみは小竹の方を振り返っていった。
どれみ「ごめんね・・・さっきはあんなこと言って。私、小竹の事情とか全く知らなかったから・・・。でも・・・でも、私平気だよ。小竹が居なくなっても。どんなに離れ離れになっても、お互いがお互いを忘れない限り、いつか必ず会えるから・・・。」
小竹「どれみ・・・お前・・・。」
どれみ「だからさ・・・小竹が福岡に行っても、ずっと一緒だよ。」
小竹「お、おう!」
どれみ「それじゃぁ、私、今日は帰るね。」
 どれみは屋上の入り口を開けてどこかへ走っていった。
小竹「あ、おい、待てよ、どれみ!」
 小竹もどれみを追って屋上の入り口を開けた。すると、そこには・・・。
小竹「げ、何してんだよお前等〜!や、矢田まで!」
あいこ「何してたって、ちょっと盗み聞きって言うか・・・なぁ。」
 あいこは苦笑いしながらさつきたちの方を向いた。
小竹「い、何時からここにいたんだよ・・・。」
ももこ「どれみちゃんが怒って帰ろうとした時ぐらいからいたよ。」
おんぷ「それより早く行ったほうがいいんじゃない?」
小竹「ど、何処にだよ。」
しずく「早くしないとどれみちゃんに逃げられるよ。」
小竹「あ、あぁ。分かってるよ。」
 小竹はそう言って再び走り去っていった。

***

 数日後。
どれみ「あ、もしもし?」
 どれみは電話を持って言った。電話の相手は言うまでもなく・・・。
どれみ「今日合唱コンクールの表彰があったんだけど、私たちのクラス、1位だったよ!」
 その日の春風家には夜遅くまで幸せの笑い声がこだました。

***続く

次回予告
紅葉の季節、色とりどりに木々が染まっているけど、
そんななかでどれみたちはある人と再会を果たす・・・。
次回、『再会!』お楽しみにね。
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