おジャ魔女どれみ+α
第01話『魔女が嫌いな魔女見習い』
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 ここは、美空市立美空中学校。春風どれみが通っている学校だ。

先生「え〜。今日からみなさんは、中学生です。中学生という自覚を持って行動するようにしてくださいね。」
 クラスの中は小学校の時の見覚えのある顔でいっぱいだ。そう、小学校の時の友達のほとんどはそのまま美空中学校に入学してきている。小竹や信ちゃんもいる。でもやっぱり知らない人もいた。おそらく、美空第二か第三小学校の奴等だと思う。

 その時、どれみは気が付いた。見たことのあるような無いような人が一人居た。どれみはHRが終わった後、その女の子に声をかけた。

どれみ「えっと・・・。あのさ。どっかであったよね。たしか・・・。」
しずく「どれみ・・・ちゃんだよね?私だよ、ほら。しずく!相川しずく!」
どれみ「あ!そうだ!思い出した!久しぶりだね、しずくちゃん!」
相川しずくとは、どれみたちが小学校一年の時に、早々と転校していった女の子だった。
 彼女は小学校一年の時、どれみと同じクラスで結構仲は良かった。
どれみ「あれ?でも、フランスか何処かにいってたんでしょ?どうして戻ってきたの?」
しずく「うん。お父さんの仕事、一時的なものだったんだって。なんか良く分からないけど。」
どれみ「へぇ〜。で、最近戻ってきたの?」
しずく「うん。ついこの間ね。・・・・。」
どれみ「・・・どうしたの?」
しずく「え・・・。いや、思い出せないの。」
どれみ「え?何が?」
しずく「向こうで、フランスで何か凄い事に巻き込まれたような気がするんだけど・・・。」
どれみ「どういうこと?」
しずく「いや、今どれみちゃんと会って、何か思い出しかけたの。何か嫌な事が向こうであったような、って・・・。」
どれみ「・・・。思い出したくないような事なの?」
しずく「・・・。多分。分からないけど。」
どれみ「嫌な事だったら思い出さなくてもいいじゃない。ね。だからさ。元気出してさ。」
しずく「う、うん。」

 しずくは今日一日中こんな感じだったが、翌日にはすっかりもとの明るいしずくに戻っていた。そして入学式から一週間たったある日。
先生「え〜。来週、一泊ニ日の研修旅行があります。」
 生徒の誰かが研修旅行についてたずねた。
先生「研修旅行、っていうのは、新入生が毎年ある場所に行きます。その場所とは、大阪です。」
どれみ「大阪?なんで大阪なんですか?」
先生「特に意味はありません。」
どれみ(ずるっ・・・)
先生「皆さんのうち、3分の2は知らない顔ぶれだと思います。美空第一から第三小学校の生徒数はほぼ同じでしたからね。そこで、交友関係を深めるためと、課外授業を含めて、毎年行っている定例行事なんです。分かりましかね?というわけで、研修旅行の班を決めたいと思います。」

 班は名簿順で決められた。どれみのクラスに女子は18人いて、6班に分けるから1班3人、どれみは名簿13番、しずくは1番だから、同じ班になった。あとは名簿7番の新庄さつきちゃんと同じ班だった。
新庄さつきちゃんは美空第二小学校の生徒だったらしく、あまり良く知らなかった。男子も18人いて同じ班のやつで知っているのは名簿7番の小竹だけだった。

 そして研修旅行の日が来た。どれみは朝から家で遅刻する、とわめいていたが、どうやら間に合ったようだ。そして行きの新幹線の中で、さつきとしずくとどれみはずっと話していた。どれみはさつきとも仲良くなった。途中小竹も会話に乱入してきた。その時、しずくが小学校一年の時に転校したしずくと同一人物だと気付き、驚いているようだった。

どれみ「そういえばしずくちゃん。フランスってどんなところだった?」
しずく「そうね。フランスって感じだったね。」
さつき「ははは、説明になってないじゃない。」
しずく「どんな、っていわれても、言葉じゃ説明しにくいよ。ほら、浦島太郎にもあるじゃない。"絵〜にも掛けない美〜しさ〜♪"」
どれみ「ははは、何か違うような気がするけどね。」
さつき「フランス語喋れるの?」
しずく「うん。ちょっとはね。向こうでだいぶ覚えた。」
どれみ「最初向こういった時困らなかった?」
しずく「どうだろう。あんまり覚えてないや。あ・・・。」
どれみ「どうしたの?」
しずく「えっと・・・。なんでもない。」
さつき「変なの。」

 このときどれみは、しずくがフランスで本当にものすごい恐怖を味わったのではないかと思った。それが何なのかはわからないが、それは間違いなかった。

 しずくは、この後しばらくあの入学式の日のように少し様子がおかしかったが、名古屋を過ぎてだいぶ経った頃には元のしずくに戻っていた。

 岐阜羽島を過ぎたあたりで雨が降り始めた。
どれみ「うわ、雨が降ってきた。せっかくの楽しい日に・・・。」
しずく「でも、すぐ止むんじゃない?なんかそんな気配が・・・。」
さつき「どんな気配なのよ。それって。」
しずく「いや、っていうかさ、朝天気予報で・・・あら、長い間フランスに居る間に日本語忘れちゃった・・・えっと、一時的になんか・・・」
さつき「にわか雨?」
しずく「そう、にわか雨、大阪付近はにわか雨が降るって。お昼過ぎには止むみたいよ。」
どれみ「じゃぁ、新大阪につく頃には止むかな?」
さつき「そうね。新大阪は・・・12時10分ぐらいに着くってしおりに書いてあるわ。その頃には止むんじゃない?」
どれみ「やむといいなぁ。」

 京都を過ぎ、新大阪に新幹線が着く頃には雨はすっかりやんで、北のほうにきれいな虹が見えていた。

どれみ「うわぁ。きれいな虹。」
さつき「ほんとね。」

 どれみたちは先生の指示で駅からでて宿泊する旅館に向かった。宿についた頃には雨雲も1つ残らず消え、快晴となっていた。

 旅館につき、荷物をまとめ、旅館の人への挨拶が終わって、先生の指示で外に出た。途中、午後4時頃に、自由時間になったので、どれみたちは3人でいろいろと回っていたが、途中さつきは、他の班の人と合流して、そっちについていったので、どれみはしずくと二人で歩いていた。淀川の近くで、どれみは聞き覚えのある声に呼び止められた。

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