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矯正歯科講座
治療期間(ちりょうきかん)

矯正治療 治療期間について思う所・・・

みなさんも何気なくテレビでも見ていると美容外科、審美歯科のCMが次々と流れることに気付くでしょう。女性雑誌などこれらの広告がかならず入っていますね。
マーケティングに必須とも言える認知度を上げるためとはいえ、治療費に反映されるのでは無いかと思うのは、私の早合点でしょうか・・・
そのお陰と申しましょうか、歯並びは数回で治るモノと思っている人も多いです。やはり誰もが望むのは、早い治療、簡単に終わる治療ですね。ニーズがある限りにおいて、たった数回の治療で!という宣伝広告は無くならないでしょう。最近は気楽に簡単に というプチ整形だとかクイック矯正などの造語まであります。個人的にはこれらの行為に対して矯正という言葉を使うことに抵抗を感じますが嘘では無いでしょう。斜めの歯が治療後にはまっすぐに見えるようになります。通常の矯正治療だと動的治療期間(例えばマルチブラケット治療)は2年前後が一般的です。もちろん、少しだけ前歯の捻れを治した というような非抜歯矯正なら数ヶ月かも知れません。また保定観察(保定装置をつけて様子を見る)期間が2−3年だと合わせて通常であれば5年近い治療期間になってしまいます。一方クイック矯正ならせいぜい2−3回の治療で終わりますので、通常の矯正治療とはまったく別物です。

ただしこれらの治療は何処の歯科医院でも可能な治療ですから、宣伝を見たからといってわざわざ出掛けていくことも無いと思います。ただし通常の歯科医院で前歯が斜めに生えてるからクイック矯正してくれ と言っても少し難色を示される事が多いでしょうね。その理由は健全な噛み合わせは健全な歯と健全な土台が有って、なおかつ上下が適切に噛み合わなければ意味をなさないことを知っているらです。虫歯でボロボロになった歯であれば歯質を削ってしまうこともやむを得ないし、神経を抜いてしまうことも、病気の進行を阻止・治癒する上で、仕方が無いのですが、健康な歯を審美的な改善の為だけに殺してしまうのは勿体ないし、それで見た目が改善されたからといって、上下の歯が綺麗に噛み合うわけでもないし、更にちょうど上下の歯が噛み合ったとしたら、イビツな歯の傾きを改善せず被せ物をしているので、歯の根に負担があるでしょう。さらに天然の歯に人工的な異物を接着剤でつけるわけですから、必ず境界線で問題を起こすわけです。被せ物が外れる・歯ぐきの高さが下がった時に境目が目立つ・境目に溜まる汚れによって、歯の根が虫歯になる、歯周病になる・被せ物の金属イオンが溶出し歯ぐきに沈着を起こす・神経を抜いてしまった歯は強度的に弱いので、なにかの拍子に破折を起こす確立が高くなる・・・と思いつくまま列挙していくと、かなりの問題があるものだと改めて認識します。もっとも矯正治療に関しても同じように考えていくと、解決しなければいけない問題点は多いので、fairでは有りませんね。ただし、あまりに気楽に考えているが為に、この様な問題点に関して、十分認識せずに治療に入っている場合が有ると思います。ちなみに矯正治療に関して言えば、治療方針における抜歯そのもの、治療中における虫歯、歯周病、歯根吸収、顎関節症の増悪などが有ると思います。さらには術者による不適切な治療方針・治療結果における不安定な咬合などは矯正治療をしない方がまだ良かったかも と思わざるを得ない患者口腔内の状況も見ることがあります。もちろんいずれの治療においても適切に行われたものは予後も良くこれらの問題は上がらないと思いますが、いずれにしても、どの様な治療方法を選択するかは皆様の決断に任せられるので十分検討してみて下さい。

また美容整形外科では顔貌の改善のために口腔外科領域の手術もするようです。上の前歯が大きく突きだしている、下顎が出ている、顔が歪んでいる、といった問題点をこれまた数日の入院、数回の通院にて治してくれるようです。気になるのは治療費ですね。これは顎変形症という保険病名のもとで保険が適応できる治療なのですが、審美的な改善が目的の治療だと保険は適応されません。ということは、あまり噛み合わせを改善しない治療なのでしょうか?間違っていたら御免なさい。

顎の歪みは手術で改善することが可能です。噛み合わせを改善する目的であれば保険が適応できます。当然それに付随する矯正治療も保険適応されます。ただし、顎口腔機能検査施設基準を取得した歯科矯正を標榜する施設での矯正治療のみが保険適応になりますので、治療を考えている場合はその施設に問い合わせてみて下さい。僕の知るところの外科矯正では入院は最短で1週間、普通は2週間弱、長くても1か月までです。通常の術前矯正は最短で1年弱、普通は1−2年、術後矯正は最短で6ヶ月、通常1年弱なのではないかと思います。もっとも色々な矯正治療、色々な外科矯正の術式があるので、一言では言えません。なかには3〜4か月の術前矯正 もしくは術前矯正無しで外科処置を行い、術後矯正も数ヶ月そこそこという施設もあるみたいです。先ずは患者様がもっとも治したいと考えている顔貌が最初に治るのは良いことですね。でもそのためには、間違いのないシミュレーションが必要なのは言うまでもありません。術前矯正無しというこのやり方は、広島大学のOBの先生が学会発表を幾つかしているので何度か聞いているのですが、調和のとれた咬合の構築にはかなり有利な点があるので、個人的には応援しています。また治療期間が短くなるのも、財源の少ない社会保険を食いつぶさずに済むので結構なことです。そのために歯並び、噛み合わせに問題さえ起こさなければ言うことありません。北海道の先生が術前術後の矯正期間を極めて短くした症例報告されていましたね。僕にはとても真似が出来ません。

ここまでは広告などでよくご存知の審美歯科などについてお話ししましたが、通常の矯正治療においても、若干治療の流れで治療期間が違うものがあります。その一つが、1期治療、2期治療と分ける治療方針です。大きく小学生の時期、中学生以降の時期に分けて、それぞれの時期に相応しい治療をおこなう方法です。小学生の時期のメリットは、骨が柔らかく、成長が著しいので、顎の大きさやズレの問題を未然に解決しやすい ということに尽きます。デメリットは成長のコントロールのため治療期間が長くなりやすい・永久歯が生え揃っていないので、中学生以降の治療が必要になることがある・協力を必要とする装置を使う場合、治療効果が期待できないことがある というところですが、顔貌の改善、将来的な便宜抜歯の回避、早期の機能回復など多くの利点を考えると、治療機会に恵まれた場合は早い年令から始める方が良いのでは と考えています。しかし、中学生になってから治療を開始した場合、1期治療は通常行えません。大きな顎のズレなどを伴っていなければ、問題は有りませんが、中には1期治療を行っていた方が、随分条件が良かったであろう患者さんも多いです。その様な患者さんの場合、治療方針が抜歯を伴ったり、手術を併用した方法になるわけです。聞き分けの悪い小学生と何年も付き合うより、より大人の中学生以降の患者さんにだけ治療すれば、随分と治療自体も簡素化しますし、なにより楽なのですが、利点欠点を踏まえると長期の治療の方が、より良いことを理解して頂けますでしょうか?
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