おジャ魔女どれみ+α
第29話「さつきの夢」
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 日も暮れて客足も少し落ち着き、ようやくどれみたちは休んでいた。
どれみ「はづきちゃん、今日は手伝ってくれてありがとう。」
はづき「あ、うん。でも、私もちょっと楽しかったから。」
しずく「暇な時はまた来てね。」
こがね「うん、是非来てね。私たちも助かるからさ。」
はづき「うん。」
さつき「あ、あのさぁ・・・。」
どれみ「どうしたの?さつきちゃん。」
さつき「話し変わるけどさ・・・。はづきちゃんってカレン女学院行ってるんだよね?」
はづき「え?」
さつき「私中学の時にカレン女学院受けて落ちちゃったんだ・・・。でもさ、高校でまた受けて今度は受かって見せるから、その時は・・・。よろしくね。」
はづき「さつきちゃん・・・。うん。よろしくね。」
 はづきはさつきにどう返事するか少し戸惑って、とりあえず笑ってごまかした感じだった。
どれみ「そういえばさつきちゃんって医者になるのが夢だって言ってたよね。」
さつき「うん。」
はづき「そうなんだ。」
さつき「高校でカレン女学院に入って、大学は美空医科大学に行こうと思ってるんだ。」
しずく「美空医科大学って・・・かなり難しいって聞いたよ。」
さつき「うん。だから勉強頑張らないと・・・。」
こがね「私たちは応援することしかできないけど、精一杯応援するから、頑張ってね!」
さつき「うん。」
 さつきは笑顔でそう言ったが、すぐに悲しい顔になってうつむいてしまった。
どれみ「さつきちゃん、どうかしたの?」
どれみはその異変にいち早く気が付いてそう声をかけた。
さつき「え、いや、何でもない。」
 さつきはそう言って笑って見せてから言った。
さつき「実はさ、小学校の時のこと思い出しちゃって・・・。」
しずく「小学校の時のこと?」
さつき「小学校4年生の時にさ。大好きな男の子がいたんだ。けどね・・・。」
こがね「けど?」
さつき「その男の子が突然入院したんだ。」
はづき「入院?」
しずく「怪我?それとも、病気・・・?」
さつき「うん・・・。小児ガンだって・・・。」
しずく「え・・・?それじゃぁ・・・。」
さつき「うん。その男の子・・・。死んじゃったんだ。」
 しばらくの間、沈黙が続いた。どれみたちは只話を聞くことしか出来なかった。
さつき「その時から、私決めたんだ。将来医者になろうって。誰かにあの時の私みたいに悲しい思いをさせたくないし、したくないから・・・。」
はづき「さつきちゃん・・・。」
あいこ「さつきちゃんやったら、良い医者になれるって。」
さつき「あいちゃん・・・。」
あいこ「だって、さつきちゃん優しいし、思いやりがあるもん。医者になるんやったら、向いてるんとちゃう?」
どれみ「うん。さつきちゃんだったら良い医者になれるって。」
さつき「ありがとう。」
 どれみたちの会話を黙って聞いていたマジョラッタが言った。
マジョラッタ「そろそろ6時じゃ。今日もご苦労じゃったな。」
どれみ「あ、もう6時なんだ。じゃぁ帰ろう、さつきちゃん。」
さつき「うん。」
あいこ「ほな、また明日な。」
さつき「うん。」
はづき「さつきちゃん・・・。」
さつき「はづきちゃん?」
はづき「また・・・今度ね。」
 はづきはそう優しく笑いかけた。さつきもそれに答えて笑った。

***続く


次回予告
もうすぐ10月最後のイベント、学園祭及び合唱コンクールが始まります!
次回、『夏の魔法(前編)』お楽しみにね!
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