おジャ魔女どれみ+α
第19話「はじめての友達」
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 この日の美空市には雨が降っていた。そして、美空市のMAHO堂には、どれみたちが集まっていた。
どれみ「おはよう。」
さつき「おはよう、どれみちゃん。」
しずく「おはよう。」
どれみ「こがねちゃんも来るんでしょ?まだ来てないの?」
さつき「うん。まだ来てないみたい。」
どれみ「集合予定の時間はもう過ぎちゃってるのに・・・。」
さつき「そういうどれみちゃんも遅れてきてるじゃない。」
しずく「うん。」
どれみ「そ、そういう細かい事は気にしないでさぁ。」
さつき「こがねちゃん。来てくれるかなぁ・・・。」
どれみ「うん・・・。」
 3人は期待の眼差しでMAHO堂の入口を見つめていた。聞えてくるのは雨の音ばかりだった。
どれみ「やっぱり、来ないのかなぁ・・・。」
 どれみがそう呟いた時、MAHO堂の入口がかすかに動いた。
どれみ「こがね・・・ちゃん?」
 すると、扉は音を立てて開いた。扉の外にはこがねがたっていた。
こがね「ご、ごめんなさい、遅くなっちゃって・・・。」
さつき「ううん。10分ぐらいしか待ってないよ。平気、平気。」
どれみ「じゃぁ、いこう、こがねちゃん。」
こがね「うん。」

***

 4人は魔法の扉をくぐり大阪の魔法堂に入った。
あいこ「あ、こがねちゃん。おはよう。」
こがね「え、あ、おはよう。えっと、妹尾さん・・・。」
あいこ「こがねちゃん、あいこでいいで。」
どれみ「そうだよ、こがねちゃん。私たち、友達でしょう?」
こがね「友・・・達・・・。」
 どれみたちはこがねが寂しそうな顔をしたので驚いた。
さつき「どうかしたの?こがねちゃん。」
こがね「いや、ごめん。私・・・友達なんて・・・いなかったから・・・。私に友達なんて・・・いなかったから・・・。」
どれみ「え?」
こがね「私、じつは人間じゃないんだ。」
あいこ「どういうことや?」
こがね「私、魔女界で生まれた正真正銘の魔女だったんだよ・・・。」
しずく「じゃぁなんでいま魔女見習いに・・・?」
こがね「それは・・・。」
 どれみは戸惑った様子のこがねのもとに歩みより、こがねの手を握った。
どれみ「こがねちゃん、話して。」
 こがねは目に涙を浮かべていた。
こがね「私、小さいときから魔法も勉強も運動も苦手で・・・。何をやるときもみんなの足をひぱってた。私が魔女幼稚園を卒園した頃にはもう友達なんていなくて・・・。みんなからいじめられてた・・・。そしたら4ヶ月まえ・・・。同級生の1人が・・・私の水晶球を・・・。」
さつき「割られたの?」
こがね「・・・・うん。」
しずく「・・・ひどい。」
こがね「魔女界の学校のみんな・・・先生も私に味方してくれなくて・・・。結局水晶球を割ったのは私だってみんなに言われて・・・。だから私・・・。もう魔女界にいたくなかったから。だから人間界に来たの。だから・・・魔女見習いなの。」
どれみ「こがねちゃん・・・。」
 どれみたちはこがねにどう声をかけていいのか分からなかった。
こがね「魔女界のみんなは私が魔女見習い試験に受かる筈がないって・・・。お前が受かったら誰でも受かるって・・・いわれた。だから私、絶対1級試験に受かって・・・。私のこと笑った奴全員見返してやるんだ。」
 こがねは無理に笑顔を作っていた。
どれみ「友達なら・・・居るよ。」
 こがねはうつむいていた顔をあげた。
あいこ「そや。友達やったらここに4人もいるで。」
しずく「こがねちゃんなら魔女見習い1級試験だって受かるって。」
さつき「そうよ。6級試験だってこがねちゃんがいなけりゃ受からなかったもの。」
どれみ「だからさ、こがねちゃん。みんなで協力して、1級試験、合格しよう。」
こがね「・・・みんな・・・ありがとう・・・。」
 こがねの目から涙が溢れ出していた。その様子をマジョラッタとリリムは黙ってみていた。
マジョラッタ「魔女界もわしらのような大人の魔女がしっかりせんとな。」
リリム「えぇ。」
どれみ「あ、もう開店時間だよ。はやく店をあけないと。」
マジョラッタ「ぬおっ!もうこんな時間か。そうじゃ、あれも設置せんといかんしのぉ。開店までに間に合うかのぉ。」
リリム「あ、そうだ。すっかり忘れてたわ。」
あいこ「あれって、なんや?」
マジョラッタ「ほら、いっとったじゃろう。ここは暑いから・・・。」
リリム「昨日扇風機買ってきたのよ。」
しずく「本当?」
どれみ「やったね。これで暑い夏ものりきれそうだよ。」
あいこ「何台買ったん?」
リリム「えっと、3台よ。」
しずく「それより早くしないとお客さん来ちゃうよ。」
さつき「早く開店準備しましょう。ほら、こがねちゃんも手伝って。」
こがね「う、うん。」

***

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