富士山の巻 2003.7.18〜19

 この日・・・午後8時、私は御殿場駅に立った。

 目指すは富士山、でも天候は悪い。空一面に雲がかかり、小雨もぱらつき始めた・・・
 やっぱやめとくべきかな。とはいえ、すでに御殿場駅まできてしまった。この月、7月は確かに天候が悪い。振り返って
もほとんど晴れていた日がない。でも・・・富士山五合目は、もう雲の上、天上界なのである。下界の天気など関係ある
ものか、すでに来てしまった以上、登らずに
どうせいというのだ(・・・まあ、居住しているのも御殿場市内なので、大した差はないが)!

 というわけで私はタクシー乗り場に向かった・・・。


 富士登山全記録(2003.7.18〜19)

20:16 御殿場駅発 
タクシー乗車
  夜間登山である。御殿場駅から目指すは、須走登山口。登山用の車道を
登ると、途中からものすごい濃霧が。雲の中である。文字通り霧で前が見え
ない。その上、道自体くねくねしている。対向車が来たらヤバイ、そう思っ
た。・・・実際、対向車来たけど問題なかったですけどね、運ちゃんもプロだ
し。
  五合目に近づいたころ、夜空の星が見え始める。やった!雲を抜けた!
やっぱり来て正解だ!!
21:04 須走口五合目着  五合目である。こんな時間でも山小屋は2軒、両方とも営業している。・・・そ
りゃそうだわな、ワシみたいに夜登り始める輩もいるんだし・・・実際、五合目
小屋には、幾人もの人がいて、みんな一息ついてたり、出発に準備をしてい
たりする。こんな風に夜登る人も多い山だからワシも来たんである・・・3,00
0m級の山登るのは、大学以来の実に8年ぶり・・・結構久しぶりだったので、
まあ無謀といえば無謀な気もする・・・でもこんな状況だから、少なくとも遭難
はないかな?
21:25 五合目発  うっ!ヤバイ、なんだか雲が上がってきた!やっぱ天候は悪いのか!?ここま
で着てそりゃねえゼ!と、急いで出発。
21:45 登山中  五合目を発ってから、林(・・というべきなのかな?)の中を歩いていたが、こ
こいらから木が低くなり始める。・・・この辺が森林限界点かな?・・・って、そ
んなわけないでしょ。
22:00 一本  疲れた。ペース速すぎた。ので休憩の時間です。とりあえず・・・タバコに火
をつける。皆さん、山でのタバコのポイ捨てはやめましょうね!ということで、
私は携帯灰皿を持っていったので大丈夫!
22:10 出発
22:32 本五合目 着
 林館
標高2,400m
 ・・・ほ、本五合目?何じゃそりゃ。
 その時は知らなかった・・・この「本」という字には何度ガッカリとさせられたこ
とか・・・。
22:45 出発  小屋は開いてないし、とっとと登ってまえ!と、出発
23:00
 ヤバイ!雨が降り始めた!とはいえ、ここでやめるのもつまらんし・・・ええ い!登ってしまえ!と前進あるのみ。
23:13 六合目 着
 瀬戸館
標高2,700m
 寒くなってきた。小雨も降っているし、なんだかバカバカしくなってきた。なぁ
んて言っても、もうここまで来て戻れるもんですか、しくしく(泣)。せめてそろそ
ろ夜食でもと思ってこの小屋まで来たのだが・・・ここも営業してない様で・・・
がーん!みんな登ってるんだから営業しろよ!(今考えると、この頃はまだシ
ーズン佳境前なのね、だからやってなかったんだろうなぁ)。
 万一のため、朝食にとカップラーメンを持ってきたのでバーナーでお湯を沸
かすことも出来たのだが・・なんかそんなスペースもない。仕方ない、とりあえ
ず七合目まで行ってみるか。あとはそれからだ!
23:20 出発
23:37 一本  もう耐えられません!!
 雨が強くなるわ、寒いわ、腹へって動けなくなりそうになるわ・・・仕方ないの
で小休止。ザックから合羽を出して着て、非常食用のカロリーメイトを出して2
本食す。・・・やっぱ必需品である。
23:54 出発  寒いので出発。小休止のつもりだったが・・・全然小休止じゃないじゃん!
0:30 七合目 着
 太陽館
標高3,000m
 ついに3,000mまで来てしまった・・・そんなことより寒い!さっきから風が
強くなり、体感温度が急激に下がっている!いったい今何度あるんだろう?
風のあたらないところで休憩したいのだが、狭い中でたくさんの人、人ばかり
が休んでいてそんな場所もない!!ああ、お湯沸かしてカップラーメンも作ってる
余裕もない・・・唯一の救いは、山小屋の横に売店があって、そこが営業して
いることである。仕方ない、売店でカップラーメンを買って食うか。
 1杯700円
 しくしく、カバンの中に、これとおんなじ143円のラーメンがあるというの
に・・・泣きたくなっちゃうよ。
 この辺りで早くもヘッドランプの電池が切れた。点けっ放しで一晩もたないと
思っていたが・・・予想以上に早すぎ!予備に交換しても間に合うかなあ・・・。
 そうそう、この辺りでトレーナーを着込んだっけ、やっぱ服は多めに考えない
と。
1:25 出発  ラーメン食べて一息つけたものの・・・やっぱりじっとしてると身体が冷えてく
る。いかん!早く行かねば!頂上でご来光を拝むのだ!!ペースを上げるぞ!
2:04 本七合目 着
 見晴館
標高3,250m
 ほ、本七合目!?そ、そうだ!富士山は五、六、七合目の間に「本」七合目
とかいうのがあったんだ!全然ペースの計算が狂った!トホホ・・・山頂での
ご来光は望み薄だ・・・さすがに眠くなってきたし、この小屋で少し仮眠を・・・と
思ったのだが、小屋の中は皆さん就寝中・・・ガックシ!
 諦めて通過しました。
2:45 八合目 着
 江戸屋
標高3,400m
 ダ、ダルい!眠い!もうしんどい!!でもここの小屋もみんな就寝中で営業
外・・・しくしく。
 もーヤケだ!ここも通り過ぎてやるうぅぅ(泣)。
 小屋を過ぎて登り始め・・・頂上からの風が強い!うっ!ミゾレか?!やけに顔
が痛い、目が開けてられん!
 こんなこともあろうかと・・・ジャンっ「花粉症用めがね」!!本来砂走りを降
りる時、砂埃を避けようと持ってきたのだが・・・早くも登りで役に立ってしまっ
た。予想外。でもラッキー。
3:16 本八合目(やっぱり・・・) 

 江戸屋
標高・・・記録なし
 やっと開いている山小屋見つけた・・・しかもここは2軒ある。とりあえず寒い
ので手前の小屋に入る・・・ぉおっあったかい!!やっと生きた心地がしました。と
りあえずココア注文。400円・・・でもこれがありがたいのだ!
3:36 出発  ・・もう登るのやめようかな?寒いし、風は強いし、吹き飛ばされそうでおっ
かないし、眠いし・・・でも、ここ来て登るのやめるのも・・・あと2合分登れば頂
上なのだ!・・・頂上はさみーだろーなー・・・こんな葛藤の末、私は泣く泣くこ
の小屋を出るのであった・・・結局アホじゃん、ワシ。
4:00 八・五合目(えぇっ?!) 

 御来光館
標高3,450m
 八・五合目ってあんた・・・何だかバカにされてるような気がしてきた・・・
 小屋の横で座れるところを発見。とりあえず少し身体を休めよう・・・グーって
オイ!つい眠ってしまった。いやホント眠いんだよぉ、この時間って。人間が
一番眠くなりやすい時間なんだよね、3〜4時って。
 ・・なあんてやってる間に、東の空が明るくなる・・・頂上でのご来光はやっぱ
りダメでした・・・ってこっから結局天気悪くて日の出すら見えないんですけど
ね。
4:29 出発  ・・・仕方ない、頂上の明かりも見えるし、登るか・・・この風の中を?っていう
位の強風。うっかりしていたら風にあおられて滑落してまうのでは?あっ下山
してくる団体がいる。ので聞いてみた。
 「すみません、もう頂上にいかれたんですか?」
 「いやこの天気でしょ?このまま行くのは危険と判断して下山することに決
めました」
 ・・・やっぱワシも下りよう、大体大学出てから8年間、全く山に登ってなかっ
た男なんだワシは、この春に足慣らしをしたとはいえ、高尾山くらいじゃどうし
ようもないだろ。・・・でもなぁ・・・山頂の明かりが見えるんだよなぁ・・・下山して
も、まだこの時間じゃバスもないだろうから時間持て余すだろうし・・・
 と、結局登ってしまいました。この男、大バカ野郎です。
5:03 九合目 鳥居着  おなか空きました。どうしょうもないのでチョコとカロリーメイト食いました。ふ
と気づくと、私寝てました。結構体力ヤバイです。多分高山病だったのでしょ
う。ザックの中に、酸素ボンベがあるのですが・・・めんどくさくって出してられ
るかい!
5:15 出発  仕方ないので出発。・・・でもこの前後でもーバテバテ。数歩歩いては立ち止
まる、牛歩戦術で辛うじて山道を攻略中(?)。その途中で座り込み、ついウト
ウトと寝てしまう。こんな繰り返しでした。
6:02 山頂 浅間神社 着 
標高3,776m
 ついに・・・ついにやって来ました富士山山頂!感慨よりもとにかく寒い!寒
い、寒い、寒い!!のでとにかく浅間神社に駆け込む。せっかくです。職場の
みんなにお土産を、とお守りを購入・・・高い・・・。
 まあついでだ、絵馬に願掛けをして帰ろう・・・
 『生きて帰れますように』
 私、本気で書きました。だって外の強風は10m位はあったでしょう。こんな
のにあおられたら・・・ワシ、滑落してまうかも。
富士山頂 浅間大社奥宮




  頂上山小屋の前・・・写真の通り、ガスで悪天候でも、やっぱ登ってきた人 は結構いるんですねえ。
7:00 出発  ・・・山頂に行ったら、火口のお鉢めぐりをしてやろうと意気込んでたのです
が・・・外は真っ白雲の中、おまけに強風吹き荒れて危なっかしい。諦めて下
山することにしました。
 でもその前に朝食を済ませてね。うどん購入800円・・・まあ仕方ない
か・・・。


須走下山道にて 砂埃対策に花粉
症用めがねを着用・・恥ずかしいな
ぁ、もう

 下山中、九合目を過ぎた辺りから、雲を出ました、上の雲を・・・雲を出ても 下界はまた雲が広がった世界なんですよね・・・でもこれもまた一興!向かう 下界は一面の大雲海!遠くの山すらも見えないのはチョットさみしいが、この 大雲海もまた、圧巻でした!やっぱ登ってよかった!


見渡す限りの大雲海!
7:28 本八合目 着  砂走りを下山して、28分・・・もう本八合目に来てしまった・・・早っ。登るのに
2時間近くかかったのに、下りはたったの28分?!ちょっと落差ありす
ぎ!!
 この辺りからだんだん暑くなってきた。服を一枚脱ぎましょう。
7:35 出発
7:58 本七合目 着  一本!休憩だ!もおこのペースなら超余裕!!さっき休んだばっかだけ
ど、また休んじゃえ!
8:15 出発
8:45 一本  本七合目までは、下山ルートの砂走りも、登山ルートと沿って走ってたんだ
けど・・・そっから先は全然山小屋がない。休めないじゃん!とはいえ、靴に砂
が入って痛くて痛くて・・・そうだ!こんなこともあろうかと、野良作業用のスパ
ッツも買って来てたっけ!ええい、休んでつけてしまえ!ついでに腹も減った
から、朝食だ!ってまたカロリーメイト・・・お世話になってます。
9:10 出発  さあ行こう、もうすぐ下に小屋も見える、もうすぐこの山行も終わりなり!
9:36 砂払い 着  ここで砂走りは終了。お疲れ様でした。ここの小屋で少し休みたかったので
すが・・・登山口五合目まであと30分、ええい、面倒なので行ってしまえ!

  ・・・と、ここで記録は終了。この後、上にあるように約30分くらいで砂走り登山口に到着するのですが・・・はっきり
言って正しい道を通って到着できた気がしない。目印を辿って林の中に入り、進んでいるうちにわけわかんなくなっちゃ
って、そうこうしているうちに何だか車道らしきものに出くわす。そこを右に曲がって10〜15分行ったか、駐車場に出
る。そこをさらに進んで、やっと登山口の山小屋に着いたんですよね。だからこの辺りのことは、記録として全く当てに
ならんのである。悪しからず。
 
  登山口から御殿場駅までは登山バス利用。下山した7/19よりダイヤ変更があり、日中は約30分おき、一時間に2
本の間隔で走ってました。私は10:30のバスに乗車。この日は土曜日だったせいか、乗客は私一人だけと、優雅に帰
ってこれました・・・といっても、乗った途端に寝てしまい、駅に着くまで全然起きなかったので関係ないんだけどね。
      バス料金 1,500円
 タクシーの1/4です・・・わお。

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