2007.6.20富士山の巻 その4

 八合目小屋の裏を見ると・・・

なんじゃこりゃあ?!

 ものすごい雪の量・・・・・・
 あ〜。こりゃアイゼン履かないとまずいかなぁ・・・・・・と思ったが、七合目過ぎです れ違ったオジサンは九合目から先はアイゼン必要だといっていた。
 ということは、ここは何とかなるということか?
 案の定、よく観察してみると登山道すべてが雪で覆われているわけではない。小 屋のすぐ上は雪が深いが、その5m先は何とかなりそうだ。

 そこで雪の上を蹴り込んでつま先を雪にもぐらせ、足が滑らないようにしながら歩 く。よし、いい感じだ。

 こうしてひとまずの難関は越えられたものの・・・・・・う〜ん。この先は道なりにジグザグに登るのと、めんどくさいから
このまま雪渓の上を直登するのとどっちが楽だろう・・・?

 ・・・・・・えぇ〜〜〜い!!
男なら直進だぁぁぁぁぁ!!!(←根拠不明)


 数分後・・・・・・息を切らせながら、果たしてこの選択は正しかったのだろうかと悩み始める・・・・・・


時間 ポイント 概要 コースタイム
(トータル)
12:56
13:02
九合目
 九合目近くでまた追いつかれる・・・・・・今度も60くらいのオジサン
だ・・・・・・
 30代、引退しないといけないだろうか・・・・・・?

 「でも今日はここで帰らなきゃ。人と会う約束があるんだよねぇ」
 あ〜、そうなんですか。それは残念ですねぇ、あともう少しなのに・・・
 「でも今年は雪が多いねぇ。去年は5月の終わりだったけど、今日より
ちょっと多いくらいだよ」
 ん〜、今年は春先の雪が多いから残雪も多くなっちゃったらしいで
す・・・・・って、去年も登ってるんですかぁ〜?!5月
に・・・
 「去年は尻セードで一気に下ったけど、今年はちょっと雪が少なくて危
ないかなぁ」
 ぇえっ?!尻セードって・・・・・・ボクが思ってるより一般に使う用語な
のか?!・・・って、この時期富士山に登ってる連中が一般かどうかは
疑問が残るが・・・・・・それにしても、つい最近まで知らなかった用語
が、あんまりつながりのないところで聞くときの驚き。
   44
( 4:32)
 9合目を過ぎ、さすがに雪も凍ってるところが多くて怖くなってきた。一応アイゼンは持 ってきたものの、さすがにこの傾斜で装着は・・・・

 ここで『ピッケル君』の登場!


 よし、ボクの命は君に預けた!!


 ・・・・・・まさかたったの4,980円に自分の命を預けることになろうとは・・・・・
13:41 九合五勺
 もはや登山道も雪に埋もれて
サッパリわからないので山頂へ
向かってまっすぐ歩いてます。
九合五勺は小屋の脇5mを通
り過ぎました。

 ・・・・・・息を切らせながら・・・
 何でこんなバカくせぇことしなきゃならんのだ!早いとこやめてとっとと
降りてしまえ!!
 ・・・・・・と思いながらも、つい上を見上げてしまうと・・・・・・どうしても足
を前へ前へと出してしまう・・・・・・


要するにバカだよ、バカ!
   39
( 5:11)
14:35
   55
山頂 浅間大社奥
 山頂でおにぎりを食べよう と我慢してたらシャリバテを 起こしかけ、だんだん力が抜 けていくのを感じつつ、ゼェ ゼェと息が乱れながらもなん とかたどり着きました。

 ・・・・・・考えたら、無理せず 途中で食べたほうが早く着け
たんじゃ・・・?

 まぁいい、さっきから山頂は寒いからお湯を沸かしてカップラーメン食
おうと思ってたんだ、早速・・・・・

 ビュオォォォォォォォ―――――――!!

 うぉっ!?さ、寒い!風速15mくらいかと思われる風が緩急つけなが
ら吹いてくる。気温は10℃を示しているが、体感温度はそこからさらに
5〜6℃マイナスしなくてはならないのではなかろうか。

 とにかくこれでは、おちおちお湯も沸かしてられん!とっととおにぎり
だけ食って撤収、撤収だ!
   54
( 6:05)
 登りではアイゼン装着せずになんとかピッケル1本でやって来れたが、下りではそうもいかないだろう。な
にしろ降りるベクトルと滑り落ちるベクトルは同じ・・・・・・つまり降りるつもりが滑落する結果ともなりかねな
いのだから。
 風で飛ばされるのか、山頂直下30mほどはあまり雪がなく、岩肌が露出して歩きやすい。が、すぐに下
は雪渓。ずぅ〜っと下までつながっている。足元に気をつけないとなぁ・・・・・・

と思うそばから足を滑らせる(T◇T)

ズルズルズル・・・・・・
うぉぉぉおおおおお!!ピ、ピッケル!!
 急いで凍った雪渓に歯を立ててブレーキ!
 た、助かった・・・あ〜怖っ!

 ・・・あれ、これって・・・・

 そうか、これが『尻セード』だ!!

 もしかしたら、思ってるより早く下山できるかも・・・・・・・( ̄ー ̄)

 よおぉぉし、では早速・・・

ズルズルズル・・・・・・ズザザザザザザッ!!

 わ〜〜〜速っ速すぎダメダメダメダメブレーキブレーキ!!!

 やっぱムリ、けっこう急で(30度くらいだけど・・・)思ったよりスピードも出る、ボクが最後の下山者になっ
ている今、失敗したら誰も助けてくれんっ!

 やっぱり普通に歩こう!
15:12
九合五勺  ということで安全に降りてきたが・・・・・・飽きた!
 チンタラ歩くのも退屈だ・・・・・よし、もう一度尻セードにチャレンジ・・・
したら、なんか慣れちゃいましたよ。

 うひょ〜〜〜〜〜〜〜〜♪ 

 一度慣れてしまうと人間というものはどんどん適応するようで、ピッケ
ルで雪を蹴って加速しつつ、早すぎるかな〜と思ったらピッケルとアイ
ゼンで減速。このコントロールで快適にすべりはじめた。

 あ痛っ、痛たたたた!!尻が痛いっ、どっかに岩が出て・・・・・・・?じゃ
ない、お尻が冷えて痛いんだ!!
   17
( 6:22)
15:18
   30 
九合目  イヤしまった、カッパを着ていなかったから雪渓の冷気がお尻まで伝
わってきた・・・・・・つーか、ズボンびっしょりじゃん(ToT)
 しまった〜ちゃんと装備してからやるべきだった・・・・・・遅ればせなが
ら、ここでカッパと・・・スパッツつけて防寒万全!
    6
( 6:28)
15:35
八合目  九合目で装備を整えて再び尻セード開始。
 あんなに苦労していた登りがウソのように快調に降りる・・・・・・という より、かっ飛ばしすぎなくらい滑っているというか・・・・・・
 八合目で雪渓に切れ目が出て、さらに左の雪渓を下りる。・・・登山道 から外れてるがいいのかなぁ・・・?
 七合目のブルドーザー道で雪渓が途切れる。これでおしまいかな?と 七合目小屋に向かうと・・・また雪渓だ♪
 結局、新七合目まではほぼ一気に滑ってこられた。速えぇ速えぇ。
 新七合目小屋下の40mほどの雪渓をアイゼンで越えてから一連の 装備をはずす。
 あとは普通に降りてきました♪
    5
( 6:33)
15:45
七合目
   10
( 6:43)
15:52
新七合目
    7
( 6:50)
16:20
六合目
   28
( 7:18)
16:35
五合目
   15
( 7:33)

 いやはや、尻セードってこんな風に楽しいとは・・・・・・
 アイゼンとピッケルがなければこんなのただの滑落だろうが、道具をうまく使って制御で きるうちにブレーキングでスピードを抑え、慣れてくれば身体をひねって方向転換もでき る。それに岩などの障害物があってホントにヤバかったらピッケルを立てて止まってしまえ ばいい。 

 なんだかんだで山頂から1時間半、装備の着脱を除けばホントに1時間ちょっとで降りて こられた。これは早い、そして楽チン!!


 いやぁ、こういう優れた道具があるって素晴らしいなぁ。

たったの4,980円ぽっちだけど・・・

あれ、そうすると4980円のピッケルに預けたオイラの命って・・・

(2007.11.11)

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