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relapse(リラプス) |
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保定治療中や保定治療終了後に歯並びが乱れてしまうことを、後戻り(Relapse)といいます。せっかく綺麗に並んだ歯が乱れるのか幾つか原因があります。
1つは唇やベロによって歯は安定したり逆に乱れたりします。舌癖によって開咬が現れるような場合です。
2つ目は動かした歯は、元の位置を覚えているので戻ろうとします。ガタガタが強かったところがジワジワ戻ってきたり、歯を抜いた部位に空隙が出来てきたりする場合です。
3つ目はお口の環境が変わってしまったために変化することです。親不知が生えるにしたがって、または歯周病によって噛み合わせや歯並びが変化する場合です。
これらを解決するために、1つ目に対しては唇やベロの筋肉トレーニングも保定治療の一環となります。筋肉の問題は正常な機能が身につかなければ決して正常咬合は維持できません。
2つ目の問題に対しては、動かした歯が戻ろうとする1年半〜2年半程度は確実な保定装置が必要です。大人の場合は、2−3年以上は固定しておいた方がいいと思います。奥歯は生理的に前方移動しますので、空隙が出来た場合は放置しておいても閉じることが多いですが、何年もかかる場合があります。また、正常咬合こそが安定性を維持していきますので、治療計画に無理があれば正常咬合が達成できず、安定性に乏しい場合も考えられます。歯の配列に目を奪われて、顎位のズレが残っている場合などは、当然乱れていきます。
そして、3つ目に関しては予測できる物については事前に除去し、変化していくものに関してはよりよいメンテナンスが必要でしょう。具体的には、親不知がはえてきた場合、歯周病がひどくなった場合、顎関節の骨変形が進行した場合などがあります。また特殊なケースでは顎変形症の手術後に筋肉の走行や舌の適応に問題があった場合の後戻りもありますし、I期治療終了後に成長が関与した後戻りもあります。後戻りというよりか新たな問題が発生したと考えられるものもあるでしょう。
状況に応じて、再治療を行う場合がありますが、治療方針は、それぞれの原因に応じた対応を考えなければなりません。保定装置の不適切な使用に伴う場合は、治療費が追加される可能性があります。成長が関係している場合は、骨格的な問題に対処するために、外科的処置を必要とするかも知れません。親不知などの萌出に伴う場合は、親不知の抜歯のみならず、影響を受けた前方の歯の動的処置が必要になるでしょう。もし、不十分な治療計画だったため、不安定な治療結果だったとしたら、再治療においては、十分な結果が期待できる治療方針を選択すべきだと思われます。 |
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