おジャ魔女どれみ+α
第08話「湖の上の旗」
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 この日はめずらしく魔法堂の客足が少なかった。
あいこ「なんか今日客少ないな。暑いしかな。」
さつき「そうじゃない、今日もいい天気だけど。五月晴れってやつ?」
どれみ「いい天気だけどぉ・・・暑いぃぃぃ。何でクーラー無いの?儲かってるのに。」
マジョラッタ「つべこべ言うな!心頭滅却すれば火もまた涼しじゃ。」
どれみ「そんなこといっても・・・。」
しずく「五月にしては暑いかな。あ、でももうすぐ六月か。」
どれみ「あぁ。こんな暑いのに制服はなんで長袖なの?学校にいるとき焼け死にそうだったよ。」
さつき「制服の衣替えは六月だっけ?」
しずく「たしかそのはずだよ。それまでの辛抱ね。」
さつき「そういえばいよいよ明日だね、8級試験。」
しずく「そうだね。」
あいこ「頑張ってや、2人とも。応援してるから。」
しずく「まかせといてよ。絶対受かってみせるから。ねぇさつきちゃん。」
さつき「試験かぁ・・・。」
しずく「どうしたの?さつきちゃん。」
さつき「え、あ、私、中学受験したってみんなに言ったっけ?」
どれみ「ううん。聞いてないよ。」
あいこ「何処受けたん?カレン女学院?」
さつき「うん。」
あいこ「あれ、ってことはもしかして・・・。」
さつき「うん。合格点に3点足りなくて落ちちゃった。」
しずく「え・・・。」
さつき「まぁでも高校また受けるからいいよ。」
どれみ「・・・がんばってね。応援してるよ。」
あいこ「さつきちゃんやったら今度は受かるって。この間の9級試験みたいに。」
さつき「へへ。ありがとう。私さぁ。医者になるのが夢なんだ。」
どれみ「そうなんだ。それで勉強頑張ってるんだ。」
さつき「もうあんな思いをしたくないし、させたくないから・・・。」
あいこ「え・・・?」
さつき「あ、いや、何でもない。ほら、それよりお客さん来たよ。」
あいこ「う、うん。」
 どれみたちはさつきの今までの人生が本当に苦しかったのだと思った。それなのに強く明るく生きているさつきにしずくは尊敬した。しずくもさつきみたいに強くなりたいと思った。

 6時を過ぎたころ、マジョラッタが言った。
マジョラッタ「さ、そろそろ帰っていいぞ。それとしずく、さつき。明日は試験があるから今日はゆっくり休んでおけよ。」
さつき「分かった。」
どれみ「じゃ、帰ろっか。」
しずく「明日は頑張らないとね。」
さつき「うん。」

 翌日、学校が終わると、どれみたちはMAHO堂を経て魔法堂にきていた。この日もどれみたちは店番を手伝っていた。今日は曇っているせいか、いつもより涼しく、客足は多かった。
マジョラッタ「ほれ、どれみ、配達じゃぞ。」
どれみ「またぁぁ?」
マジョラッタ「つべこべいわずっさっさと行け!」
 この日の配達先は奈良県だった。配達が終わってどれみたちが帰ってきた頃には、6時を回っていた。
どれみ「じゃぁ、今夜ね。バイバイ。」
さつき「バイバイ。」
あいこ「うん。じゃぁ。」
 あいこは魔法堂から元気よく駆け出して帰っていった。
しずく「さすがあいちゃん・・・元気がいいね。」
さつき「良すぎだよ・・・。」
どれみ「良すぎだね。私たちはへとへとなのに・・・。」
しずく「今夜起きれないかも〜。」
どれみ「私も・・・。でも起きないと・・・。」
 どれみたちは魔法の扉を開け、家路についた。

 そして夜。どれみたちは魔女界にいた。魔女見習い試験の会場はピアノ型の屋台であった。その屋台がどれみたちの視野に現れた時、すでに先客がいた。しかし、ちょうど試験が終わったところのようで、どれみたちが屋台の前についたときには早々と帰っていってしまった。
さつき「さ〜て。頑張るわよ。」
しずく「うん。」
どれみ「頑張ってね。」
マジョラッタ「しつこいようじゃが、油断禁物じゃぞ。」
 モタがベルを鳴らして言った。
モタ「じゃぁぁ。8級の試験をはじめまぁぁす。」
 すると、モタモタがおもむろに二枚の紙を取り出した。そして魔法を使い、大平原の上に大きな森を作り上げた。
さつき「うわ、すっご〜い。」
しずく「さすが魔女ね・・・。」
モタ「この森の何処かに旗が二つ浮かんでるから、それを一つづつとってきてぇぇ。」
モタモタ「旗の場所はその紙にヒントが書いてあるから、さんこうにしてねぇぇ。」
モタ「ニ人の旗は別々のところにあるから、自分の紙にかいてある方をとってねぇぇ。」
モタモタ「制限時間は六十分だから、それまでに帰ってきてねぇぇ。」
どれみ「さぁ、頑張ってね。」
モタ「じゃぁ、8級の試験開始ぃぃぃ。」
あいこ「で、紙になんて書いてあるん?」
しずく「えっと・・・。」
しずくのもっている紙にはこう書かれていた。

『ことりのうた:すこぎのこきのこうえ これは小鳥の唄。しかし高い声では鳴かなかった。』

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