薬。
元々それは、「楽しい草」という意味を持つことばだと随分前に知りました。
果たして草はどんな風に楽しいことに関わり得るのでしょうか?
その思わせぶりな問いかけに反応するように、
「サイケデリック」というキー・ワードが頭をもたげて来ます。
顧みれば、音楽と薬が出遭うところには「サイケ」へと向かう輩が登場して来ました。
そもそも音楽自体に、どことなく薬めいたところがあります。
音楽を聴いていると、キモチ良くなることがあります。
「何かの快楽物質が脳の中に出ているのでは?」と妄想したりもします。
「キモチ良さ」や「ご褒美」とリンクするとされる天然の化学物質に
「ドーパミン」というものがあります。
これなんて、音楽が操り得る脳の化学物質として筆頭にランクされるものでしょう。
音楽をより楽しむ。
あるいは「理解」しようとして、合成された化学物質を用いるリスナーもいます。
でも音楽が天然の化学物質を脳中で動かしてくれる力なのだとすると、
既に音楽そのものが薬と等しいのではないでしょうか?
そんな風に妄想し続けているものだから、
つい「音薬」なんてコトバを捏造してしまいました。
私はいささか気が早いので、「音薬」の英文表記も用意しました。
“ONYAK”ってのはどうでしょう?
発音は、「オンヤク」よりも「オニャック」が良いでしょうね。
一種、とらえ所のない雰囲気があります。
怪しげな響きもさることながら、コニャックみたいで心地良いと思います。
この世には「音楽療法」なるものが存在します。
ならば、「音薬」という概念だってまんざら素っ頓狂ではない。
存在して然るべきものでありましょう。
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初版 2004年8月16日