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oral surgery(オペケース) |
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どんな人が外科矯正をする必要があるの?
多少の骨格的なズレは誰にでもありますが、標準値から著しく外れている場合、若干大きめのズレが幾つかの次元(前後、左右、上下)に重複して見られる場合は外科的なアプローチの適応と考えられます。 程度により 外科を行った方が良い〜ボーダーケース〜外科を行う必要が全くない と診断基準はありますが、ボーダーケースの場合、治療方法の選択に関しては、治療を受けるご本人様の意思で決まります。当方はそれぞれの治療方法と利点、欠点をお話しするに留まりますので、よく検討して下さい。最終的な噛み合わせの良さを考えるとしたらボーダーケースの時のお勧めは実は外科矯正の方であることが多いです。
なぜ手術までして噛み合わせを治す必要があるの?
顎切りの手術を望まない場合は骨のズレを歯だけで治す治療を行います。当然顎のズレは残ったままなので、大きく歯を傾けた状態で咬合させるように動かします。結果的に歯にかかるベクトルが正常と異なるので、歯の生涯にわたる何だかの支障がでてくるでしょう。場合によっては物理的に歯を噛ませるところまで動かせないこともあります。ボーダーケースであれば外科的にインプラント固定を施すことで、咬合構築が可能な場合もあります。
ズレが大きいのに手術をしないとどうなるの?
残念ながら、試してみた人しか真実はわかりません。斜めの地盤に建てた家は30年後に壊れずに建っているでしょうか?程度にもよるでしょうし、物の造りも関係します。ただし言えることがあるとしたら斜めの土地を整地もせずに立派な家を建てる人は居ませんね。しかし、いざ手術となると抵抗を覚えるのは人なら誰しもです。ましてや自分の子供が手術をする羽目になったとしたら、親の気持ちとしては、「噛み合わせが悪くても死にはしないのだから、なんとか手術を無しの方針で」と考えます。しかし一方で「でもより良い噛み合わせで仕上げてくれ」と思うものです。ご自身や家族の価値観が相容れなければ外科矯正はできません。
手術さえすれば完璧になるの?
どんなタイプの不正咬合でもより条件の良い噛み方になれます。ただし当然良いゴールを達成するためにはそれぞれのパーツが良い条件でないと難しいです。たとえば、顎関節がボロボロ、筋肉の不調和が強い、頭蓋骨の非対称が強い、ほっぺたの形が非対称 といった問題は上顎と下顎が一致するようなオペを行っても問題が残るであろう事は予想できます。
外科矯正併用の矯正治療の流れ
1. 外科相談(病院受診)・2. 術前矯正(1〜2年)・3. 外科矯正(入院10日)・4. 術後矯正(6か月〜)・5. 保定治療(3年)と進みます。
1. 外科を行う施設に外科矯正の相談に行って貰います。10万件に1件は麻酔に伴う事故が起こりえるといった説明を受けるでしょう。輸血を拒否される方、心臓病など持病がある方はあらかじめ相談して下さい。
2. 同時に矯正治療が開始しますが、治療計画によっては、スプリント治療から開始する場合、小臼歯、親不知などの歯を抜歯する場合などがあります。抜歯に関しては最寄りのかかりつけ歯科・もしくは口腔外科に抜歯依頼をします。1〜2年の術前矯正が続きます。 概ね術前矯正が終わる目安が着いた頃、術前検査、自己血採血、手術日などの日程を決めてもらいます。この時期にはより精度の高いオペになるよう3か月前後のスプリント治療が始まります。
3. 手術日前日に入院し入院期間は10日程度です。全身麻酔で行いますので、口腔外科医の執刀医、麻酔管理の麻酔医、全身管理の看護婦、手術のアシスタントの諸々スタッフのチームが編成されます。矯正医の私は出る幕は無いのですが、装置が壊れていないか・顎位が正しい状態で固定されているかを確認したり、術中に矯正装置を装着する必要がある場合などしばしば手術室にいることが多いです。手術の1−2日後には歩行が出来ます。術直後は流動食ですが、2週間もすれば軟食の経口摂取が可能になります。顔の腫れは1ヶ月程度で引くことが多いです。
4. 術後は術後矯正と並行して定期的に手術を行った施設でチェックを行います。手術直後は過去と全く異なる噛み合わせの環境になりますので、顎の関節がぎくしゃくします。6ヶ月程度で関節が安定します。その間は骨の後戻りの可能性が高いので、装置の調節が続きます。特に後戻りなどが出てこなければ術後矯正は6か月で終了し、保定治療に移行します。 |
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