おジャ魔女どれみ+α
第08話「湖の上の旗」
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どれみ「なに?これ。」
しずく「う〜ん、とりあえず二文目は置いといて・・・。小鳥だから・・・な〜んだ。簡単じゃない。」
あいこ「あぁ、なるほど。一文目は簡単やな。」
さつき「じゃぁさっそく取りに行こうか。」
どれみ「小鳥だから”こ”を取って、”杉の木の上”だね。」
しずく「そういうこと。えっと、この森で杉の木は・・・。」
どれみ「あ、あった!・・・でも・・・。」
さつき「いっぱいあるね。」
 そのあたり一体は杉の木の森だった。どれみたちは箒で空へ舞い上がったが、旗らしきものは見つからない。
あいこ「あれぇ?なんでや?」
どれみ「やっぱりこの二文目を解かないと・・・。」
しずく「あ、ひょっとして・・・。」
さつき「しずくちゃん、二文目分かったの?」
しずく「高くないって事は低いってことじゃない?」
さつき「そうか、低い杉の木がどこかに・・・。」
あいこ「それやったら上から見渡してもわからへんわけや。」
 どれみたちはやや高度を下げて跳んだ。すると、ひときわ背の低い杉の木が視界に飛び込んできた。
しずく「きっとあの木だ!」
あいこ「あ、あったで、旗。」
 しずくは箒に乗ったまま旗を取った。
しずく「よっと、やったぁ!」
さつき「じゃぁ次は私ね。」
 さつきのもっていた紙にはこうかかれていた。

『点を入れた鎌たちに紛れて立っている』

どれみ「点を入れた・・・鎌?」
しずく「点って何だろう?」
さつき「点・・・鎌・・・。」
あいこ「まず点が何かわからんとなぁ。」
さつき「そっか、もしかして・・・。」
どれみ「もう分かったの?」
さつき「ほら、点って濁点の事じゃない?」
あいこ「ってことは・・・。」
さつき「”かま”に濁点つけると”蒲”じゃない?」
どれみ「そうか、さつきちゃん、頭良いね。」
さつき「へへへ。じゃぁ、蒲の穂が生い茂るところ、探そう。」
 どれみたちは空高く飛び上がり蒲の穂が生い茂るところを探した。
さつき「あった、あそこだ!」
 さつきが蒲の穂に近づこうとした瞬間、さつきの動きが止まった。
どれみ「どうしたの、さつきちゃん?」
さつき「蒲の穂の周り、湖だ。」
 見ると、蒲の穂が生い茂る島があり、周りは大きな湖だった。
しずく「それがどうしたの?」
さつき「私、水のあるところだめなんだ・・・。」
あいこ「あ・・・。」
 どれみたちはさつきの誕生日の時に聞いた話を思い出した。
しずく「じゃぁ私が取りに・・・。」
どれみ「駄目!自分で取りに行かなきゃ、合格にしてくれないよ。」
しずく「だけどもう時間が・・・。」
 時間はあと十分ほどしかなかった。
どれみ「さつきちゃん、湖の上を通るだけだよ、大丈夫だって。」
さつき「ごめん。体が動かない。私、あの日から湖や海に近づくだけでも怖いんだ。」
 さつきの声は震えていた。こんなさつきの声はみんなはじめて聞いた。だが、その時しずくが叫んだ。
しずく「さつきちゃん!」
さつき「しずく・・・ちゃん?」
 さつきだけでなく、どれみとあいこも驚いた。
しずく「どうしたのよ、さつきちゃん!」
さつき「どうしたのって・・・。」
しずく「恐怖を乗り切っていかなきゃいけないって、いつも私に言ってたじゃない。さつきちゃんたちのおかげで私だってすこしづつだけど勇気をもてるようになったんだよ?さつきちゃんも勇気出していかないと!」
さつき「しずくちゃん・・・・。」
どれみ「しずくちゃんの言うとおりだよ。言うだけで自分が出来なくちゃ、何にもならないよ。」
あいこ「ほら、大丈夫やって、私たちも横についてるから。」
 さつきはおそるおそるだが、箒で湖の上を飛び始めた。
どれみ「ほら、行けるじゃない!もう少し。」
 さつきは蒲の穂の元へついた。そして旗を手にした。しかし、残り時間が後僅かだった。
どれみ「大変!もう時間が!」
さつき「急ごう!」
しずく「うん。」
 どれみたちは急ぎに急いでモタたちのいるあのピアノ型の屋台へと向かった。帰るときにもちろん湖の上を飛んだが、さつきはそのことを忘れているかのようだった。
モタ「あら、おかえりぃぃ。旗はぁぁ?」
さつき「はい。これですよね。」
 さつきとしずくはモタに旗を渡した。
モタ「じゃぁ、合格ぅぅぅ。」
しずく「やったね!」
どれみ「良かったね、しずくちゃん、さつきちゃん。」
さつき「しずくちゃん。」
しずく「え、何?」
さつき「さっきはありがとう。励ますほうが励まされちゃって。」
しずく「いいの、いいの。私のほうが励まされる事多いんだから。」
 しずくもさつきもいい笑顔で笑っていた。もうこの二人に恐怖という二文字は無くなってしまったかのようだった。


次回予告
マジョライドを殺した謎の魔女。その殺されたマジョライドを知る一人の魔女が・・・。
次回『十個のMAGIC BULE!』お楽しみにね。
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