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mandibular protrusion(マンディブラープロトゥルージョン) |
下顎前突ってなに?
いわゆる受け口と呼ばれる状態です。正常の噛み合わせは上の前歯が下の歯より前後的にも垂直的にも3mmほど被さっている状態です。もし下の前歯の方が上の前歯より前にいるとしたら下顎前突と言えるでしょう。また奥歯、犬歯(糸切り歯)の噛み合わせを見たとき、上の歯の奥歯の方が下の歯の奥歯より少し後ろにいるのが正常です。するとキレイに並んだ歯はギザギザがピッタリ合うように噛み合います。おそらく前歯の噛み合わせにズレが有る人は、上下のガタガタの量が同じであれば、前歯だけでなく奥歯の噛み合わせもズレが有るでしょう。
原因は?どうしてこうなったの?
原因としては、上の前歯が後ろから生えてきたため、下の前歯が前に生えてきた という歯の萌え方が原因のものと、上あごと下あごの前後的な位置関係が正常と異なるため という骨が原因のものに分かれます。いずれも遺伝が原因のこともあれば、そのような成長を促してしまった後天的な原因もあるかもしれません。たとえばベロが常に下の前歯を押し続けているような舌位の問題が有れば、下顎前突の人になっていきます。
放っておいたらダメなの?将来どうなるの?
噛み合わせの問題は将来どうなるかお話するのは難しいです。なぜならそれを経験した人しか分からないからです。しかしどの様な事が起こりそうかと言えば、奥歯に負担がかかります。前歯は正しく使えていません。顎は水平的にも動きますが、正しい前歯のガイドが無いので前歯も奥歯も無理な負担がかかります。歯がダメになる人、歯周がダメになる人、顎がダメになる人、身体がダメになる人?イロイロ有り得ますが、それは弱いところに影響が出るわけで、早い年令に出る人もいれば、一生問題の出ない人もいるかもしれません。
アイスの棒で前歯を押すと治るって聞いたけど?
一般の歯医者さんや知り合いからアイスの棒で上の前歯を出すようにしたら治るよ と民間?療法を教わって治したことがある方もいるかもしれません。安上がりな点がいい方法なのですが、残念なことにお勧めしていません。その様にして治した方のレントゲン写真を見ると、強い力を断続的に加えたせいで、前歯の根っこがイビツに歪んでいる状態をしばしば見かけます。矯正治療では歯を動かすとき、驚くほど小さい力を持続的にかけているので、そのような問題は起こりにくいです。歯の傾きが原因で受け口になっていた人はまだマシですが、骨が原因の時は、それでは解決しません。
どうやって治すの?
骨が原因ならば成長期においては骨の成長をコントロールしたり、成長終了後には骨の大きさを変える手術などが治療方針となります。歯が原因ならば歯を動かす処置が治療方針となります。特に成長期では放置することで、受け口が骨格的な不正に移行(より悪くなってしまう)ので、早め(小学生の低学年)に改善しておくことが望ましいです。逆の噛み合わせを正すことによって、将来の下顎の成長に乗じて、上あごも同じように成長してくれるチャンスが生まれます。ただし、中学生、高校生で下顎の急激な成長(晩期成長)を示すこともありますので、長期の管理が必要な場合もあります。 |
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