おジャ魔女どれみ+α
第27話「魔女界との契約」
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 晴れ渡る空をみてどれみは言った。
どれみ「最近涼しい・・・というか寒いね。秋晴れなのはいいけどさ。」
しずく「本当ね。ついこの間まで暑い、暑いって言ってたのにね。」
さつき「季節の変わり目の春と秋はこんなものよ。」
こがね「夏も嫌だけど冬も嫌だね・・・。」
 学校の帰り道にいつもの4人はそんな話をしていた。
こがね「あ、じゃぁバイバイ。私こっちだから。」
さつき「うん。バイバイ。また後でね。」
どれみ「バイバ〜イ。」

***

 そしてここはいつもの大阪の魔法堂である。
どれみ「いらっしゃいませ。」
 どれみは来店してきた女性の客に元気良く挨拶した。
客「あ、あの、すいません。鏡台って・・・ありますか?」
あいこ「鏡台・・・ですか?えっと・・・。」
 あいこはどれみたちのほうを見た。
さつき「あ、そういえば店の奥の方に鏡台があったような・・・。」
 さつきは店の奥を指差しながら言った。
客「あ、ありがとうございます。」
 客はそう言うと足早にさつきが指差した方向へ向かった。しばらくして、その客はその鏡台を持ってやって来て、お金を払って帰っていった。
マジョラッタ「今日も客足が多いのう。」
 深くマントを被った人を装ったマジョラッタが店の奥から姿を表した。マジョラッタの言う通り、その日も客は多かった。そして数時間が経ち、閉店時間間際になると、多かった客もほとんど姿を消し、昼にぎわっていた店の中もひっそりと静まりかえっていた。
マジョラッタ「さて、お疲れじゃったな。もう六時じゃから帰って・・・。」
 その時、そのマジョラッタのセリフをさえぎるように店の入り口から誰かが入ってきた。あいこは、マントを脱いでいたマジョラッタを慌てて机の下に隠した。店に入ってきたその人は息を切らせていて、何も言わずどれみたち方へと向かってきた。
どれみ「あれ?おばさん、どこかで会いませんでしたっけ・・・?」
???「私だ。マジョヘルスだ。」
しずく「あ、あの地獄界との門の門番でマジョライドのお姉さんの・・・。」
マジョヘルス「あぁ。そうだ。」
 今日はいたって普通の何処にでも居るおばさんの格好だったため、どれみたちが魔女であることすら気付かなかったのも無理は無かった。その時、机の下に押し込められていたマジョラッタが机の上に這い出てきて言った。
マジョラッタ「今日は・・・何のよう出来たんじゃ?」
マジョヘルス「ちょっと確かめたいことがあってな。」
どれみ「確かめたいことって、何か分かったんですか?」
マジョヘルス「あぁ。えっと相川しずくというものは・・・確か、お前だったかな。」
 マジョヘルスはしずくのほうを向いて言った。
しずく「は、はい。」
マジョヘルス「思い出して欲しいのだが・・・。お前の言う黒い魔女とは・・・服装が黒かったのか?それとも・・・。」
しずく「服装も肌の色も黒かったと思いますけど・・・。」
マジョヘルス「本当だな?」
しずく「は、はい・・・。それが何か?」
マジョヘルス「やはりか。ということは・・・。」
マジョラッタ「そうか・・・。そういうことじゃったか。」
あいこ「え、マジョラッタも何かしってんの?」
どれみ「あのぉ〜・・・マジョヘルスさん、何かあったんですか?」
マジョヘルス「あぁ、実は二週間前の日曜日は十年に一度ある特別の日だった。」
どれみ「特別の日?」
マジョヘルス「そう。その日は地獄界でいう建国記念日なんだ。」
あいこ「地獄界の建国記念日?」
マジョヘルス「地獄界と魔女界との間の契約で、前回のその日、つまり十年前のその日から今回のその日までの間に生まれた子供たち全員の中から数人の子供を選んでその子供を魔女見習いにする、というしきたりがあってな。もちろんその子供は心の綺麗な者のみが対象だ。魔女界に来ても絶対に悪さを起こさない確信のある子供だけが選ばれる。万が一罪を犯せば、それが例え小さな罪でも即座地獄界に戻される。そういう決まりの上でな。地獄界が出来てから十年忌ごとにそのしきたりは行われているという。私の仕事仲間のマジョブルアはその日のことを『地獄界の救いの日』と言うが・・・。マジョブルア自身、もとは地獄界出身の魔女だからな。」

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