おジャ魔女どれみ+α 〜rebirth
第01話『どれみ、中学生になる!』
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先生「え〜、私が担任の長谷川典弘(はせがわ のりひろ)です。1年間よろしく。今日からみなさんは中学生だ、中学生という自覚を持って行動するように。良いな?」

先生が話をしている間、どれみは教室を見渡していた。クラスの中には、長門かよこや、小泉まりな、横川のぶこなど、同じ小学校の顔ぶれが多くあった。小竹も居た。しかし、3分の2ぐらいは知らない人たちだった。おそらく、美空第2、第3小学校の児童だった子たちだろう。

どれみが教室の前の方を見た時、ふと1人の少女が目に映った。
どれみ(あれ、あの子・・・)
その少女は、緑色の髪を肩にかかるくらいの長さに伸ばし、額の左上のあたりに花の形をした髪留めを付けていた。どれみの通っていた、美空第1小学校の生徒ではない。しかし、どれみはその少女に見覚えがある気がしたのだった。
どれみ(話しかけてみたら分かる、かな・・・)
先生の話が終わり、そして入学式が終わり帰る時になって、どれみはその緑色の髪の少女に話しかけることにした。
どれみ「あ、あのさ・・・」
???「・・・え・・・私?」
しばらく無反応だった少女は、自分が話しかけられているということに気付くと、驚いたようにどれみの顔を覗き込んだ。
どれみ「人違いかも知れないけど、何処かであった・・・よね?」
???「何処かでって・・・もしかして・・・どれみちゃん?」
どれみ「私の名前を知ってるってことは、やっぱり会ったことあるよね?」
???「そうだ、どれみちゃん、私だよ、覚えてない?」
どれみ「・・・あ!」
ふとどれみの脳裏に1つの記憶が蘇ってきた。

***

夕焼けが綺麗なある春の日のことだった。
小学校に入学したばかりのどれみ、はづき、そしてその少女は、美空市立美空第一小学校の1年1組の教室で話をしていた。
どれみ「ねぇ、知ってる?」
はづき「何が?」
どれみ「明日ね、神社でお祭りやるんだって」
???「へぇ、そうなんだ」
その緑色の髪の少女は、興味あり気にそう答える。
どれみ「だからね、明日さ、学校終わったら、みんなでちょっと行ってみない?」
はづき「わ、私たちだけで行くの?」
どれみ「そうだけど・・・何で?」
はづき「ダメよ、お母さんに怒られるわ」
どれみ「大丈夫だよ、ねぇ、しずくちゃん?」
“しずく”と呼ばれたその少女は、数秒前とは打って変わって、何故か悲しげな表情をしていた。
しずく「明日は・・・」
どれみ「しずくちゃん?」
しずく「え、あ、うん、お祭り、みんなで行けたら良いね・・・」
どれみ「どうかしたの?」
しずく「ううん、何でもないよ・・・」
はづき「それなら良いんだけど・・・」

翌日、朝の教室。
どれみ「おっはよう、ねぇ、はづきちゃん、お祭り行く準備、してきた?」
はづき「ど、どれみちゃん、本気で行くつもりなの?」
どれみ「あったりまえじゃん」
はづき「はぁ・・・、もしかしてしずくちゃんも行くつもりなの、って・・・あれ、しずくちゃんは?」
いつもどれみと一緒に来るはずのしずくの姿は、どれみの隣には無かった。
どれみ「え、朝、いつものところで待ってたのになかなか来ないから、先に行ったのかなって思ったんだけど・・・」
はづき「ううん、まだここには来てないわ」
どれみ「おかしいな・・・どうしたんだろう、もうチャイム鳴る時間なのに・・・」
どれみは、黒板の上にかけられている時計の方を見た。時計の針が8時45分を示したかと思うと、そのすぐ後にチャイムが鳴り響いた。それにあわせて教室に担任の教師がやってきた。
教師「さぁ、席に着け」
どれみを含む、児童たちはみな席に着いた。
教師「えぇ〜、今日は皆さんにちょっと悲しいお知らせがある」
担任の先生は、一呼吸おいてから述べた。
教師「相川しずくが・・・転校することになった」
どれみ「え・・・?」
はづき「えっ?」
どれみも、はづきも、その後担任の教師が話したことを全く覚えていなかった。その時の彼女たちの頭の中では、しずくが昨日言ったあの言葉だけが繰り返し響いていた。

『お祭り、みんなで行けたら良いね・・・』
彼女だけが知っていた。みんなでお祭りに行くことは出来ないということを─。

***

あれから6年の歳月が経った。今のどれみの目の前にいるのは、紛れも無い、あの“しずく”という名の少女と同一人物だった。
どれみ「しずくちゃん、だよね?」
しずく「そうだよ、相川しずくだよ!久しぶり、だね!!」
どれみ「小学校1年の時以来だから・・・6年ぶり?」
しずく「あれからもうそんなに経つんだ・・・」
どれみ「それにしても、まさかまたしずくちゃんに会えるなんて、夢にも思ってなかったよ」
しずく「私も、まさかまたどれみちゃんと会えるなんて思ってなかった」
どれみ「そういえば、あの時何処に転校したんだっけ・・・?」
しずく「フランス・・・だよ」
どれみ「え、フランス?」
しずく「フランスのマルセイユっていうところ・・・地中海沿岸の港町なんだ」
どれみ「お父さんの仕事か何かだったの?」
しずく「うん。私のお父さん、貿易会社の仕事をしてるんだけど、その関係で・・・」
どれみ「そっか、そうなんだ」
かよこ「あれ、どれみちゃん、もう新しい友達できたの?」
仲良さそうに話をしている2人の元へやってきたのは、かよこだった。
どれみ「あ、かよこちゃん、そっか、かよこちゃんは知らないんだよね」
かよこ「え?ってことは、その子、どれみちゃんの知り合いなの?」
どれみ「相川しずくちゃん。小学校1年の時まで美空第一小学校に通ってたんだ」
かよこ「あぁ、そうなんだ、初めまして、長門かよこです、よろしくね」
しずく「うん、よろしく・・・ね」

***

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