困った日 パート2



ぴーんぽーん
土曜日の午前7時。
広々とした和風建築にインターホンが響いた。
「はい。」
インターホンから声が出る。
「アークジードさんでしょうか?」
「はい。今開けます。」
それから黒い髪の少年は荷物を受け取った。
よしネットで見つけた目当てのものが来た。
アークは買ってきた小さいバスケットを用意する。
ダグラスたちと買ってきたチョコを入れて梱包を解いた物を入れる。
これでよし。
明日の学校帰りにおいていこう。

 翌日、ダグラスとリオン、デュリーにアリスト、そしてアークが授業開始のだいぶ前に学校にそろった。
高級メーカーの板チョコをチョコを受け取った人のロッカーに入れていく。
メッセージつきで「付き合ってください」と書かれていたものには、こちらから「すみませんが好きな子がいるのでお付き合いできません。」というメッセージカードを入れてゆく。
アークが特定のロッカーにメッセージ付きチョコを入れようとすると、デュリーもメッセージカード付きのチョコを入れようとしている。
「デュリーも告白されたの?」
「まあな。こんなやつと誰が付き合うもんか、浮気者め。」
こうしてチョコを入れる作業は思ったより時間がかからなかった。
「生徒会室で休むか。」
ダグラスが提案すると、全員のった。
生徒会室のソファに五人はどっと座り込んだ。
「あー、疲れた。」
「ホントよね。」
「俺様、今日英単語の小テストがあるから勉強しないと。」
ダグラスは億劫そうに単語帳を取り出した。
「大変だね、何限目にあるの?」
「7限目。」
「それだったら今から勉強しても昼休みくらいに忘れ去っちゃうんじゃない?」
「いや、それでも抵抗を。」
わきあいあい、というよりぐったりでろでろしている5人はホームルームまで生徒会室にいた。

 よし。
アークは覚悟を固めた。
学校が終わって、塾に行くまでの間に。
エリィシアの住んでいる邸宅の玄関にこれを置いておくのだ。
さあ、早速
がちゃ
ドアが開いた。
「あ、アーク先輩、こんにちは。」
「こ、こんにちは。はいこれ、バレンタインデーのお返し。」
アークはそう言うと小さなバスケットを差し出した。
小さなトリュフチョコとガラス細工のコーヒーとコーヒー豆のペンダントが入っていた。
「いいんですか?こんなに受け取っても。」
そう言うエリィシアの顔はものすごく嬉しそうだ。
「もちろん。じゃ、僕はこれで。」
アークが玄関のドアを開ける前に、いろいろな音がした。
どたどたどた
「これ、アーク先輩にもらったの!」
「まあ、よかったわね、いいものをもらえて。」
「また今度このペンダントしてっていい?」
作戦成功。
アークは軽やかに玄関のドアを開け、外に出た。
スキップでもしたい気分で自分の家に帰る。
やることといえば塾に行く準備なのだが、それでも鼻歌が止まらない。
こうしてアークは浮かれた気分で塾に行った。
END




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*atogaki*
ホワイトデー一応書きました。
本命のプレゼントは結局私の好みで決めました。
実際に売ってたし、これならまだガラスが光ってきれいかなと思ったり。