おジャ魔女どれみ+α 〜rebirth
第01話『どれみ、中学生になる!』
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2003年4月─
ここ、美空市立美空中学校では入学式が行われる。校庭に並んだ桜の木は、見事に咲き誇っていた。まるで、今日入学してくる新たな生徒たちを祝福するかのように─。
そして、その桜の花びらの舞う校門を元気良く駆け抜けていった1人の少女が居た。
どれみ「おっはよう、かよちゃん」
その少女、春風どれみはショートカットの少女に声をかけた。
かよこ「どれみちゃん、おはよう、今日からいよいよ中学生だね」
長門(ながと)かよこは、小学校の時からのどれみの友達。どれみは、かよこの言ったことに頷いて、
どれみ「うん、そうだね」
と答えた。
かよこ「それにしても・・・」
どれみ「どしたの?そんなにキョロキョロして・・・?」
かよこ「え、あぁ、なんだか知らない人も多いなぁ、って思って・・・あ、ほら、今年入学してくる人って、私たちだけじゃないでしょ?」
どれみ「あぁ、美空第2小学校と第3小学校の人たちもこの中学なんだよね、確か」
かよこ「うん、私、なんだかそれが不安で・・・」
どれみ「不安?」
かよこ「他の小学校から来た人と仲良く出来るかなって・・・」
どれみ「大丈夫だよ、きっとたくさん新しい友達できるよ」
かよこ「そうよね、そうだ、今日って確か学校着いたら職員室へ行くんだよね?」
どれみ「うん、職員室に行って自分のクラスを聞いたら、自分のクラスへ行って待機していなさいって学校から連絡網がきたけど」
かよこ「そうそう、でも、その前に、入学式やる体育館をちょっと覗いてみない?」
どれみ「うん、良いよ、集合時間にはまだまだ時間があるしね」
そう言って2人は、校舎とは反対の方にある体育館へと歩いていった。
どれみ「ここで入学式やるんだ」
体育館の前までたどり着くと、どれみが言った。
かよこ「うわぁ、小学校の体育館と違って、広いね、なんだか緊張してきた」
どれみ「確かに、大きいよね」
かよこ「あ、どれみちゃんごめん、私ちょっとトイレ行って来るから、先に職員室行って、今日の集合場所の教室行っといて」
どれみ「うん、分かったよ」
かよこはそう言って校舎の方へ向かって走っていった。それと入れ替わるように、どれみの背後へ1人の少年が来ていた。
???「あ、どじみじゃん」
どれみ「う、その声は・・・」
どれみは背後から聞こえてきたその声の主を確かめるため、振り向いた。
どれみ「やっぱり小竹だ・・・」
その声の主は、小竹哲也(こたけ てつや)だった。
てつや「や、やっぱりって何だよ」
どれみ「別に・・・」
てつや「何だ、変な奴、まぁ良いや」
そう言いながら立ち去ろうとする小竹を、どれみは呼び止めた。
どれみ「あ、小竹、待って!」
てつや「な、何だよ」
どれみ「その・・・今日、入学式が終わったら・・・話があるんだ」
てつや「話?ここじゃダメなのか?」
どれみ「良いから、とにかく入学式が終わったら、海岸で・・・待っててくれる?」
てつや「・・・なんだか分からねぇけど」
どれみ「ちゃんと来てよね、じゃぁね」
てつや「あ、おい・・・なんだよあいつ」
走り去っていくどれみの後姿を見ながら、小竹は呟いた。

***

どれみ「ここが、これから私が授業を受ける教室かぁ・・・」
職員室で自分のクラスを聞いたどれみは、“1年4組”の教室の前に立っていた。どれみは、その教室の扉に手をかけ、中へ入った。教室の中には、すでに何人か人が来ていた。今来ている人はみな、どれみの見知らぬ人だった。
どれみ「知ってる人、居ないなぁ・・・なんだか別の世界に来たみたい、なんちゃって」
どれみはポツリと呟いた。その教室には…

勉強が得意でいつもどれみにいろいろ教えてくれた少女も、
どれみが何かおかしなことを言うと、それに突っ込みを入れてくれた少女も、
それに大人びた反応を見せた少女も、
それに笑ってくれた少女も、
そして、どれみを“ママ”と呼んでいた少女も─

誰も居なかった。
どれみ「本当にみんな、居ないんだね・・・」
新学期になれば、いつも学校で会えた。長い休みを経て、少し成長した友人の笑顔に出会うことが出来た。
しかし、今日は違った。いつもとは違った。その教室には─もとい、美空中学校の何処を探しても、その笑顔は無かった。
“親友”の笑顔は何処にも見当たらなかった。その時だった。
???「あれ、どれみちゃん、教室入らないで何してるの?」
どれみ「かよこちゃん・・・」
どれみは振り返り、そしてやっと自分が教室の入り口で立ち尽くしていたことに気がついた。
どれみ「あ、いや、ちょっと小学校の時と雰囲気が違うから入りづらくて・・・」
などと、適当なことを言って誤魔化すどれみ。
かよこ「・・・はづきちゃん達のこと、思い出してたの?」
どれみ「え・・・」
かよこ「どれみちゃん、はづきちゃん達と仲良かったもんね」
どれみ「・・・うん」
かよこ「大丈夫だよ、どれみちゃん。また、会えるよ」
どれみ「かよこちゃん・・・ごめん、ありがとう」
かよこ「いいよ、私の方が今までどれみちゃんに迷惑かけてたんだから・・・それより、教室入ろう、どれみちゃんも4組なんでしょ?」
どれみ「私もってことは、かよこちゃんも?」
かよこ「うん」
どれみ「そっか、かよこちゃんと同じクラスかぁ、良かった」
てつや「ゲッ・・・またどじみ!」
どれみの背後から聞こえてきたのは、さっき体育館前で会った小竹だった。
どれみ「あ、小竹・・・まさかあんたも4組なわけ?」
てつや「そうだけど・・・って、まさかお前もかよ!?」
どれみ「な、何よ・・・」
てつや「何だよ〜、どじみと同じクラスかよ〜」
先生「何だ、今年の新入生はえらく騒がしいなぁ」
突如現れたその教師は、教室の入り口で騒がしくしているどれみたちを見つけていった。
てつや「うげっ、先生だ・・・」
先生「どうでも良いがさっさと教室に入りなさい!」
どれみ「は、はい、すいません」

***

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